食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件及び食品衛生法第13条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の一部を改正する件について
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和5年厚生労働省告示第80号)及び食品衛生法第13条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の一部を改正する件(令和5年厚生労働省告示第81号)が本日告示され、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「規格基準告示」という。)及び食品衛生法第13条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質(平成17年厚生労働省告示第498号。以下「対象外物質告示」という。)がそれぞれ改正されました。
改正の概要等については、下記のとおりですので、関係者への周知をお願いするとともに、その運用に遺漏がないようお取り計らい願います。
記
第1 改正の概要
1 規格基準告示関係
⑴ 農薬等の残留基準の改正
以下の品目について、食品中の残留基準値を改正したこと(別紙1参照)。
飼料添加物エンラマイシン、動物用医薬品グリカルピラミド、動物用医薬品ジアベリジン、動物用医薬品スルファチアゾール、動物用医薬品チオプロニン、農薬トルクロホスメチル、農薬ピリフルキナゾン、農薬ホスチアゼート、農薬メパニピリム
⑵ 農薬等の「不検出物質」の設定
動物用医薬品ニタルソン、動物用医薬品ニフルスチレン酸ナトリウム及び動物用医薬品ロキサルソンについて、「食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質」として規定したこと。
2 試験法関係
ニタルソン及びロキサルソン試験法及びニフルスチレン酸ナトリウム試験法を規定し、酢酸トレンボロン試験法を改正したこと。
3 対象外物質告示関係
くん液蒸留酢酸を対象外物質に追加したこと。
第2 適用期日
1 規格基準告示の改正に伴う残留基準値の適用について
告示の日から適用すること。ただし、表1に掲げる食品の残留基準値は、告示の日から起算して1年を経過した日から適用することとし、表2に掲げる「食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質」に規定される農薬等における食品の残留基準値は、告示の日から起算して6月を経過した日から適用すること。
<表1 告示の日から起算して1年を経過した日から適用する食品の残留基準>
農薬等 |
食品 |
スルファチアゾール |
牛の筋肉、豚の筋肉、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の筋肉、牛の脂肪、豚の脂肪、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の脂肪、牛の肝臓、豚の肝臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の肝臓、牛の腎臓、豚の腎臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の腎臓、牛の食用部分、豚の食用部分、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の食用部分、乳、鶏の筋肉、その他の家きんの筋肉、鶏の脂肪、その他の家きんの脂肪、鶏の肝臓、その他の家きんの肝臓、鶏の腎臓、その他の家きんの腎臓、鶏の食用部分及びその他の家きんの食用部分 |
トルクロホスメチル |
小麦、大麦、ライ麦、とうもろこし、そば、その他の穀類、大豆、小豆類、えんどう、そら豆、らっかせい、その他の豆類、ばれいしょ、さといも類(やつがしらを含む。)、かんしょ、やまいも(長いもをいう。)、その他のいも類、てんさい、だいこん類(ラディッシュを含む。)の根、だいこん類(ラディッシュを含む。)の葉、かぶ類の根、かぶ類の葉、西洋わさび、クレソン、はくさい、芽キャベツ、ケール、きょうな、チンゲンサイ、カリフラワー、ブロッコリー、その他のあぶらな科野菜、ごぼう、サルシフィー、アーティチョーク、チコリ、エンダイブ、しゅんぎく、たまねぎ、にんにく、アスパラガス、わけぎ、その他のゆり科野菜、パースニップ、パセリ、セロリ、みつば、その他のせり科野菜、トマト、ピーマン、なす、その他のなす科野菜、きゅうり(ガーキンを含む。)、かぼちゃ(スカッシュを含む。)、しろうり、すいか、メロン類果実、まくわうり、その他のうり科野菜、たけのこ、オクラ、しょうが、未成熟えんどう、未成熟いんげん、えだまめ、マッシュルーム、しいたけ、その他のきのこ類、みかん、なつみかんの果実全体、レモン、オレンジ(ネーブルオレンジを含む。)、グレープフルーツ、ライム、その他のかんきつ類果実、りんご、日本なし、西洋なし、マルメロ、びわ、もも、ネクタリン、あんず(アプリコットを含む。)、すもも(プルーンを含む。)、うめ、おうとう(チェリーを含む。)、いちご、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、ハックルベリー、その他のベリー類果実、ぶどう、かき、バナナ、キウィー、パパイヤ、アボカド、パイナップル、グアバ、マンゴー、パッションフルーツ、なつめやし、その他の果実、ひまわりの種子、ごまの種子、べにばなの種子、綿実、なたね、その他のオイルシード、ぎんなん、くり、ペカン、アーモンド、くるみ、その他のナッツ類及びその他のスパイス |
メパニピリム |
ねぎ(リーキを含む。)、すいか、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、みかん、みかん(外果皮を含む。)、りんご、日本なし、西洋なし、びわ、びわ(果梗(こう)を除き、果皮及び種子を含む。)、もも、もも(果皮及び種子を含む。)及びいちご |
ニタルソン |
その他の家きんの筋肉、その他の家きんの脂肪、その他の家きんの肝臓、その他の家きんの腎臓及びその他の家きんの食用部分 |
ニフルスチレン酸ナトリウム |
魚介類(その他の魚類に限る。) |
ロキサルソン |
豚の筋肉、豚の脂肪、豚の肝臓、豚の腎臓、豚の食用部分、鶏の筋肉、その他の家きんの筋肉、鶏の脂肪、その他の家きんの脂肪、鶏の肝臓、その他の家きんの肝臓、鶏の腎臓、その他の家きんの腎臓、鶏の食用部分、その他の家きんの食用部分、鶏の卵及びその他の家きんの卵 |
