一覧へ戻る 平成12年01月20日 食品添加物の指定に関する食品衛生調査会 毒性・添加物合同部会報告について - (別添) アセスルファムカリウムの指定について (別添) アセスルファムカリウムの指定について 1.品目名: アセスルファムカリウム (Acesulfame Potassium, Acesulfame K) 2.構造式: 化学名: 6-methyl-1,2,3-oxathiazin-4(3H)-one-2,2-dioxide potassium salt 示性式: C4H4KNO4S分子量: 201.24CAS番号: 55589-62-3INS番号: 950 3.用途:甘味料 アセスルファムカリウムは、飲料、菓子、ジャム類等100品目以上の食品に、甘味料として使用される。 4.起源又は発見の経緯及び使用状況等 アセスルファムカリウムは、ジケテンとスルファミン酸を適切な条件で反応後、三酸化硫黄との環化反応を経て、水酸化カリウムで中和し結晶化する事により合成される。 1967年ヘキストAG(フランクフルト、ドイツ)の研究者が、ハロゲン化スルホニルイソシアネートとブテンとの反応実験中、5,6-ジメチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)-オン-2,2-ジオキシドが甘味を持つことを発見した。その後オキサチアジノンジオキシド誘導体について検討した結果、合成が比較的容易で水に対する溶解性が高く甘味度も高い本品が発見されたものである。 FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)では、安全性の評価を行っており、1983年の第27回会合において、ADIが一日当たり0-9mg/kg体重と設定された。その後1990年の第37回会議において再検討された結果、ADIを一日当たり0-15mg/kg体重と設定している。 添加物としての使用については、平成11年8月現在において、EU、米国、カナダなど90カ国以上で、食品添加物(甘味料)として使用されている。 5.有効性 アセスルファムカリウムは、甘味料として様々な食品に使われる。我が国で既に甘味料として添加することが認められているものには、食品衛生法施行規則別表第2において、アスパルテーム、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、D-ソルビトール等が、また、厚生省告示第120号の既存添加物名簿において、N-アセチルグルコサミン、カンゾウ抽出物、D-キシロース、ステビア抽出物等がある。しかしながら、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、カンゾウ抽出物には、特有の苦み、渋味がある。また、アスパルテームは、中性あるいはアルカリ性水溶液中での保存安定性や加熱安定性が劣っている。今回申請のあったアセスルファムカリウムは、ショ糖の約200倍の甘味度を持ち、耐酸性、耐熱性等に優れ安定性の高い物質であると報告されている。例えば、0.05%アセスルファムカリウム水溶液は、20℃、pH=2.6という条件下において、12ヶ月後に89.7%が残存している。また、加水分解をうけた場合には、主分解物として、アセト酢酸アミドが生成するが、40℃、pH=2.6、85日間という条件下においても、その生成率は5%以内であった。(別紙1) 6.成分規格 成分規格については、別紙2のとおり設定することが適当であると考えられる。参考までにJECFAにおいて設定されている規格等との比較表を別紙3に示す。 7.体内動態 (1)吸収及び排泄-放射性標識化合物を用いて検討した結果、アセスルファムカリウムを経口投与した場合、投与後24時間以内に、ラットの場合は、89.7%が尿中に、7.1%が糞中に排泄された。イヌにおいては、93.9%が尿中に、3.4%が糞中に排泄された。ラット及びイヌのどちらにおいても、7日以内にほぼ全量が排泄されている。尿中排泄量から吸収率を推定すると、ラットにおいて81.9~100.1%、イヌにおいて84.5~100.3%であった。経口投与した場合、ラットにおいては、投与30分後に最高血中濃度に達し、半減期は4.8時間であった。反復投与による蓄積性の血中濃度上昇は認められなかった。イヌにおいては、1.5時間後に最高血中濃度に達し、その後1.3時間の半減期で低下した。 ヒトにおいては、アセスルファムカリウムを服用後24時間以内に、97.5~100.0%が尿中に排泄され、糞中への排泄は、0.7~0.8%であり、服用後7日間にほぼ全量が排泄されている。