食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和3年厚生労働省告示第323号)が本日告示され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「規格基準告示」という。)の一部が改正された。
改正の概要等については、下記のとおりであるので、関係者への周知を行うとともに、その運用に遺漏がないよう取り計らわれたい。
記
第1 改正の概要
1 食品衛生法(昭和22年法律第233号)第13条第1項の規定に基づき、規格基準告示に規定する農薬カスガマイシン、農薬クロルピクリン、動物用医薬品酢酸トレンボロン、飼料添加物ジブチルヒドロキシトルエン、農薬バリダマイシン、農薬フェンプロパトリン、農薬プロクロラズ及び農薬1-メチルシクロプロペンについて、食品中の残留基準値を改正したこと(別紙参照)。
2 一部の食品において「不検出」と設定されている酢酸トレンボロンの残留基準値に係る改正に伴い、規格基準告示に規定されていた既存のα-トレンボロン及びβ-トレンボロン試験法を削除し、同一内容の試験法を酢酸トレンボロン試験法として定める等の所要の改正を行ったこと。
第2 適用期日
1 規格基準告示の改正に伴う残留基準値の適用について
告示の日から適用すること。ただし、下表に掲げる食品の残留基準値は、告示の日から起算して1年を経過した日から適用すること。
<告示の日から起算して1年を経過した日から適用する食品の残留基準値>
農薬等 |
食品 |
カスガマイシン |
すいか、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、みかん、みかん(外果皮を含む。)、びわ、びわ(果梗(こう)を除き、果皮及び種子を含む。)、もも及びもも(果皮及び種子を含む。) |
バリダマイシン |
やまいも(長いもをいう。)、チンゲンサイ、カリフラワー、エンダイブ、アスパラガス、にんじん、セロリ、その他のせり科野菜、なす、その他のうり科野菜、その他の野菜、みかん、みかん(外果皮を含む。)、もも、もも(果皮及び種子を含む。)、いちご及びその他のハーブ |
フェンプロパトリン |
大豆、小豆類、えんどう、そら豆、その他の豆類、ばれいしょ、はくさい、ブロッコリー、なす、きゅうり(ガーキンを含む。)、かぼちゃ(スカッシュを含む。)、しろうり、すいか、メロン類果実、まくわうり、その他のうり科野菜、オクラ、みかん、みかん(外果皮を含む。)、なつみかんの果実全体、りんご、日本なし、西洋なし、マルメロ、びわ、びわ(果梗(こう)を除き、果皮及び種子を含む。)、もも、もも(果皮及び種子を含む。)、うめ、いちご、ブルーベリー、クランベリー、ハックルベリー、ぶどう、バナナ、キウィー、パパイヤ、アボカド、パイナップル、グアバ、マンゴー、パッションフルーツ、なつめやし、その他の果実、綿実、ホップ、その他のハーブ、牛の筋肉、豚の筋肉、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の筋肉、牛の脂肪、豚の脂肪、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の脂肪、牛の肝臓、豚の肝臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の肝臓、牛の腎臓、豚の腎臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の腎臓、牛の食用部分、豚の食用部分、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の食用部分、乳、鶏の筋肉、その他の家きんの筋肉、鶏の脂肪及びその他の家きんの脂肪 |
プロクロラズ |
米(玄米をいう。)、大豆、小豆類、えんどう、そら豆、らっかせい、その他の豆類、ばれいしょ、さといも類(やつがしらを含む。)、かんしょ、やまいも(長いもをいう。)、こんにゃくいも、その他のいも類、てんさい、さとうきび、だいこん類(ラディッシュを含む。)の根、だいこん類(ラディッシュを含む。)の葉、かぶ類の根、かぶ類の葉、西洋わさび、クレソン、はくさい、キャベツ、芽キャベツ、ケール、こまつな、きょうな、チンゲンサイ、カリフラワー、ブロッコリー、その他のあぶらな科野菜、ごぼう、サルシフィー、アーティチョーク、チコリ、エンダイブ、しゅんぎく、レタス(サラダ菜及びちしゃを含む。)、その他のきく科野菜、たまねぎ、ねぎ(リーキを含む。)、にんにく、にら、アスパラガス、わけぎ、その他のゆり科野菜、にんじん、パースニップ、パセリ、セロリ、みつば、その他のせり科野菜、トマト、なす、きゅうり(ガーキンを含む。)、かぼちゃ(スカッシュを含む。)、しろうり、すいか、メロン類果実、まくわうり、その他のうり科野菜、ほうれんそう、たけのこ、オクラ、しょうが、未成熟えんどう、未成熟いんげん、えだまめ、しいたけ、その他のきのこ類、その他の野菜、みかん、なつみかんの果実全体、レモン、オレンジ(ネーブルオレンジを含む。)、グレープフルーツ、ライム、その他のかんきつ類果実、りんご、日本なし、西洋なし、マルメロ、びわ、もも、ネクタリン、あんず(アプリコットを含む。)、すもも(プルーンを含む。)、うめ、おうとう(チェリーを含む。)、いちご、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、ハックルベリー、その他のベリー類果実、ぶどう、かき、キウィー、グアバ、パッションフルーツ、なつめやし、その他の果実、ごまの種子、べにばなの種子、綿実、ぎんなん、くり、ペカン、アーモンド、くるみ、その他のナッツ類、茶、コーヒー豆、ホップ、その他のハーブ、鶏の脂肪及びその他の家きんの脂肪 |
2 規格基準告示の改正に伴う試験法の適用について
告示の日から適用すること。ただし、α-トレンボロン及びβ-トレンボロン試験法については、告示の日から1年以内に限り、なお従前の例によることができること。