2 規格基準告示の改正に伴う試験法の適用について
ニタルソン及びロキサルソン試験法及びニフルスチレン酸ナトリウム試験法については、告示の日から適用すること。また、酢酸トレンボロン試験法については、告示の日から起算して1年以内に限り、なお従前の例によることができること。
3 対象外物質告示関係
告示の日から適用すること。
第3 運用上の注意
1 残留基準値関係
⑴ 別紙のうち残留基準値欄が空欄になっている食品及び表中にない食品については、一律基準(0.01ppm)を適用すること。ただし、エンラマイシン、ジアベリジン及びスルファチアゾールは、規格基準告示の「第1 食品の部A 食品一般の成分規格」の1に規定する抗生物質又は化学的合成品たる抗菌性物質に該当するため、表中にない食品に含有されるものであってはならないこと。
⑵ 今回残留基準値を設定する「エンラマイシン」とは、エンラマイシンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑶ 今回残留基準値を設定する「グリカルピラミド」とは、グリカルピラミドのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑷ 今回残留基準値を設定する「ジアベリジン」とは、ジアベリジンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑸ 今回残留基準値を設定する「スルファチアゾール」とは、スルファチアゾールのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑹ 今回残留基準値を設定する「チオプロニン」とは、チオプロニンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑺ 今回残留基準値を設定する「トルクロホスメチル」とは、トルクロホスメチルのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑻ 今回残留基準値を設定する「ピリフルキナゾン」とは、ピリフルキナゾンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑼ 今回残留基準値を設定する「ホスチアゼート」とは、ホスチアゼートのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑽ 今回残留基準値を設定する「メパニピリム」とは、メパニピリム及び代謝物M-31【1-(2-アニリノ-6-メチルピリミジン-4-イル)-2-プロパノール】(抱合体を含む。)をメパニピリムに換算したものの和とすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑾ 今回「食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質」として規定する「ニタルソン」については、全ての食品において、規定するニタルソン及びロキサルソン試験法(同試験法と同等以上の性能を有すると認められる試験法を含む。)によって試験した場合に、当該成分が検出されるものであってはならないこと。なお、「ニタルソン」とは、ニタルソンのみとすることとし、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑿ 今回「食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質」として規定する「ニフルスチレン酸ナトリウム」については、全ての食品において、規定するニフルスチレン酸ナトリウム試験法(同試験法と同等以上の性能を有すると認められる試験法を含む。)によって試験した場合に、当該成分が検出されるものであってはならないこと。なお、「ニフルスチレン酸ナトリウム」とはニフルスチレン酸ナトリウムのみとすることとし、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⒀ 今回「食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質」として規定する「ロキサルソン」については、全ての食品において、規定するニタルソン及びロキサルソン試験法(同試験法と同等以上の性能を有すると認められる試験法を含む。)によって試験した場合に、当該成分が検出されるものであってはならないこと。なお、「ロキサルソン」とはロキサルソンのみとすることとし、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
2 試験法関係
⑴ 今回の告示改正に伴い、「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第11条第3項の施行に伴う関係法令の整備について」(平成17年11月29日付け食安発第1129001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)の別添3を別紙2の新旧対照表のとおり改めること。
⑵ 試験に用いる試料を検体から採取するに当たっては、別に定める場合を除き、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)の「第1章総則」の「4.試料採取」に従うこと。
3 対象外物質告示関係
今回対象外物質に追加した「くん液蒸留酢酸」とは、令和5年3月23日に、「くん液蒸留酢酸液剤」として農薬取締法の一部を改正する法律(平成30年法律第53号)第1条の規定による改正前の農薬取締法(昭和23年法律第82号)第2条第1項の規定による登録がなされたものとすること。
4 その他
⑴ 今般の残留基準値の設定に併せ、今後、農林水産省において、農薬取締法に基づき、農薬トルクロホスメチル、農薬ピリフルキナゾン及び農薬メパニピリムに係る適用拡大のための変更登録が行われる予定であること。
⑵ 「すいか」、「メロン類果実」、「まくわうり」、「みかん」、「びわ」、「もも」及び「キウィー」に設定されている残留基準値については、現行の残留基準値を削除する場合、別に規定する場合を除き、「すいか(果皮を含む。)」、「メロン類果実(果皮を含む。)」、「まくわうり(果皮を含む。)」、「みかん(外果皮を含む。)」、「びわ(果梗(こう)を除き果皮及び種子を含む。)」、「もも(果皮及び種子を含む。)」及び「キウィー(果皮を含む。)」としてそれぞれ一律基準(0.01ppm)が適用されること。
【生食発0323第1号】施行通知(エンラマイシン等)