尿中排泄量から推定すると、ヒトにおける吸収率はほぼ100%である。また、服用後1~1.5時間以内に最高血中濃度に達し、半減期は約2.5時間であった。 (2)分布-ラットにおいて、放射性標識化合物を用いた経口投与による検討では、消化管・腎臓・膀胱に高い放射活性が認められたが、それ以後減少し、投与1日後には投与量の0.1から4%程度となった。10日間の反復投与を行った場合にも最終投与の1~3日後には、消化管・腎臓・膀胱のいずれの組織においても、検出限界(0.2nmol/g)以下となり、体内への蓄積は認められなかった。イヌあるいはブタにおいても、小腸・腎臓・膀胱等に高い放射活性が認められているが、蓄積性は観察されなかった。 全身オートラジオグラフによる検討では、妊娠ラットにおいても、アセスルファムカリウムの分布は非妊娠ラットと同様であった。胎児への移行も認められたが、投与24時間後には消失し、蓄積性は認められなかった。 アセスルファムカリウム10.6mg/kg体重を授乳中のラットに投与したところ、投与5時間後に乳汁中で最高値(12.9μg/ml)に達したが、その後低下し、投与24時間後では、投与量の約1.6%となった。 血清タンパク質との結合性を平衡透析法(in vitro)により検討したところ、0.1-50.0μg/mlの濃度において、ラットでは約52%が、イヌでは約48%が結合していた。ヒトにおける結合率は、約72%であった。 (3)代謝-イヌ・ブタ及びラットに放射性標識化合物を単回経口投与して検討したところ、尿あるいは糞中には未変化体のみが確認され、代謝物は認められなかった。回収率は95%以上であった。ヒトにおける試験においても、未変化体のみが確認され、代謝物は認められなかった。(4)その他-ヒトにおいてアセスルファムカリウムは、インスリン分泌及び血糖値に影響を与えない。上記を含め別紙1に示した試験成績が提出されている。 8.安全性 (1)急性毒性試験-アセスルファムカリウムを、雌ラットに、4,000、6,300、8,000、10,000mg/kg体重の用量で単回強制経口投与し、14日間観察した試験においては、6,300mg/kg体重以上の用量において死亡例が観察され、10,000mg/kg体重では、全例が死亡した。本試験におけるLD50は7,431mg/kg体重であった。 雌ラットに、500、800、1,250、2,000、2,500、3,200mg/kg体重の用量で腹腔内投与し、14日間観察した試験においては、2,000mg/kg体重以上の用量において死亡例が認められた。死亡例において、自発運動の低下、口を尖らす行動、腹臥位および痙攣が認められたと記載されており、病理学的検査においては小腸壁にびまん性の赤色化が散見された。生存例には特筆すべき所見は観察されなかった。本試験におけるLD50は、2,243mg/kg体重であった。 また、雌雄ラットにアセスルファムカリウムを4,167、5,000、6,000、7,200、8,640、10,368mg/kg体重の用量で単回強制経口投与し、14日間観察した試験においては、5,000mg/kg体重以上の用量において、投与24時間以内に死亡例が認められた。また、雄の全投与群、雌の8,640mg/kg体重以下の用量群において自発運動の低下、5,000mg/kg体重以上の群に腹臥位、雄の5,000mg/kg体重以上及び雌の6,000mg/kg体重以上の群において痙攣が認められた。雌雄で、低用量群において一過性の体重増加抑制が認められたが、7日後には対照群と差はなく、投与量に相関した変化ではなかった。死亡例では剖検的に、胃粘膜の出血及び十二指腸から盲腸にかけて充血が認められた他、肺のうっ血や胸腺の点状出血が観察された。生存例には特筆すべき所見は認められなかった。本試験におけるLD50は、雄で5,438mg/kg体重、雌で5,565mg/kg体重であった。 マウスに3,472、4,167、5,000、6,000、7,200、8,640mg/kg体重の用量を単回強制経口投与し、14日間観察した試験においては、全投与群に自発運動の低下及び鎮静が、6,000mg/kg体重以上の投与群において痙攣が認められた。死亡例では、雌雄いずれにおいても剖検的に胃粘膜の出血、小腸の充血が見られ、その他に肺のうっ血も散見された。生存例について試験終了後に行った剖検では、雄の6,000、7,200mg/kg体重の投与群及び雌の7,200、8,600mg/kg体重の投与群において、軽度の前胃肥厚が見られた。本試験におけるLD50は、雄で6,971mg/kg体重、雌で6,713mg/kg体重であった。 (2)亜急性毒性試験-ラットにアセスルファムカリウムを、1、3、10%の用量で90日間混餌投与した試験では、死亡例は見られず一般状態に異常は認められなかった。1%の用量においては、雄で脾臓の相対重量の減少が、雌で胸腺の相対重量の減少が、3%の用量においては、雌で脾臓の相対重量の減少が認められたが、用量との間に一定の関係がなく、投与に起因したものではないと判断された。また、3%の用量において、雌で好中球のわずかな減少が認められたが、用量との間に一定の関係がなく、毒性学的意義は乏しいものと判断された。10%の用量で投与開始から6週間目まで体重増加抑制が認められたが、それ以降は対照群と有意な差は認められなかった。また、3%の用量群では、雌に盲腸の相対重量の増加が、10%の用量群では雌雄に盲腸肥大と盲腸重量の増加がみられ、同群の雄では、軽度な下痢が認められた。これらの変化は高浸透圧性の物質による生理的な反応であると判断された。また10%の用量群の雄では、ヘモグロビンの軽度な増加、脳及び精巣の相対重量増加、脾臓の相対重量の減少が、雌では、血清蛋白質の減少、肝臓及び腎臓の相対重量の増加が認められた。なお、重量変化が見られた臓器には、病理組織学的には、投与に起因すると考えられる異常は認められなかった。本試験における無毒性量は、3%(1,500mg/kg体重/日)であると考えられる。(3)反復投与毒性試験(慢性)及び発がん性試験-ラットにアセスルファムカリウムを0.3、1、3%の用量で、交配時より混餌投与した親動物から得られた子動物に、2年間(雄は120週間、雌は123週間)混餌投与した試験においては、一般状態、死亡率等に変化は認められなかった。一時的に体重増加抑制が、1あるいは3%の用量で観察されたが、毒性学的意義は乏しいものと判断された。血液学的検査においては、0.3%の用量で、雌にヘマトクリットの減少、好中球の増加が、1%の用量で好中球の増加、アルカリフォスファターゼの減少が、3%の用量において、雄にヘモグロビン及びヘマトクリットの減少及びアルカリフォスファターゼの増加が認められたが、用量との間に一定の関係がなく、変化の程度も著しく軽度なことから、毒性学的意義は乏しいものと判断された。また、臓器重量についても、0.3、3%の用量において、雄に脾臓の相対重量の減少等が観察されたが、減少の程度と用量との間に一定の関係がなく、病理組織学的検査においても特筆すべき所見は認められなかった。発がん性は認められない。本試験における無毒性量は、3%(1,500mg/kg体重/日)であると考えられる。 また、マウスにアセスルファムカリウムを、0、0.3、1、3%の用量で、80週間混餌投与した試験において、死亡率に対照群と有意な差は認められず、一般状態においても投与に起因した変化は観察されなかった。3%の用量において、雌雄に体重増加の抑制が認められたが軽度であり、毒性学的意義は乏しいものと判断された。雄の全投与群に、肝臓の相対重量の減少が認められたが、用量との間に一定の関係がなく、毒性学的意義は乏しいものと考えられた。病理組織学的検査において、特筆すべき所見は観察されなかった。発がん性は認められない。本試験における無毒性量は、3%(4,200mg/kg体重/日)であると考えられる。 さらに、イヌにアセスルファムカリウムを0、0.3、1、3%の用量で2年間混餌投与した試験において、一般状態、死亡率、体重に有意な影響は認められなかった。0.3%の用量において、リンパ球の減少、好中球の増加が、1%の用量において、血清GPTの減少が、3%の用量において、血清GPTの増加、リンパ球の減少が認められたが、生物学的変動範囲内であり、毒性学的意義は乏しいものと判断された。臓器重量に有意な影響は認められなかった。病理組織学的検査においても、特筆すべき所見は観察されなかった。本試験における無毒性量は、3%(900mg/kg体重/日)であると考えられる。 (4)繁殖試験及び催奇形性試験-ラットを用いて、アセスルファムカリウムを、0、0.3、1、3%の用量で、混餌投与した3世代繁殖試験において、一般状態・死亡率に影響は見られなかった。妊娠率・出産率・出産児数・性比等の生殖関連の成績ならびにF3世代で実施された催奇形性試験の成績に、対照群と有意な差は認められなかった。繁殖毒性及び催奇形性は認められない。本試験における無毒性量は、3.0%(1,500mg/kg体重/日)であると考えられる。 また、ラットにアセスルファムカリウムを0、0.3、1、3%の用量で12週間のみ混餌投与したのち交配させた試験において、一般状態・死亡率に影響はみられなかった。妊娠率・出産率・出産児数・性比等の生殖関連の成績で、対照群と有意な差は認められなかった。繁殖毒性は、認められない。 