食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成17年厚生労働省告示第343号)が本日公布され、その内容については、本日付け食安発第0720002号当職通知をもって通知したところである。
これに関連して、今般、動物用医薬品ラクトパミンに係る試験法について別添のとおり定めたので、関係者への周知方よろしくお願いする。
なお、上記試験法を実施するに際しては、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124002号当職通知)別添の第1章総則([注]厚生労働省のサイトにリンク)部分を参考とされたい。
別添
ラクトパミン試験法
1.分析対象化合物
ラクトパミン
2.装置
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の2に示すものを用いる。
塩酸ラクトパミン標準品 本品は塩酸ラクトパミン99%以上を含み、融点は163.9~164.6℃である。
4.試験溶液の調製
1)筋肉、肝臓、腎臓及びその他の食用部分の場合
筋肉の場合は、可能な限り脂肪層を除き、細切均一化した後、その5.00 gを量り採る。
肝臓、腎臓及びその他の食用部分の場合は、細切均一化した後、その5.00 gを量り採る。
これに酢酸エチル 20 mL及び4 mol/L炭酸カリウム溶液1 mLを加えてホモジナイズした後、毎分3,000回転で 10分間遠心分離を行い、酢酸エチル層を採る。遠心分離管の残留物に酢酸エチル 20 mLを加え、5分間振とうした後、上記と同様の条件で遠心分離を行い、得られた酢酸エチル層を合わせ、40℃以下で濃縮し、酢酸エチルを除去する。この残留物にアセトニトリル 30 mLを加えて溶かし、分液ロートに移す。これにアセトニトリル飽和n-ヘキサン 30 mLを加えて振とうし、n-ヘキサン層を捨てる操作を2回繰り返す。アセトニトリル層を40℃以下で濃縮し、アセトニトリルを除去する。この残留物にメタノール 1.0 mLを加えて溶かし、これを試験溶液とする。
2)脂肪の場合
可能な限り筋肉層を除き、細切均一化した後、その5.00 gを量り採る。
これにアセトニトリル 30 mL及びアセトニトリル飽和n-ヘキサン 30 mLを加えてホモジナイズした後、毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い、アセトニトリル層を分液ロートに採る。遠心分離管のn-ヘキサン層及び残留物にアセトニトリル 30 mLを加えて5分間振とうし、上記と同様の条件で遠心分離を行う。得られたアセトニトリル層を先の分液ロートに合わせ、これにアセトニトリル飽和n-ヘキサン 30 mLを加える。5分間激しく振り混ぜた後、静置し、アセトニトリル層を採り、40℃以下で濃縮し、アセトニトリルを除去する。この残留物にメタノール 1.0 mLを加えて溶解し、これを試験溶液とする。
5.検量線の作成
塩酸ラクトパミン標準品の 0.025~0.5 mg(ラクトパミンとして)/Lメタノール溶液を数点調製し、それぞれLC/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液をLC/MSに注入し、5.の検量線でラクトパミンの含量を求める。
7.測定条件
LC/MS
カラム: オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径 2~5 mm)、
内径 2.0~6.0 mm、長さ 100~250 mmのステンレス管を用いる。
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル及び0.05% トリフルオロ酢酸の混液(1:4)
主なイオン(m/z):ESI+において302
保持時間の目安: 4~6分
8.定量限界
0.01 mg/kg
9.留意事項
1) 試験法の概要
ラクトパミンを試料から酢酸エチル又はアセトニトリルで抽出し、アセトニトリル/ヘキサン分配により脱脂した後、LC/MSで測定及び確認する方法である。
2) 注意点
①ラクトパミンには4種類の光学異性体が存在する。用いるカラムによっては光学異性体が分離される場合があるので、複数のピークが認められる場合は、各ピーク高又はピーク面積の和をとり計算すること。
②主なイオンは用いる装置により、最適なイオン化方法、生成するイオンが異なる場合があるので、装置ごとに最適条件を検討すること。
主なイオンの他に確認できるイオンとして、ESI+においては284(m/z)がある。
10.参考文献
なし
11.類型
C