食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件及び食品衛生法第13条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の一部を改正する件について
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第248号)及び食品衛生法第13条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第249号)が本日告示され、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「規格基準告示」という。)の一部及び食品衛生法第13条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質(平成17年厚生労働省告示第498号。以下「対象外物質告示」という。)の一部が改正されました。
改正の概要等については、下記のとおりですので、関係者への周知をお願いするとともに、その運用に遺漏がないようお取り計らい願います。
記
第1 改正の概要
1 規格基準告示関係
以下の品目について、食品中の残留基準値を設定し、又は改正したこと(別紙参照)。
農薬及び動物用医薬品スピノサド、農薬スルホキサフロル、農薬ピラフルフェンエチル、動物用医薬品及び飼料添加物ピランテル及びモランテル、農薬ベンチアバリカルブイソプロピル、農薬ポリオキシンD亜鉛塩、農薬ポリオキシン複合体
2 対象外物質告示関係
食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第13条第3項に基づき、対象外物質に、安息香酸を追加したこと。
第2 適用期日
告示の日から適用すること。ただし、表1に掲げる食品の残留基準値は、告示の日から起算して1年を経過した日から適用することとし、表2に掲げる食品の残留基準値は、告示の日から1年以内に限り、「ピランテル及びモランテル」にあっては改正前の「ピランテル」又は「モランテル」、「ポリオキシンD亜鉛塩」及び「ポリオキシン複合体」にあっては改正前の「ポリオキシン」における同食品の残留基準値として、なお従前の例によることができること。
また、「ポリオキシン複合体」にあっては、すいか、メロン類果実及びみかんの検査部位が改正前の「ポリオキシン」から変更となるため、告示の日から起算して一年を経過する日までの間は、なお従前の例によることができること。
<表1 告示の日から起算して1年を経過した日から適用する食品の残留基準値>
農薬等 |
食品 |
スピノサド |
はくさい、セロリ、すいか、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、まくわうり、まくわうり(果皮を含む。)、もも、もも(果皮及び種子を含む。)、牛の筋肉、豚の脂肪、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の脂肪、牛の肝臓、豚の肝臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の肝臓、牛の腎臓、豚の腎臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の腎臓、牛の食用部分、豚の食用部分、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の食用部分、乳及びその他の家きんの筋肉 |
スルホキサフロル |
みかん及びみかん(外果皮を含む。) |
ピラフルフェンエチル |
米(玄米をいう。)、大豆、ばれいしょ、こんにゃくいも、だいこん類(ラディッシュを含む。)の根、だいこん類(ラディッシュを含む。)の葉、はくさい、キャベツ、たまねぎ、ねぎ(リーキを含む。)、えだまめ、みかん、みかん(外果皮を含む。)、なつみかんの果実全体、レモン、オレンジ(ネーブルオレンジを含む。)、グレープフルーツ、ライム、その他のかんきつ類果実、りんご、日本なし、西洋なし、マルメロ、びわ、びわ(果梗(こう)を除き、果皮及び種子を含む。)、もも、もも(果皮及び種子を含む。)、ネクタリン、あんず(アプリコットを含む。)、すもも(プルーンを含む。)、うめ、おうとう(チェリーを含む。)、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、ハックルベリー、その他のベリー類果実、ぶどう、かき、バナナ、パパイヤ、アボカド、グアバ、マンゴー、パッションフルーツ、なつめやし、その他の果実、ぎんなん、くり、ペカン、アーモンド、くるみ、その他のナッツ類、茶及びその他のスパイス |
<表2 告示の日から1年以内に限り、なお従前の例によることができる食品の残留基準値>
農薬等 |
食品 |
ピランテル及びモランテル |
豚の筋肉、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の筋肉、豚の脂肪、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の脂肪、豚の肝臓、豚の腎臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の腎臓及び豚の食用部分 |
