食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和6年厚生労働省告示第29号)が本日告示され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が改正されたところです。
改正の概要等につきましては下記のとおりですので、関係者への周知をお願いするとともに、その運用に遺漏のないようよろしくお取り計らいをお願いします。
記
第1 改正の概要
告示中の第2 添加物の部が全面的に改正されたこと。
第2 主な改正内容
1.A 通則中の主な改正事項
通則3について、国際整合性の観点から参照する原子量表を変更し、通則28について、試験の実行性の確保のため、使用可能な試験器具を追加した。また、流通実態との整合性の確保のため、通則37(ネスラー管の項)を削除した。
2.B 一般試験法中の主な改正事項
科学技術の発展に伴い、元素分析法、残留溶媒試験法、質量分析法及び滴定終点検出法を新たに一般試験法として規定した。また、既存の一般試験法1について、技術の更新、国際整合性の確保、試験の実行性の確保、規定の精緻化又は試験に用いる器具若しくは試薬・試液の変更のため、記載整備等を行った。また、適用する品目がなくなったため、メトキシ基定量法の削除を行った。
3.C 試薬・試液等中の主な改正事項
⑴ 新たな一般試験法の設定や成分規格の規定に伴った試薬の追加2 を行った。試験の操作性の改善及び精度の向上、国際整合性、流通状況の反映、試薬・試液の旧名称の記載削除、用語、用例等の記載の統一等を目的として改正を行った。
⑵ 流通実態との整合化のため、「塩化水銀(II)」を削除した。また、記載整備のため「pH測定用」、「定量用」、「水分滴定用」等で始まる試薬の項目を全て削除し、試薬の名称から始まる記載に統一を行った。
⑶ 各品目の参照赤外吸収スペクトルを削除し、D 成分規格・保存基準各条の各品目に必要な参照赤外吸収スペクトルを新たに追加した。また、計量器として用器の規格を追加するための改正を行った。
4.D 成分規格・保存基準各条中の主な改正事項
⑴ 前文について、組換えDNA技術によって得られた生物を利用して製造された酵素のうち、酵素の定義の基原にかかる規定を適用しないものを明確にするための改正を行った。
⑵ 以下に示す既存添加物45品目に係る成分規格を新たに設定した。
「アグロバクテリウムスクシノグリカン」、「アスペルギルステレウス糖たん白質」、「うに殻焼成カルシウム」、「ウルシロウ」、「エレミ樹脂」、「塩水湖水低塩化ナトリウム液」、「カワラヨモギ抽出物」、「カンゾウ油性抽出物」、「グァーガム酵素分解物」、「クエルセチン」、「グルコサミン」、「くん液」、「ゲンチアナ抽出物」、「香辛料抽出物」、「酵素処理レシチン」、「コメヌカロウ」、「サトウキビロウ」、「サバクヨモギシードガム」、「シェラックロウ」、「ジェルトン」、「シタン色素」、「ジャマイカカッシア抽出物」、「植物炭末色素」、「精油除去ウイキョウ抽出物」、「セイヨウワサビ抽出物」、「造礁サンゴ焼成カルシウム」、「粗製海水塩化カリウム」、「チクル」、「チャ抽出物」、「トウガラシ水性抽出物」、「トレハロース」、「生コーヒー豆抽出物(ペースト品、液体品)」、「乳清焼成カルシウム」、「ヒアルロン酸」、「フィチン(抽出物)」、「分岐シクロデキストリン(粉末品)」、「ヘプタン」、「没食子酸」、「ミルラ」、「メバロン酸」、「モクロウ」、「レイシ抽出物(子実体)」、「ロシン」、「ローズマリー抽出物(水溶性)」、「ローズマリー抽出物(非水溶性)」
⑶ 以下に示す指定添加物105品目に係る成分規格(128項目)、既存添加物59品目に係る成分規格(86項目)及び添加物製剤2品目に係る成分規格(3項目)について、試験の操作性の改善及び精度の向上、名称及び構造式、用語、用例、計算式等の記載の統一、使用試薬・試液の変更等を目的として各成分規格の改正を行った。
ア 指定添加物
