食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)の一部が平成9年9月1目厚生省告示第179号をもって改正され、その運用については平成9年9月1日付け衛化第109号をもって厚生省生活衛生局長より各都道府県知事、政令市市長及び特別区区長あて通知されたところであるが、さらに下記の点に留意の上、その取扱いに遺憾のないようにされたい。
記
第1 残留基準値
1 新たに残留基準値を設定したMCPAは、4-クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸を呼ぶものであること。なお、農薬取締法に基づき、MCPAのチオエチルエステル体がフェノチオールとして、また、MCPAのナトリウム塩及びエチルエステル体がMCPとして登録されている。
2 新たに残留基準値を設定したイミノクタジンは、イミノクタジン三酢酸塩の定量を行い、これに係数を乗じてイミノクタジンの含量に換算した値を分析値とすること。
3 新たに残留基準値を設定したジフェンゾコートは、ジフェンゾコートメチル硫酸の定量を行い、これに係数を乗じてジフェンゾコートの含量に換算した値を分析値とすること。
4 新たに残留基準値を設定したニテンピラムは、ニテンピラム並びにその代謝物である2-[N-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-N-エチル]アミノ-2-メチルイミノ酢酸(CPMA)及ぴN-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-N-エチル-N'-メチルホルムアミジン(CPMF)から誘導されるN-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-N-エチルホルムアミド(CPF)のそれぞれについて定量を行い、、ニテンヒラム及ぴCPFの含量を求め、CPFについてはその含量に係数を乗じてニテンピラムの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
5 新たに残留基準値を設定したホセチルは、ホセチル及びその代謝物である亜リン酸のそれぞれについて定量を行い、亜リン酸についてはその含量に係数を乗じてホセチルの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
6 新たに残留基準値を設定したメパニピリムは、メパニピリム及びその代謝物である1-(2-アニリノ-6-メチルピリミジン-4-イル)-2-プロパノール(プロパノール体)のそれぞれについて定量を行い、プロパノール体についてはその含量に係数を乗じてメパニピリムの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
第2 試験法
1 改正の概要
新たにEPTC試験法等16試験法を追加するとともに、既存の試験法について次のとおり改正したこと。
(1) ピレスロイド系農薬の試験法について、「ジクロフルアニド及びフルシトリネート試験法」、「シハロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン及びペルメトリン試験法」、「シフルトリン及びフルバリネート試験法」、「トラロメトリン及びフェンバレレート試験法」及び「ピレトリン試験法」を「アクリナトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、トラロメトリン、ピレトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート及びペルメトリン試験法」及び「ジクロフルアニド試験法」に改正したこと。
(2) 「イソプロカルブ、エスプロカルブ、ジエトフェンカルブ、チオベンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、フェナリモル、フルトラニル、プレチラクロール、ペンディメタリン、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法」について、分析対象農薬にピリプロキシフェン及びメトラクロールを追加したこと。
(3) (1)の「ジクロフルアニド試験法」について、植物成分による農薬の分解を防止するため、検体の細切均一化時に塩酸を添加することとしたほか、抽出溶媒の変更、茶の抽出法へのタンニン除去操作の追加、キャピラリーカラムへの変更等を行ったこと。
(4) 「ジフェノコナゾール、トリアジメノール及びプロピコナゾール試験法」について、分析対象農薬にシプロコナゾール及びテブコナゾールを追加したほか、定性試験の操作条件の変更を行ったこと。
2 分析上の注意事項
(1)MCPA及びジカンバ試験法
加水分解後の濃縮操作時に突沸しやすいので留意すること。また、トリフルオロエチルエステル化後は揮散しやすいため、濃縮操作は慎重に行う必要があること。
(2)イミノクタジン試験法
イミノクタジンは塩基性状態でガラスに吸着されやすいため、抽出及び洗浄の操作時に、あらかじめトリエチルアミン溶液を添加してガラス器具のシラノール基を隠蔽しておく必要があること。また、農薬の植物成分への吸着を防止するため、検体の細切均一化時に塩酸グアニジンを添加すること。
(3)エトベンザニド試験法
検体を粉砕するときは、農薬の分解及び植物成分の変化を防止するため、熱を生じない方式の粉砕機を使用する必要があること。また、粉砕からn一ヘキサンによる再抽出までの操作を速やかに行う必要があること。
(4)ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール及びプロピコナゾール試験法
ジフェノコナゾール及びプロピコナゾールについては、定性、定量及び確認試験において、それぞれ2本のピークとして検出されるため、両ピークの面積の合計により検量線を作成する必要があること。
(5)ブチレート試験法
濃縮操作時に揮散しやすいため、精製後の濃縮操作においては1m1程度残すこと。
3 検出限界
新たに残留基準値を設定した各農薬の検出限界及び試験法の見直しを行った農薬の検出限界を、それぞれ
別紙1及び2
に示すので、試験を行う際に留意すること。
第3 適用期日
平成10年3月1日から適用すること。
第4 その他
今回の告示においては、上記の残留農薬基準の整備のほか、添加物の部中標準品及びキシリトールの定量法について所要の整備を行ったこと。