3 規制対象について
告示の日から起算して1年を経過した日から適用する食品の残留基準値のうち、「第3 運用上の注意 1」に示す残留の規制対象を変更したものについては、規制対象の変更についても告示の日から起算して1年を経過した日から適用すること。
第3 運用上の注意
1 残留基準値関係
(1) 別紙のうち残留基準値欄が空欄になっている食品及び表中にない食品については、一律基準(0.01ppm)が適用されること。ただし、カスガマイシン及びバリダマイシンは、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示370号)第1 食品の部A 食品一般の成分規格の1に規定する抗生物質に該当することから、残留基準値欄が空欄になっている食品及び表中にない食品については、本剤を含有するものであってはならないこと。
(2) 今回残留基準値を設定するカスガマイシンとは、カスガマイシンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
(3) 今回残留基準値を設定するクロルピクリンとは、クロルピクリンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
(4) 「酢酸トレンボロン」、「α-トレンボロン」又は「β-トレンボロン」に対して設定されていた残留基準値について、名称を「酢酸トレンボロン」に統合して残留基準値を設定すること。また、今回残留基準値を設定する酢酸トレンボロンとは、牛の筋肉及び脂肪にあってはβ-トレンボロン【(17β)-17-ヒドロキシエストラ-4,9,11-トリエン-3-オン】とし、牛の肝臓、腎臓及び食用部分にあってはα-トレンボロン【(17α)-17-ヒドロキシエストラ-4,9,11-トリエン-3-オン】とし、残留基準値が不検出と設定された畜産物、魚介類及びはちみつにあっては、α-トレンボロン及びβ-トレンボロンとすること。なお、改正前の残留の規制対象は、肝臓にあってはα-トレンボロン、筋肉にあってはβ-トレンボロンをいい、その他の食用部分にあってはα-トレンボロン及びβ-トレンボロンの和であること。
残留基準値が「不検出」と設定された一部の食品については、規定する試験法によって試験した場合に、当該成分が検出されるものであってはならないこと。
(5) 今回残留基準値を設定するジブチルヒドロキシトルエンとは、ジブチルヒドロキシトルエンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
(6) 今回残留基準値を設定するバリダマイシンとは、バリダマイシン(バリダマイシンA)のみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
(7) 今回残留基準値を設定するフェンプロパトリンとは、フェンプロパトリンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
(8) 「綿実油(食用植物油脂の日本農林規格に規定する精製綿実油、綿実サラダ油及びこれらと同等以上の規格を有すると認められる食用油を除く。)」に設定されているフェンプロパトリンの残留基準値については、現行の基準値を削除すること。なお、「綿実油(食用植物油脂の日本農林規格に規定する精製綿実油、綿実サラダ油及びこれらと同等以上の規格を有すると認められる食用油を除く。)」で農薬が検出された場合には、当該加工品の加工工程を考慮して、原材料中の濃度に換算し、「綿実」の残留基準値への適・不適を確認すること。
(9) 今回残留基準値を設定するプロクロラズとは、プロクロラズ及びピリジン塩酸塩処理により2,4,6-トリクロロフェノールに変換される代謝物をプロクロラズに換算したものの和とすること。なお、改正前の残留の規制対象は、プロクロラズ、N-ホルミル-N-1-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]尿素をプロクロラズ含量に換算したもの、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]尿素をプロクロラズ含量に換算したもの及び2,4,6-トリクロロフェノールをプロクロラズ含量に換算したものの総和であること。
(10) 「小麦ふすま」に設定されているプロクロラズの残留基準値については、現行の基準値を削除すること。なお、「小麦ふすま」で農薬が検出された場合には、当該加工品の加工工程を考慮して、原材料中の濃度に換算し、「小麦」の残留基準値への適・不適を確認すること。
(11) 「ひまわり油(食用植物油脂の日本農林規格に規定する食用ひまわり油及びこれと同等以上の規格を有すると認められる食用油に限る。)」に設定されているプロクロラズの残留基準値については、基準を統合して「ひまわり油」として残留基準値を設定すること。
(12) 今回残留基準値を設定する1-メチルシクロプロペンとは、1-メチルシクロプロペンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
2 試験法関係
検体から試験に用いる試料を採取するに当たっては、別に規定する場合を除き、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号部長通知)の第1章総則の4.試料採取に従うこと。
3 その他
食品衛生法に基づく残留基準値の設定に併せ、農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づく農薬カスガマイシン、農薬クロルピクリン、農薬バリダマイシン、農薬フェンプロパトリン及び農薬1-メチルシクロプロペンに係る適用拡大のための変更登録が、今後農林水産省において行われる予定であること。
【生食発0831第2号】 施行通知(カスガマイシン等)(検疫所)