「亜塩素酸水」、「亜塩素酸ナトリウム」、「亜塩素酸ナトリウム液」、「アジピン酸」、「L-アスコルビン酸」、「L-アスコルビン酸カルシウム」、「L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル」、「L-アスコルビン酸ナトリム」、「L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル」、「アスパルテーム」、「アセトン」、「亜セレン酸ナトリウム」、「L-アルギニンL-グルタミン酸塩」、「アルギン酸プロピレングリコールエステル」、「安息香酸ナトリウム」、「イソプロパノール」、「エリソルビン酸」、「塩化カリウム」、「塩化カルシウム」、「塩化第二鉄」、「オルトフェニルフェノール」、「オルトフェニルフェノールナトリウム」、「過酸化水素」、「カルボキシメチルセルロースカルシウム」、「希釈過酸化ベンゾイル」、「クエン酸」、「クエン酸第一鉄ナトリウム」、「クエン酸鉄」、「クエン酸鉄アンモニウム」、「グリセリン」、「グルコン酸第一鉄」、「L-グルタミン酸カルシウム」、「L-グルタミン酸マグネシウム」、「ケイ酸カルシウム」、「ケイ酸マグネシウム」、「高度サラシ粉」、「酢酸エチル」、「酢酸カルシウム」、「酢酸ナトリウム」、「サッカリンナトリウム」、「酸化カルシウム」、「三二酸化鉄」、「次亜塩素酸水」、「次亜塩素酸ナトリウム」、「次亜臭素酸水」、「次亜硫酸ナトリウム」、「L-システイン塩酸塩」、「シュウ酸」、「臭素酸カリウム」、「DL-酒石酸」、「DL-酒石酸ナトリウム」、「L-酒石酸ナトリウム」、「水酸化カリウム」、「水酸化カリウム液」、「水酸化カルシウム」、「水酸化ナトリウム」、「水酸化ナトリウム液」、「ステアリン酸マグネシウム」、「ステアロイル乳酸カルシウム」、「ステアロイル乳酸ナトリウム」、「D-ソルビトール」、「ソルビン酸カリウム」、「炭酸カルシウムⅠ」、「炭酸カルシウムⅡ」、「炭酸水素ナトリウム」、「炭酸マグネシウム」、「デヒドロ酢酸ナトリウム」、「テルピネオール」、「DL-トレオニン」、「ナイシン」、「ナタマイシン」、「ナトリウムメトキシド」、「二酸化炭素」、「二酸化チタン」、「乳酸カリウム」、「乳酸カルシウム」、「乳酸鉄」、「L-ヒスチジン塩酸塩」、「1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸」、「ヒドロキシプロピルメチルセルロース」、「微粒二酸化ケイ素」、「ピロ亜硫酸カリウム」、「ピロリン酸第二鉄」、「ピロリン酸第二鉄液」、「プロピオン酸」、「プロピオン酸カルシウム」、「プロピコナゾール」、「プロピレングリコール脂肪酸エステル」、「ポリアクリル酸ナトリウム」、「ポリイソブチレン」、「マクロホモプシスガム」、「D-マンニトール」、「メチルセルロース」、「L-リシンL-アスパラギン酸塩」、「リボフラビン」、「リボフラビン5´-リン酸エステルナトリウム」、「硫酸アルミニウムアンモニウム」、「硫酸アルミニウムカリウム」、「硫酸カリウム」、「硫酸カルシウム」、「硫酸第一鉄」、「硫酸ナトリウム」、「DL-リンゴ酸」、「DL-リンゴ酸ナトリウム」、「リン酸三カリウム」
イ 既存添加物
「L-アラビノース」、「アルギン酸」、「ウェランガム」、「ウコン色素」、「エンジュ抽出物」[ルチン(抽出物)]、「貝殻焼成カルシウム」、「加工ユーケマ藻類」、「活性炭」、「カラメルⅠ」、「カラメルⅡ」、「カラメルⅢ」、「カラシ抽出物」、「カロブビーンガム」、「キサンタンガム」、「キシラナーゼ」、「D-キシロース」、「グァーガム」、「高級脂肪酸(カプリル酸)」、「高級脂肪酸(カプリン酸)」、「高級脂肪酸(ステアリン酸)」、「高級脂肪酸(パルミチン酸)」、「高級脂肪酸(ベヘニン酸)」、「高級脂肪酸(ミリスチン酸)」、「高級脂肪酸(ラウリン酸)」、「酵素分解レシチン」、「コチニール色素」、「骨焼成カルシウム」、「サンゴ未焼成カルシウム」、「シアノコバラミン」、「ジェランガム」、「植物性ステロール(遊離体高濃度品)」、「植物性ステロ―ル(遊離体低濃度品)」、「植物タンニン」、「精製カラギナン」、「タウマチン」、「ツヤプリシン(抽出物)」、「デキストラナーゼ」、「ナリンジン」、「微結晶セルロース」、「フィチン酸 液体品」、「ブドウ果皮色素」、「プルラン」、「粉末セルロース」、「ペクチナーゼ」、「ペクチン」、「ベニコウジ黄色素」、「ベニコウジ色素」、「ヘム鉄」、「マリーゴールド色素」、「ミックストコフェロール」、「ミツロウ」、「ヤマモモ抽出物」、「ユッカフォーム抽出物」、「ラカンカ抽出物」、「ラック色素」、「ラムザンガム」、「L-ラムノース」、「卵殻焼成カルシウム」、「レシチン」
