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平成19年04月26日

 

 

食安発第0426004号 別添3

 

本文(食安発第0426004号)
別添3

アセタミプリド試験法(農産物)

1.分析対象化合物
アセタミプリド

2.装置
アルカリ熱イオン化検出器又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。

3.試薬、試液
総則の3に示すものを用いる。

4.標準品 アセタミプリド 本品はアセタミプリド99%以上を含む。 5.試験溶液の調製

a 抽出法
①果実,野菜及び抹茶の場合
 果実及び野菜の場合は,検体約1kgを精密に量り,必要に応じ適量の水を量つて加え,細切均一化した後,検体20.0gに相当する量を量り採る。
 抹茶の場合は,検体5.00gを量り採り,水20mlを加え,2時間放置する。
 これにアセトン100mlを加え,3分間細砕した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り,アセトン50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様に操作してろ液をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下で約30mlに濃縮する。
 これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mlを加え,上記と同様に操作して,酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下で酢酸エチルを除去する。この残留物にn-ヘキサン10mlを加え,40℃以下でn-ヘキサンを除去する。この残留物にアセトン及びn-ヘキサンの混液(3:7)2mlを加えて溶かす。
②抹茶以外の茶の場合
 検体9.00gを100℃の水540mlに浸し,室温で5分間放置した後,ろ過し,冷後ろ液360mlを500mlの三角フラスコに移す。これに飽和酢酸鉛溶液2mlを加え,室温で1時間放置した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し,ろ液を1,000mlの分液漏斗に移す。次いで水50mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。これに塩化ナトリウム25g及び酢酸エチル100mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル100mlを加え,上記と同様に操作して,酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下で酢酸エチルを除去する。この残留物にn-ヘキサン10mlを加え,40℃以下でn-ヘキサンを除去する。この残留物にアセトン及びn-ヘキサンの混液(3:7)2mlを加えて溶かす。
b 精製法
 内径15mm,長さ300mmのクロマトグラフ管に,カラムクロマトグラフィー用合成ケイ酸マグネシウム5gをアセトン及びn-ヘキサンの混液(3:7)に懸濁したもの,次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ,カラムの上端に少量のアセトン及びn-ヘキサンの混(3:7)が残る程度までアセトン及びn-ヘキサンの混液(3:7)を流出させる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後,アセトン及びn-ヘキサンの混液(3:7)50mlを注入し,流出液は捨てる。次いでアセトン及びn-ヘキサンの混液(1:1)150mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40℃以下でアセトン及びn-ヘキサンを除去する。この残留物にアセトンを加えて溶かし,正確に5mlとして,これを試験溶液とする。

6.操作法
a 定性試験
 次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
カラム 内径0.53mm,長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に,ガスクロマトグラフィー用5%フェニル―メチルシリコンを1.5μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 60℃で2分間保持し,その後毎分20℃で昇温し,160℃に到達後1分間保持する。次に毎分10℃で昇温し,200℃に到達後1分間保持する。さらに毎分3℃で昇温し,230℃に到達後1分間保持し,その後毎分5℃で昇温し,260℃に到達後15分間保持する。
試験溶液注入口温度 260℃
検出器 260℃で操作する。
ガス流量 キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。アセタミプリドが約33分で流出する流速に調整する。空気及び水素の流量を至適条件に調整する。
b 定量試験
 a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
c 確認試験
a 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また,必要に応じ,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。

7.定量限界
 0.01 mg/kg

8.留意事項
 なし

9.参考文献
 なし

10.類型
 A

ピリチオバックナトリウム塩試験法(農産物)

1.分析対象化合物
ピリチオバックナトリウム塩

2.装置
カラムスイッチングシステム及び紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC-UV(カラムスイッチング))
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)又は液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC/MS/MS)

3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。 0.03 mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0) リン酸二水素カリウム7.21g、アジ化ナトリウム0.2g及びリン酸0.40 mLに水を加えて2,000 mLとし、リン酸又は50%水酸化ナトリウム溶液を加えてpH3.00に調整する。 水( p H 2.4 ) 水にリン酸を加えて p H 2.40 (± 0.05 )に調整する。 オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム( 2,000 mg ) 内径 12 ~ 13 mm のポリエチレン製のカラム管に、オクタデシルシリル化シリカゲル 2,000 mg を充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。 トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム( 5,000 mg ) 内径 19 mm のポリエチレン製のカラム管に、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲル 5,000 mg を充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。

4.試験溶液の調製
1)抽出
試料 5.00 gにアセトニトリル及び 0.01 mol/L 炭酸アンモニウム溶液(2:1)混液 100 mL を加え、ホモジナイズした後、 3,000 回転で 15 分間遠心分離する。 上澄液 60 mL を採り、これにジクロロメタン 50 mL を加え、振とうした後、ジクロロメタン層は捨てる。水層に塩化ナトリウム 0.05 g及びジクロロメタン 50 mL を加え、振とうした後、ジクロロメタン層は捨てる。

2)精製
① トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム( 5,000 mg )にメタノール 20 mL 、水 20 mL 及び 0.01 mol/L 炭酸アンモウム溶液 20 mL を順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた水層を注入した後、 0.01 mol/L 炭酸アンモニウム溶液5 mL を注入し、各流出液は捨てる。

② オクタデシルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム( 2,000 mg )にメタノール5 mL 及び水 10 mL を順次注入し、各流出液は捨てる。次いで1 mol/L クエン酸カリウム溶液及びメタノール(3:1)混液 20 mL を注入し、カラムの上に同混液約 10 mL が残るまで流出させ、流出液は捨てる。このカラムを、①のミニカラムの下に連結し、①のミニカラムに1 mol/L クエン酸カリウム溶液及びメタノール(3:1)混液 20 mL を注入し、流出液を捨て、更に 10 分間通気して脱水する。 ①のミニカラムを捨て、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムに水 10 mL 、水( p H 2.4 ) 10 mL 及び 30 %メタノール含有水( p H 2.4 ) 10 mL を順次注入し、各流出液を捨て、更に 15 分間通気して脱水する。次いで、メタノール 10 mL を注入し、溶出液を 50 ℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び 0.03 mol/L リン酸緩衝液( 28 : 72 )混液 0.5 mL に溶解したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成
ピリチオバックナトリウム塩標準品をメタノールに溶解して標準原液を調製し、アセトニトリル及び 0.03 mol/L リン酸緩衝液( 28 : 72 )混液で希釈して、 0.03 ~ 0.8 mg/L の標準溶液を数点調製し、それぞれ 100 μ L を HPLC に注入し、ピーク高法又はピーク面積法により検量線を作成する。 6.定量  試験溶液 100 μ L を HPLC 又は LC/MS ( LC/MS/MS )に注入し、5の検量線でピリチオバックナトリウム塩の含量を求める。

7.確認試験
LC/MS ( LC/MS/MS )により確認する。

8.測定条件
HPLC (カラムスイッチング方式)
検出器: UV (波長 254 nm )
  カラム①:シアノプロピルシリル化シリカゲル(粒径5μ m ) 内径 4.0 mm 、長さ 150 mm
  カラム②:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μ m )、内径 4.6 mm 、長さ 250 mm
カラム温度: 40 ℃
移動相:
A :アセトニトリル、 B : 0.03 mol/L リン酸緩衝液( p H 3.0 )、 C :水

カラム①とカラム②を離した状態で、試験溶液を注入後、 A28 %、 B72 %、流速1 mL/ 分で操作し、ピリチオバックナトリウム塩の保持時間直前(注入から8~ 10 分後)にカラム①とカラム②をつなぎ、ピリチオバックナトリウム塩をカラム①からカラム②に移す。 ピリチオバックナトリウム塩がカラム②に移動した後、カラム①とカラム②を切り離し、カラム①を A 75 %、 C 25 %、流速2 mL/ 分で5分間洗浄する。次いで、 A 43 %、 B 57 %、流速2 mL/ 分で 10 分間調整した後、同移動相、流速1 mL/ 分で1分間調整する。 再びカラム①とカラム②をつなぎ、 A 43 %、 B 57 %、流速1 mL/ 分で操作し、ピリチオバックナトリウム塩を溶出させる。 次いで、両カラムを A 75 %、 C 25 %、流速1 mL/ 分で 15 分間洗浄した後、 A 43 %、 B 57 %、流速1 mL/ 分で調整する。 カラム①とカラム②を離し、カラム①を A 28 %、 B 72 %、流速2 mL/ 分で5分間調整した後、流速1 mL/ 分で1分間調整する。 注入量: 100 μ L 保持時間の目安: 37 分

LC/MS/MS
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径 5μ m ) 内径 4.6 mm 、長さ 150 mm
カラム温度: 30 ℃
移動相: A 液及び B 液について下の表の濃度勾配で送液する。
A 液:1% 酢酸
B 液:アセトニトリル

時間(分) A液(%) B液(%)
85 15
85 15
17 40 60
18 10 90
25 10 90
35 終了

流量: 1.0 mL/ 分
イオン化モード: APCI 主なイオン ( m/z ) : ESI( + )  プリカーサーイオン 327 、プロダクトイオン 309
注入量: 100 μ L
保持時間の目安: 15 分

9.定量限界
 0.01 mg/kg

10 .留意事項
1)試験法の概要 試料からピリチオバックナトリウム塩をアセトニトリル及び 0.01 mol/L 炭酸アンモニウム溶液(2:1)混液で抽出し、ジクロロメタンで洗浄した後、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム及びオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムで精製し、カラムスイッチングシステム付き HPLC-UV 又は LC/MS ( LC/MS/MS )で測定し、 LC/MS ( LC/MS/MS )で確認する方法である。

2) 注意点
① 本法は DuPont 社が開発した、綿実を対象とした試験法である。 Sumpter, S.R. らの方法ではカラムスイッチングシステム付き HPLC で測定している。 LC/MS/MS の条件は、 Bramble, F.Q. らの報告を引用した。
② 0.03 mol/L リン酸緩衝液( p H 3.0 )は毎日使用前に 0.45 μ m のフィルターでろ過する
③ 試験溶液の調製時は、アセトニトリル及び 0.03 mol/L リン酸緩衝液( 28 : 72 )混液に溶解する前の状態で冷蔵保存可能である。

11 .参考文献    Bramble, F.Q. ら, Analytical method for the determination of pyrithiobac sodium in cotton gin trash using ASE extraction and LC/MS/MS analysis, DuPont 社報告、 http://www.epa.gov/oppbead1/methods/rammethods/2001_035M.tif  

12 .類型 D( Sumpter,S.R. ら, Improved analytical enforcement method for the determination of KIH-2031(DPX-PE350) residues in cottonseed using column-switching liquid chromatography 、 DuPont 社報告、 http://www.epa.gov/oppbead1/methods/rammethods/1994_001M.tif


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