ラットの妊娠6日目から15日目まで、アセスルファムカリウムを、0、0.3、1、3%の用量で混餌投与し、妊娠21日目に開腹して影響を調べた試験において、母動物の一般状態、体重、摂餌量、臓器重量に影響は見られなかった。また、生殖と胎児に対する影響では、黄体数・着床率・吸収胚数・死亡率・生存率・体重に、対照群と有意な差は認められなかった。繁殖毒性は認められない。3%の用量において、尾の湾曲、脳室拡張症、水腎症、精巣異常及び骨の位置異常が認められたが、これらの所見は、対照群においてもほぼ同頻度で認められ、投与に起因したものではなく、催奇形性はないと判断された。本試験における無毒性量は、3.0% (1,500mg/kg体重/日)と考えられる。 さらに、アセスルファムカリウムを、一日あたり100、300、900mg/kg体重の用量で、妊娠ウサギの7日目より19日目まで経口投与した試験において、母動物の一般状態・摂餌量・体重に影響は認められなかった。300mg/kg体重の用量において一例で流産が認められたが、ウサギにおける非特異的な影響であり、毒性学的意義は乏しいものと判断された。生殖と胎児に対する影響では、着床数・吸収胚数・死亡率・生存率・胎盤重量・体重に、対照群と有意な差は認められなかった。繁殖毒性は認められない。外表についても異常は認められなかった。各投与群で、頭蓋骨・胸骨・尾骨等の骨格異常が、100mg/kg体重の用量において、腎臓及び卵巣の形成不全、腎臓の位置異常が認められたが、これらの所見は、対照群においてもほぼ同頻度で認められ、投与に起因したものではなく、催奇形性はないと判断された。本試験における無毒性量は、900mg/kg体重/日と考えられる。 (5)抗原性試験-ウサギに、アセスルファムカリウム500mgを皮膚に4時間塗布した試験において、塗布後72時間後までの間で、炎症反応は観察されなかった。 また、ウサギの眼結膜嚢内に、アセスルファムカリウム100mgを点眼し、24時間後に洗眼した試験において、洗眼1時間後より、虹彩及び結膜に軽度の刺激性変化が認められ、72時間後においても、結膜の浮腫及び発赤が残存していたが、これらの変化は、14日後には完全に消失した。 モルモットに、アセスルファムカリウムをアジュバンドとともに、25、70mgの用量で、1週間に1回ずつ計4回を皮下に注射し、13日後にアセスルファムカリウム50mgを静脈内に注射して行った試験において、アナフィラキシー反応は認められなかった。 (6)変異原性試験-微生物を用いた復帰突然変異試験において、アセスルファムカリウムは、0、1.25、2.5、5、10、12.5、20mg/プレートの用量及び、0、4、20、100、500、2,500、5,000μg/プレートの用量において、変異原性を示さなかった。 ラット肝初代培養細胞を、アセスルファムカリウム0、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000μg / mlの用量で処理した試験において、不定期DNA合成能に影響は認められなかった。 アセスルファムカリウムを、0、10、50、100、300、500、600、1,000、1,200、2,500、5,000、10,000μg/mlの用量で、チャイニーズ・ハムスターのV79細胞を処理した試験において、アザグアニン抵抗性コロニー数の増加は観察されなかった。 また、マウスのM2線維芽細胞を同用量で処理した試験においても、悪性形態細胞増殖巣の形成は観察されず、突然変異誘発作用及び形質転換作用は認められなかった。 ラットに、アセスルファムカリウムを3%の用量で7日間混餌投与し、翌日に250mgのアセスルファムカリウム(9.6x108dpm 14C-アセスルファムカリウムを含む)を強制経口投与し、8時間後に肝臓及び脾臓のホモジネートから抽出したDNAに、放射活性は認められず、アセスルファムカリウムはDNA結合性を有していないものと判断された。 チャイニーズ・ハムスターにアセスルファムカリウムを、450、1,500、4,500mg/kg体重の用量で、5日間経口投与し、最終投与6時間後に骨髄細胞の分裂中期像を観察した試験において、染色体の異常は観察されなかった。 マウスを用いた染色体異常試験で、陽性であったとの結果が近年報告*1)されているが、GLPに基づく試験により、再現性が確認されなかった*2)。また、マウスに、アセスルファムカリウム450、1,500、4,500mg/kg体重の用量を、24時間間隔で2回経口投与した骨髄小核試験においても小核の誘発は認められなかったことから、生体内での染色体異常誘発性に関しては問題ないものと考えられる。 