人が経口的に服用する物が、薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かについては、昭和46年6月1日付け薬発第476号厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別紙「医薬品の範囲に関する基準」(以下「基準」という。)により判断してきたところであるが、今般、同通知及び基準の一部を別紙のとおり改正したので、下記の趣旨を御了知の上、貴管下関係業者に対する指導取締りについて御配慮願いたい。
記
第1 改正の趣旨
今回の改正については、食生活の多様化、医薬品としての使用実態の変化等による一般消費者の意識の変化等を踏まえ、必要な事項について見直したものであること。
第2 改正の要旨及び留意事項
1 医薬品の該当性については、原則として薬事法における医薬品の定義に照らし合わせて判断するものであって、基準は当該判断に資するよう過去の判断を例示したものである旨を明確化する記述を追加したこと。また、当該記述の追加によって、従来の取扱いが変更されるものではないこと。
2 基準において「野菜、果物、菓子、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物」については、いわゆる「明らか食品」であると判断してきたところ、「菓子」については、昨今、多様な製品が流通しており、直ちに医薬品 に該当しないものとの判断は行われず、判定方法に基づき総合的に判断していることから、削除するものであること。また、当該記述の削除によって、従来の取扱いが変更されるものではなく、菓子が医薬品に該当するか否かについては、引き続き、薬事法における医薬品の定義に照らし併せ、総合的に判断すること。
3 基準の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(以下「専ら医薬品リスト」という。)及び別添3「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(以下「非専ら医薬品リスト」という。)については、科学的な検証に基づき定期的に見直しを行うこととしていることから、今般、新たな知見等に基づき以下の成分本質(原材料)等について、所要の改正を行ったものであること。
(1) 非専ら医薬品リストに掲載してきたが、今般、当該リストから削除し、専ら医薬品リストに追加した成分本質(原材料)
○植物由来物等
サイシン(全草(根・根茎を除く。*))
* 根・根茎は既に「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に例示されている。
(2) 専ら医薬品リストに掲載してきたが、今般、当該リストから削除し、非専ら医薬品リストに追加した成分本質(原材料)
○植物由来物等
① 名称の変更をしていないもの
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アオダモ、インドボダイジュ、カガミグサ、カンラン、コオウレン、コハク、セイヨウサンザシ(葉)、セキイ、センタウリウムソウ、ソウジュヨウ、トラガント、ニクジュヨウ、ニョテイ(種子・果実)、ハマメリス、メナモミ(茎)、ヤブタバコ(果実)、リュウノウ |
② 名称を変更したもの(変更前の名称は[ ]内に記載)
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イチヤクソウ[ロクイテイソウ]、オシャグジタケ[サヨウ]、オミナエシ[ハイショウ]、カキ<柿>(果実の宿存がく)[シテイ]、コパイーバ・オフィシナリス[コパイーバ]、シオデ属(根)[サルサ]、シシウド*(根茎)[ドクカツ]、シナクラノキ[ソウボク]、タチバナ(果皮)[キッピ]、クラノキ(根皮、樹皮)[タラコンピ]、トウモロコシ(花柱・柱頭)[ナンバンゲ]、ナベナ[ゾクダン]、ヌルデ[ゴバイシ]、ノアザミ[タイケイ]、ヤマモモ[ヨウバイヒ]、ワレモコウ[チユ] * ドクカツをウドとシシウドに分割し、シシウドのみを変更する。 |
○動物由来物等
① 名称を変更したもの(変更前の名称は[ ]内に記載)
オオヤモリ[ゴウカイ]
(3) 専ら医薬品リストに掲載してきたが、その対象範囲の見直しを行った成分本質(原材料)
○植物由来物等
トリカブト属
* 「サンヨウブシは除く」としていたが、この規定を削除するもの。
(4) 対象範囲を明確化等するために名称・他名等を整理した成分本質(原材料)
1) 専ら医薬品リストに掲載してきた成分本質(原材料)
○植物由来物等
カッコウをカッコウ及びカワミドリに整理
