通知

 

食安発第0604002号

平成16年06月04日

都道府県知事

保健所設置市長

特別区長

殿

医薬食品局食品安全部

 

 

食品、添加物等の規格基準の一部改正に係る食品中の残留農薬等試験法について

 

 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部が、本日、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成16年厚生労働省告示第233号)をもって改正され、その運用についても本日、食安発第0604001号当職通知をもって別途通知したところである。
 ついては、今般、新たに残留基準を設定したノバルロンについて、別添のとおり試験法を定めたので、下記の事項に留意の上、関係者への周知方よろしくお願いする。


1 試験法の概要
 新たに残留基準を設定したノバルロンにつき、その試験法を定めたこと。
2 運用上の留意事項
 (1)通知に示す以外の方法により試験を実施する場合は、通知に示す試験法と同 等以上の性能を有する試験法によること。
 (2)別添の試験法に用いる検体は、食品、添加物等の規格基準第1食品の部D各条の項の○穀類、豆類、果実、野菜、種実類、茶及びホップの2穀類、豆類、果実、野菜、種実類、茶及びホップの成分規格の試験法の目の(1)に掲げるものとすること。
 (3)別添の試験法で使用する試薬・試液は、特に記載したものを除き、食品、添加物等の規格基準第1食品の部D各条の項の○穀類、豆類、果実、野菜、種実類、茶及びホップの2穀類、豆類、果実、野菜、種実類、茶及びホップの成分規格の試験法の目の(2)及び第2添加物の部C試薬・試液等の項に記載されているものを使用すること。
 (4)果実及び野菜等の検体を調製する場合、現行告示の抽出法に係る規定を参考に、検査対象全体を代表するよう検体を採取し、それを細切等の上均一化し試験に供する試料とすること。



(別添)

食品中の残留農薬等試験法

平成16年6月

厚生労働省医薬食品局食品安全部


食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の試験法について、次のとおり定める。
 

ノバルロン試験法


(注)用語の定義等
1 「定量限界」とは、一般に、試料に含まれる分析対象物の定量が可能な最低の量又は濃度のこと。概ねS/N=10となる分析対象物質の量を試料中の農薬濃度として示した。なお、Sは分析対象物のピーク高さ、Nはベースラインノイズを指す。
2 「類型」については、当該試験法の由来を示すものであり、以下のように分類した。
A:日本国内の公定分析法(環境省告示試験法など)
B:諸外国の公定分析法、マニュアル等(米、独、オランダ、EUなど)
C:厚生労働省試験法検討班作成の試験法
D:文献等から引用した試験法



食品中の残留農薬等の試験
 

ノバルロン試験法

 
1.分析対象化合物
 ノバルロン

2.装置
紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ (HPLC(UV))
液体クロマトグラフ・質量分析計 (LC/MS)

3.試薬、試液
次に示すもの以外は、第1 食品の部D 各条の項の○ 穀類、豆類、果実、野菜、種実類、茶及びホップの2 穀類、豆類、果実、野菜、種実類、茶及びホップの成分規格の試験法の目の(2) 試薬・試液に示すものを用いる。 メタノール 高速液体クロマトグラフ用に製造されたもの ノバルロン標準品 本品はノバルロン 99%以上を含み、融点は176~178℃である。

4.試験溶液の調製
1) 抽出
① 穀類、豆類及び種実類の場合
 試料 10.0 g を量り採り、水 20 mLを加え、2 時間放置する。
 これにアセトン 100 mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトン50 mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液にアセトンを加えて正確に 200 mLとする。この 100 mLを採り、40℃以下で約 15 mLまで濃縮する。これに 10%塩化ナトリウム溶液 100 mLを加え、n-ヘキサン 100 mL及び 50 mLで 2 回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を 40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
 この残留物にn-ヘキサン 50 mLを加え、n-ヘキサン飽和アセトニトリル 50 mLずつで 2 回振とう抽出する。抽出液を合わせ、 40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn-ヘキサン 5 mLを加えて溶かす。
② 果実及び野菜の場合
 試料 20.0 g にアセトン 100 mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、アセトン 50 mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液にアセトンを加えて正確に 200 mLとする。この 100 mLを採り、 40℃以下で約 15 mLまで濃縮する。これに 10%塩化ナトリウム溶液 100 mLを加え、n-ヘキサン 100 mL及び 50 mLで 2 回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を 40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn-ヘキサン 5 mLを加えて溶かす。