ラットに、アセスルファムカリウム0、1、3%の用量で5日間混餌投与した後、無処理ラットと交配させ、交尾した優性致死試験において、妊娠率、着床数、死亡率に対照群と有意な差は認められず、また、輸精管、精巣上体及び精巣中の精子、後期精細胞における優性致死作用は認められなかった。 以上の結果から、変異原性については問題ないと判断された。 参考文献*1 Mukherjee, A. & Chakrabarti, J. Fd Chem. Toxicol. (1997) in vivo cytogenetic studies on mice exposed to acesulfame-K, a non-nutritive sweetener. 35: 1177-1179 *2 RCC cyto test cell research GmbH (1998) chromosome aberration assay in bone marrow cells of the mouse with acesulfame-K. (7)一般薬理試験-マウスに、アセスルファムカリウムを100、300、1,000、3,000mg/kg体重の用量で腹腔内投与した試験において、3,000mg/kg体重の高用量において、マウスに運動失調及び流涎が全例に認められた。生存例については、1週間以内に回復したが、腹臥及び呼吸困難による死亡例も認められた。本試験における結果は、急性毒性試験における結果から予測できるものと判断された。 イヌ・マウス・モルモット・ラットを用いて検討した結果、眼瞼下垂やカタレプシーは観察されず、運動量・メトラゾール誘発性痙攣作用・強制歯咬行動への影響も認められなかった。循環器系・血液凝固系・腎機能・血糖値への影響については、特筆すべき作用は観察されなかった。気管支系への影響については、ヒスタミン誘発性気管支収縮に影響がないことを確認している。また、鎮痛作用・抗炎症作用・解熱作用は認められなかった。 (8)その他の毒性試験-アセスルファムカリウムの主分解物であるアセト酢酸アミドについても、毒性試験が行われている。試験結果によると、その摂取量等から考え、問題となる所見は認められない。 上記を含め別紙1に示した試験成績が提出されている。 9.一日摂取許容量 (ADI) の設定 ここに申請された資料に基づき次のように評価する。 無毒性量 1,500mg/kg体重/日 動物種 ラット 投与量 3%(30,000ppm)混餌投与 投与期間 2年間 試験の種類 反復投与毒性/発がん性併合試験 安全係数 100 以上よりアセスルファムカリウムとして ADI 15mg/kg体重/日 アセスルファムカリウムをイヌに2年間混餌投与した試験(1977年)では、無毒性量は最高用量の3%(900mg/kg体重/日)であったが、その後実施されたラットの2年間の試験(1979年)では、子宮内曝露も含めて実験が行われ、種の生涯曝露をより反映しており、且つ実験に供した動物数も多く、より厳密な評価が可能と判断できることから、上記のラットの試験をADIの設定に用いることが従って適切である。10.一日摂取量の推計 アセスルファムカリウムは、甘味料として様々な食品に使用される事が推定される。平成8年国民栄養調査成績の食品群別摂取量等をもとに、ショ糖の一日摂取量を推定すると、38.05gとなる。ショ糖を全てアセスルファムカリウムに置き換えたと仮定して計算すると、アセスルファムカリウムは、ショ糖の約200倍の甘味度を有しており、一日推定摂取量は、約190 mgとなる。日本人の平均体重50kgで除すると、一日あたり約3.8 mg/kg体重を摂取すると推定される。 11.使用基準 使用基準については、下記のとおり設定することが適当であると考えられる。 アセスルファムカリウムの使用量は、生菓子、菓子及びあん類にあっては、その1kgにつき2.5g以下(但し、チューインガムにあっては、その1kgにつき5.0g以下)、ジャム類、漬け物、氷菓、アイスクリーム、たれ及びフラワーペーストにあっては、その1kgにつき1.0g以下、果実酒、雑酒、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料及びはっ酵乳(但し、希釈して飲用に供する飲料水にあっては、希釈後の飲料水)にあっては、その1kgにつき0.50g以下、砂糖代替食品(コーヒー、紅茶等に直接加え、砂糖に代替する食品として用いられるもの)にあっては、その1kgにつき15g以下、その他の食品にあっては、その1kgにつき0.35g以下でなければならない。但し、特別用途表示の許可又は承認を受けた場合は、この限りでない。 一覧へ戻る