ポリオキシンD亜鉛塩 |
米(玄米をいう。)、はくさい、キャベツ、レタス(サラダ菜及びちしゃを含む。)、その他のきく科野菜、たまねぎ、ねぎ(リーキを含む。)、にんにく、にら、その他のゆり科野菜、にんじん、セロリ、みつば、その他のせり科野菜、トマト、ピーマン、なす、その他のなす科野菜、きゅうり(ガーキンを含む。)、かぼちゃ(スカッシュを含む。)、すいか、メロン類果実、その他の野菜、みかん、なつみかんの果実全体、レモン、オレンジ(ネーブルオレンジを含む。)、グレープフルーツ、ライム、その他のかんきつ類果実、りんご、日本なし、西洋なし、うめ、いちご、ぶどう、かき、その他の果実、その他のスパイス及びその他のハーブ |
ポリオキシン複合体 |
米(玄米をいう。)、はくさい、キャベツ、レタス(サラダ菜及びちしゃを含む。)、たまねぎ、ねぎ(リーキを含む。)、にんにく、にら、その他のゆり科野菜、にんじん、セロリ、みつば、その他のせり科野菜、トマト、ピーマン、なす、その他のなす科野菜、きゅうり(ガーキンを含む。)、かぼちゃ(スカッシュを含む。)、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実(果皮を含む。)、その他の野菜、みかん(外果皮を含む。)、なつみかんの果実全体、レモン、オレンジ(ネーブルオレンジを含む。)、グレープフルーツ、ライム、その他のかんきつ類果実、りんご、うめ、いちご、かき、その他の果実及びその他のハーブ |
第3 運用上の注意
1 残留基準値関係
⑴ 別紙のうち残留基準値欄が空欄になっている食品及び表中にない食品については、一律基準(0.01ppm)を適用すること。ただし、ピランテル及びモランテル、ポリオキシンD亜鉛塩並びにポリオキシン複合体は、規格基準告示の第1 食品の部A 食品一般の成分規格の1に規定する抗生物質又は化学的合成品たる抗菌性物質に該当するため、残留基準値欄が空欄になっている食品及び表中にない食品に含有されるものであってはならないこと。
⑵ 今回残留基準値を設定する「スピノサド」とは、スピノシンA及びスピノシンDの和とすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑶ 今回残留基準値を設定する「スルホキサフロル」とは、各異性体の和とすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑷ 今回残留基準値を設定する「ピラフルフェンエチル」とは、ピラフルフェンエチルのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑸ 「ピランテル」又は「モランテル」に対して設定されている現行の残留基準値を削除し、「ピランテル及びモランテル」として残留基準値を設定すること。
また、今回残留基準値を設定する「ピランテル及びモランテル」とは、加水分解によりMAPA【N-メチル-1,3-プロパンジアミン】に変換される残留物をモランテルに換算したものとすること。
なお、改正前の残留の規制対象は、ピランテルは、ピランテルのみであり、モランテルは、加水分解によりMAPA【N-メチル-1,3-プロパンジアミン】に変換される残留物をモランテルに換算したものである。
⑹ 今回残留基準値を設定する「ベンチアバリカルブイソプロピル」とは、ベンチアバリカルブイソプロピルのみとすること。今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑺ 「ポリオキシン」に対して設定されている現行の残留基準値を削除し、「ポリオキシンD亜鉛塩」又は「ポリオキシン複合体」として残留基準値を設定する。
今回基準値を設定するポリオキシンD亜鉛塩とは、ポリオキシンDの標準品を用いて測定したものをいう。なお、ポリオキシン複合体も、ポリオキシンDの測定によって検出される可能性があることから、法第13条違反の判断の際には、ポリオキシン複合体の検査を実施する等、ポリオキシン複合体の使用履歴等について十分に確認すること。
また、今回基準値を設定するポリオキシン複合体とは、ポリオキシンBの標準品を用いて測定したものをいう。なお、ポリオキシンDも、ポリオキシン複合体の測定によって検出される可能性があることから、法第13条違反の判断の際には、ポリオキシンDの検査を実施する等、ポリオキシンDの使用履歴等について十分に確認すること。
なお、ポリオキシンの改正前の残留の規制対象は、ポリオキシンのみである。
2 その他
今般の残留基準値の設定に併せ、今後、農林水産省において、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)に基づく動物用医薬品及び飼料添加物ピランテル及びモランテルを有効成分とする薬剤に係る承認事項の変更並びに農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づく農薬ポリオキシンD亜鉛塩及び農薬ポリオキシン複合体に係る新規農薬登録並びに農薬スピノサド、農薬スルホキサフロル、農薬ピラフルフェンエチル及び農薬ベンチアバリカルブイソプロピルに係る適用拡大のための変更登録が行われる予定であること。
【生食発0810号 第2号】施行通知(スピノサド等)