食品衛生法施行規則の一部を改正する省令、食品、添加物等の規格基準の 一部を改正する件及び既存添加物名簿の一部を改正する件について
食品衛生法施行規則の一部を改正する省令(平成16 年厚生労働省令第181号)、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成16年厚生労働省告示第448号)及び既存添加物名簿の一部を改正する件(平成16年厚生労働省告示第449号)が本日公布、施行・一部適用され、これにより食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「省令」という。)、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「昭和34年告示」という。)及び既存添加物名簿(平成8年4月16日厚生省告示第120号。以下「平成8年告示」という。)の一部が改正されたので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のなきよう取り計らわれたい。
記
第1 改正の概要
1 省令関係
食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第10条の規定に基づき、イソブタノール、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン及び2-エチル-3,6-ジメチルピラジンの混合物、ステアリン酸カルシウム及び2,3,5,6-テトラメチルピラジンを省令別表第1に追加すること。
2 昭和34年告示関係
(1)法第11条第1項の規定に基づき、イソブタノール、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン及び2-エチル-3,6-ジメチルピラジンの混合物及び2,3,5,6-テトラメチルピラジン(以下「香料」という。)の成分規格及び使用基準を設定するとともに、当該成分規格の設定に伴い、一般試験法として香料のガスクロマトグラフィーを追加すること。
(2)法第11条第1項の規定に基づき、ステアリン酸カルシウムの成分規格を設定すること。
(3)法第11条第1項の規定に基づき、グルコン酸亜鉛及びグルコン酸銅の使用対象食品として「保健機能食品(特定保健用食品及び栄養機能食品)」を使用基準に追加するとともに、当該物質の使用限度量を設定すること。
(4)平成8年告示の改正に伴い、法第11条第1項の規定に基づき、コウジ酸に係る規定を削除すること。
3 平成8年告示関係
消除予定添加物名簿(平成16年厚生労働省告示第41号)に記載されている添加物の名称を平成8年告示から消除すること。
第2 施行・適用期日
1 省令関係
公布日から施行すること。
2 昭和34年告示関係
公布日から適用すること。
ただし、コウジ酸に係る規定は、平成17年2月25日から適用すること。
3 平成8年告示関係
平成17年2月25日から適用すること。
第3 運用上の注意
1 使用基準関係
香料については、「着香の目的以外に使用してはならない。」との使用基準を設定することから、有機溶剤として使用する等の着香の目的以外の使用は認められないこと。
2 添加物の表示関係
香料及びステアリン酸カルシウム並びにこれらを含む食品及び添加物製剤については、法第19条第1項の規定に基づき添加物の表示を行うよう、関係業者に対して指導されたいこと。
なお、今回の省令及び昭和34年告示の改正に伴い、平成8年5月23日衛化第56号厚生省生活衛生局長通知「食品衛生法に基づく添加物の表示等について」の一部を次のとおり改正する。
(1)別紙1「簡略名一覧表」中
「|水酸化カルシウム |水酸化Ca |」の
次に
「|ステアリン酸カルシウム |ステアリン酸Ca |」を
加える。
(2)別紙2「同種の機能の添加物を併用した場合における簡略名の例」の2中
「|DL-酒石酸水素カリウム及びDL-酒石酸ナトリウム |酒石酸塩(K,Na) |」の
次に
「|ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム |ステアリン酸(Ca,Mg)|」を
加える。
(3)別紙4「各一括名の定義及びその添加物の範囲」の7香料の(3)に「イソブタノール」、「2-エチル-3,5-ジメチルピラジン及び2-エチル-3,6-ジメチルピラジンの混合物」及び「2,3,5,6-テトラメチルピラジン」を加える。
改正後の別紙4「各一括名の定義及びその添加物の範囲」の7香料の(3)は次のとおり。
(3)添加物の範囲 以下の添加物を香料としての目的で使用する場合。
アセト酢酸エチル |
アセトフェノン |
アニスアルデヒド |
a-アミルシンナムアルデヒド |
アントラニル酸メチル |