2) 精製
① 活性炭カラムクロマトグラフィー
 活性炭ミニカラム (500 mg) にn-ヘキサン 10 mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに、1) で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、n-ヘキサン 5 mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル・n-ヘキサン混液 (1:1) 20 mLを注入し、溶出液を 40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に酢酸エチル・n-ヘキサン混液 (1:19) 5 mLを加えて溶かす。
② アミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
 アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム (360 mg) に酢酸エチル・n-ヘキサン混液 (1:19) 10 mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに ①で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、酢酸エチル・n-ヘキサン混液 (1:19) 10 mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル・n-ヘキサン混液 (1:1) 10 mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を水・メタノール混液 (1:4) に溶解し、正確に 2 mL (穀類、豆類及び種実類の場合は、1 mL)としたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成
 ノバルロン標準品の 0.1~2 mg/L水・メタノール混液 (1:4) 溶液を数点調製し、それぞれ 40 μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量
 試験溶液 40 μLをHPLCに注入し、5の検量線でノバルロンの含量を求める。

7.測定条件
1) HPLC
 検出器: UV (波長 252 nm)
 カラム: オクタデシルシリル化シリカゲル (粒径 5 μm)、内径 4~4.6 mm、長さ 250 mm
 カラム温度: 40℃
 移動相: 水・メタノール混液 (1:4)
 保持時間の目安: 8分
2) LC/MS
 カラム: オクタデシルシリル化シリカゲル (粒径 5 μm)、内径 2 mm、長さ 150 mm
 移動相: 水・メタノール混液 (1:4)
 イオン化モード: ESI
 主なイオン (m/z): 正イオンモード 493、515、 負イオンモード 491
 注入量: 2 μL
 保持時間の目安: 5分

8.定量限界
 0.02 mg/kg

9.留意事項
1) 試験法の概要 ノバルロンを試料からアセトンで抽出し、n-ヘキサンに転溶する。果実、野菜はそのまま、穀類、豆類、種実類はアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂した後、活性炭ミニカラム及びアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムにより精製した後、HPLC(UV)で測定し、LC/MSで確認する方法である。
2) 注意点
① 活性炭ミニカラムにおける溶出挙動は、試料の種類や試料負荷量によって影響を受けやすいので注意を要する。当該カラムは精製の初期段階で使用しているので、保持力の低下を起こしやすく、洗浄画分にノバルロンが溶出される可能性がある。その場合は、n-ヘキサン洗浄を省略して、酢酸エチル・n-ヘキサン混液 (1:1) のみで負荷および溶出を行う必要がある。
② 精製が不十分な場合は、シリカゲルミニカラム (690 mg) [アセトン・n-ヘキサン混液 (1:19)10 mLで洗浄、アセトン・n-ヘキサン混液 (3:7) 10 mLで溶出]やオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム (1000 mg) [アセトニトリル・水混液 (1:1) 10 mLで洗浄、アセトニトリル・水混液 (4:1) 10 mL又はアセトニトリル 10 mLで溶出]などによる精製を追加するとよい。

10.参考文献
1)厚生労働省告示第56号「クロルフルアズロン等7農薬の試験法」(平成12年2月26日)

11.類型
  C

12.その他
 平成16年2月25日付け厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課事務連絡「食品中の残留農薬等試験法に係る分析上の注意事項について」の別添を参考にすること。



公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

本部 大阪府豊中市三和町1丁目1番11号

TEL(06)6333-5680 FAX(06)6333-5491

お問い合わせはこちらへ

東京分室 東京都中央区日本橋本町4丁目6番3号 SEGビルアネックス2階

English Top