ウ 添加物製剤
「過酢酸製剤」、「タール色素の製剤」
⑷ 以下に示す指定添加物2品目、既存添加物5品目及び添加物製剤2品目に係る成分規格について、一つの品目あたり複数の子規格が設定されていたものについて、それぞれ個別に規定するための改正を行った。
ア 指定添加物2品目({ }内は個別規格名を示す。)
・「アスパラギナーゼ」{「アスパラギナーゼ(A. niger ASP-72 株由来)」、「アスパラギナーゼ(A. oryzae NZYM-SP 株由来)」}
・「イオン交換樹脂」{「イオン交換樹脂(粒状)」、「イオン交換樹脂(粉状)」、「イオン交換樹脂(懸濁液)」}
イ 既存添加物5品目({ }内は個別規格名を示す。)
・「アナトー色素」{「アナトー色素(ノルビキシン)」、「アナトー色素(ビキシン)」}
・「カンゾウ抽出物」{「カンゾウ抽出物(粗製物)」、「カンゾウ抽出物(精製物)」}
・「シェラック」{「シェラック(白シェラック)」、「シェラック(精製シェラック)」}
・「植物性ステロール」{「植物性ステロール(遊離体高濃度品)」、「植物性ステロール(遊離体低濃度品)」}
・「フィチン酸」{「フィチン酸(液体品)」、「フィチン酸(粉末品)」}
ウ 添加物製剤2品目({ }内は個別成分規格名を示す。)
・「かんすい」{「かんすい(固形)」、「かんすい(液状)」、「かんすい(希釈粉末)」}
・「合成膨張剤」{「合成膨張剤(一剤式)」、「合成膨張剤(二剤式)」、「合成膨張剤(アンモニア系)」}
5.E 製造基準及びF 使用基準にける主な改正事項
対象物質の明確化のため、「砂」を削除し、「不溶性の鉱物性物質」(酸性白土、カオリン、ベントナイト、タルク、ケイソウ土、パーライト、花こう斑岩、活性白土、クリストバル石、ゼオライト及びひる石)を明記した。
第3 適用期日
告示の日から適用すること。ただし、令和7年2月5日(「粗製海水塩化マグネシウム」にあっては厚生労働大臣が定める日、「香辛料抽出物」及び「ヘプタン」にあっては令和8年2月5日)までに製造、加工又は輸入される添加物については、なお従前の例によることができること。
第4 運用上の注意
1 新規に規格が設定された添加物を製造する営業を営もうとする者は、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第55条第1項に基づき、添加物製造業の許可を受けなければならないこと(ただし、「粗製海水塩化マグネシウム」にあっては厚生労働大臣が定める日までの間、「香辛料抽出物」及び「ヘプタン」にあっては令和8年2月5日までの間、その他の添加物にあっては令和7年2月5日までの間は、なお従前の例によることができること。)。
2 新規に規格が設定された添加物の製造又は加工を行う営業者は、法第48条第1項に基づき、食品衛生管理者を置かなければならないこと(ただし、「粗製海水塩化マグネシウム」にあっては厚生労働大臣が定める日までの間、「香辛料抽出物」及び「ヘプタン」にあっては令和8年2月5日までの間、その他の添加物にあっては令和7年2月5日までの間は、なお従前の例によることができること。)。
第5 その他
官報掲載を省略した改正後の「食品、添加物等の規格基準 第2 添加物」に係る内容は、その関係書類を厚生労働省健康・生活衛生局食品基準審査課に備え置いて縦覧に供するとともに、厚生労働省のホームページに掲載する方法により公表しているが、令和6年4月1日以降は生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第36号)の施行により食品衛生基準行政が消費者庁に移管することに伴い、消費者庁に備え置いて縦覧に供するとともに、消費者庁のホームページに掲載すること。
健生発0206第1号