イオノン |
イソオイゲノール |
イソ吉草酸イソアミル |
イン吉草酸エチル |
イソチオシアネート類 |
イソチオシアン酸アリル |
イソブタノール |
インドール及びその誘導体 |
g-ウンデカラクトン |
エステル類 |
2-エチル-3,5-ジメチルピラジン及び |
|
2-エチル-3,6-ジメチルピラジンの混合物 |
エチルバニリン |
エーテル類 |
オイゲノール |
オクタナール |
オクタン酸エチル |
ギ酸イソアミル |
ギ酸ゲラニル |
ギ酸シトロネリル |
ケイ皮酸 |
ケイ皮酸エチル |
ケイ皮酸メチル |
ケトン類 |
ゲラニオール |
酢酸イソアミル |
酢酸エチル |
酢酸ゲラニル |
酢酸シクロヘキシル |
酢酸シトロネリル |
酢酸シンナミル |
酢酸テルピニル |
酢酸フェネチル |
酢酸ブチル |
酢酸ベンジル |
酢酸l-メンチル |
酢酸リナリル |
サリチル酸メチル |
シクロヘキシルプロピオン酸アリル |
シトラール |
シトロネラール |
シトロネロール |
1,8-シオネール |
脂肪酸類 |
脂肪族高級アルコール類 |
脂肪族高級アルデヒド類 |
脂肪族高級炭化水素類 |
シンナミルアルコール |
シンナムアルデヒド |
チオエーテル類 |
チオール類 |
デカナール |
デカノール |
デカン酸エチル |
2,3,5,6-テトラメチルピラジン |
テルピネオール |
テルペン系炭化水素類 |
g-ノナラクトン |
バニリン |
パラメチルアセトフェノン |
ヒドロキシシトロネラール |
ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール |
ピペロナール |
フェニル酢酸イソアミル |
フェニル酢酸イソブチル |
フェニル酢酸エチル |
フェノールエーテル類 |
フェノール類 |
フルフラール及びその誘導体 |
プロピオン酸 |
プロピオン酸イソアミル |
プロピオン酸エチル |
プロピオン酸ベンジル |
へキサン酸 |
へキサン酸アリル |
へキサン酸エチル |
へブタン酸エチル |
l-ペリルアルデヒド |
ベンジルアルコール |
ベンズアルデヒド |
芳香族アルコール類 |
芳香族アルデヒド類 |
d-ボルネオール |
マルトール |
N-メチルアントラニル酸メチル |
メチルb-ナフチルケトン |
dl-メントール |
l-メントール |
酪酸 |
酪酸イソアミル |
酪酸エチル |
酪酸シクロヘキシル |
酪酸ブチル |
ラクトン類 |
リナロオール |
別添2に掲げる添加物 |
(4)別紙5「栄養強化の目的が考えられる添加物の範囲」の(2)中「29品目」を「30品目」とし、「ステアリン酸カルシウム」を加える。
改正後の別紙5「栄養強化の目的が考えられる添加物の範囲」の(2)は次のとおり。
(2)ミネラル類(30品目)
亜鉛塩類(グルコン酸亜鉛及び硫酸亜鉛に限る。) |
塩化カルシウム |
塩化第二鉄 |
塩化マグネシウム |
クエン酸カルシウム |
クエン酸第一鉄ナトリウム |
クエン酸鉄 |
クエン酸鉄アンモニウム |
グリセロリン酸カルシウム |
グルコン酸カルシウム |
グリコン酸第一鉄 |
酸化マグネシウム |
水酸化カルシウム |
ステアリン酸カルシウム |
炭酸カルシウム |
炭酸マグネシウム |
銅塩類(グルコン酸銅及び硫酸銅に限る。) |
乳酸カルシウム |
乳酸鉄 |
ピロリン酸二水素カルシウム |
ピロリン酸第二鉄 |
硫酸カルシウム |
硫酸第一鉄 |
硫酸マグネシウム |
リン酸三カルシウム |
リン酸三マグネシウム |
リン酸一水素カルシウム |
リン酸二水素カルシウム |
3 平成8年告示関係
平成8年告示から消除された添加物については、法第10条の規定に基づき、その販売、又は販売の用に供するための製造、輸入、加工若しくは使用等が禁止されるものであること。
第4 その他
グルコン酸亜鉛及びグルコン酸銅関係
食品安全委員会における「なお、今回評価を行ったULは成人を対象としたものであり、乳幼児~小児が過剰に亜鉛(銅)を摂取することがないよう、適切な注意喚起が行われるべきである。」(注)との食品健康影響評価の結果を踏まえ、「「栄養成分の補給ができる旨の表示」及び「栄養機能食品」の対象成分への亜鉛、銅及びマグネシウムの追加について(健康増進法施行規則の一部を改正する省令、栄養表示基準の一部を改正する件及び栄養機能食品の表示に関する基準の一部を改正する件の施行等について)」(平成16年3月25日食安新発第0325001号厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室長通知)等を参考に適切な注意喚起を行うこと。
(注):引用文中の「UL」は「許容上限摂取量」の略である。