セイコウをオウカコウ及びセイコウに整理
センダンをセンダン及びトウセンダンに整理
アラビアモツヤク及びモツヤクをコンフォミラ属に整理
2) 非専ら医薬品リストに掲載してきた成分本質(原材料)
○植物由来物等
レイシ<茘枝>及びレイシカクをレイシ<茘枝>に整理
(5) 非専ら医薬品リス卜に掲載してきた成分本質(原材料)のうち、動物由来物等から植物由来物等に分類を変更するもの
アシドフィルス菌、酵母、乳酸菌、ビフィズス菌
(6) 専ら医薬品リスト又は非専ら医薬品リストに追加した成分本質(原材料):
1) 専ら医薬品リストに追加した成分本質(原材料)
○植物由来物等
カクコウ、ハルマラ(種子)
○その他(化学物質等)
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アミノタダラフィル、イミダゾサガトリアジノン、キサントアントラフィル、クロロプレタダラフィル、ゲンデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、デキストロメトルファン、ノルネオシルデナフィル、バルデナフィル、ハルマリシ、ハルミン、ヒドロキシホモシルデナフィル、ヒドロキシホンデナフィル、プソイドバルデナフィル、ブフォテニン、ホンデナフィル |
2) 非専ら医薬品リストに追加した成分本質(原材料)
○植物由来物等
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アメリカニンジン(根・葉・茎)、イグサ(地上部の熱水抽出後の残渣)、エーデルワイス、オオムギ(茎)、オニサルビア、カッコウアザミ、カニクサ、酵母(トルラ酵母)、シタン(根・樹皮・材)、タコノアシ、チョウマメ、トックリイチゴ、トロロアオイ、ネギ、ビルマネム、ペピーノ、ボタンボウフウ、モリシマアカシア |
○動物由来物等
ヒレイケチョウガイ
○その他(イヒ学物質等)
L-シトルリン
(7) 名称、他名等、部位等及び備考を変更した成分本質(原材料)
1) 専ら医薬品リストに掲載されている成分本質(原材料)
○植物由来物等
① 名称を含め変更したもの(変更前の名称は[ ]内に記載)
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カッシア・アウリキュラータ[ミミセンナ]、キンリュウカ属[キンリュウカ]、クロウメモドキ属[ソリシ]、ケファエリス属[トコン属]、コンドロデンドロン属[バリエラ属]、ジギタリス属[ジギタリス]、シマハスノハカズラ[フンボウイ]、デンドロビウム属[セッコク]、フクジュソウ属[フクジュソウ]、ヘパティカ・ノビリス[ユキワリソウ]、ホオズキ属[サンショウコン]、ボスウェリア属[ニュウコウ]、ポテンティラ・アンセリナ[トウツルキンバイ]、ポドフィルム属[ポドフィルム]、モウオウレン[モウオオレン] |
② 名称以外の欄を変更したもの
サンキライ、ジャショウ、ショウボクヒ、センソウ、トウシンソウ、フジコブ、モクベッシ、リョウキョウ
○動物由来物等
① 名称を含め変更したもの(変更前の名称は[ ]内に記載)
センクイ[センタイ]
② 名称以外の欄を変更したもの
コウクベン、ゴレイシ
○その他(化学物質等)
① 名称を含め変更したもの(変更前の名称は[ ]内に記載)
セキテッコウ[タイシャセキ]
② 名称以外の欄を変更したもの
アスピジン、インベルターゼ、1-デオキシノジリマイシン、マルクーゼ、ラクターゼ
2)非専ら医薬品リストに掲載されている成分本質(原材料)
○植物由来物等
① 名称を含め変更したもの(変更前の名称は[ ]内に記載)
コパイーバ・ラングスドルフィ[コパイーバ]、フジ[フジコブ]
② 名称以外の欄を変更したもの
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ウド、ガムググル、カンカニクジュヨウ、サラシア・レティキュラータ、サンキライ、センダン、ボスウェリア・セラータ |
○動物由来物等
① 名称を含め変更したもの(変更前の名称は[ ]内に記載)
ニホンヤモジ[オオヤモリ]
(8) 専ら医薬品リストに掲載してきたが、麻薬等に指定されたためリストから削除する成分本質(原材料)
○その他(イヒ学物質等)
AMT、2C-Ⅰ、2-CT-2、2-CT-7、GHB、TMA-2、BZP
(9) サイシン全草(根・根茎を除く)及びサンヨウブシについては、当該成分本質(原材料)を配合又は含有する製品の取扱いについて、平成19年5月16日までの間、その成分本質(原材料)の分類のみをもって、直ちに医薬品に該当するとの判断を行わないこととしたこと。
別紙 薬食発第0417001号 別紙.pdf