食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第○号)が本日告示され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「規格基準告示」という。)の一部が改正された。
改正の概要等については、下記のとおりであるので、関係者への周知を行うとともに、その運用に遺漏がないよう取り計らわれたい。
記
第1 改正の概要
1 食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第13条第1項の規定に基づき、規格基準告示に規定する農薬シクラニリプロール、農薬ジクワット、農薬テブコナゾール、農薬ブロフラニリド、動物用医薬品ベタメタゾン及び農薬ベンズピリモキサンについて、食品中の残留基準値を改正又は設定したこと(別紙1参照)。
2 動物用医薬品ベタメタゾンについて、一部の食品において「不検出」として規定したことから、法第13条第1項の規定に基づき、規格基準告示に規定する既存のデキサメタゾン試験法を削除し、新たにデキサメタゾン及びベタメタゾン試験法を定め、その分析対象をデキサメタゾン及びベタメタゾンとしたこと。
第2 適用期日
1 規格基準告示の改正に伴う残留基準値の適用について
告示の日から適用すること。ただし、下表に掲げる食品の残留基準値は、告示の日から起算して1年を経過した日から適用すること。
<告示の日から起算して1年を経過した日から適用する食品の残留基準値>
農薬等 |
食品 |
シクラニリプロール |
もも及びもも(果皮及び種子を含む。) |
ジクワット |
米(玄米をいう。)、小麦、とうもろこし、そば、らっかせい、さといも類(やつがしらを含む。)、かんしょ、やまいも(長いもをいう。)、こんにゃくいも、その他のいも類、てんさい、さとうきび、だいこん類(ラディッシュを含む。)の根、だいこん類(ラディッシュを含む。)の葉、かぶ類の根、かぶ類の葉、西洋わさび、クレソン、はくさい、キャベツ、芽キャベツ、ケール、こまつな、きょうな、チンゲンサイ、カリフラワー、ブロッコリー、その他のあぶらな科野菜、ごぼう、サルシフィー、アーティチョーク、チコリ、エンダイブ、しゅんぎく、レタス(サラダ菜及びちしゃを含む。)、その他のきく科野菜、たまねぎ、ねぎ(リーキを含む。)、にんにく、にら、アスパラガス、わけぎ、その他のゆり科野菜、にんじん、パースニップ、パセリ、セロリ、みつば、その他のせり科野菜、トマト、ピーマン、なす、その他のなす科野菜、きゅうり(ガーキンを含む。)、かぼちゃ(スカッシュを含む。)、しろうり、すいか、メロン類果実、まくわうり、まくわうり(果皮を含む。)、その他のうり科野菜、ほうれんそう、たけのこ、オクラ、しょうが、未成熟えんどう、未成熟いんげん、えだまめ、マッシュルーム、しいたけ、その他のきのこ類、その他の野菜、みかん、みかん(外果皮を含む。)、なつみかんの果実全体、レモン、オレンジ(ネーブルオレンジを含む。)、グレープフルーツ、ライム、その他のかんきつ類果実、りんご、日本なし、西洋なし、マルメロ、びわ、びわ(果梗(こう)を除き、果皮及び種子を含む。)、もも、もも(果皮及び種子を含む。)、ネクタリン、あんず(アプリコットを含む。)、すもも(プルーンを含む。)、うめ、おうとう(チェリーを含む。)、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、ハックルベリー、その他のベリー類果実、ぶどう、かき、バナナ、キウィー、キウィー(果皮を含む。)、パパイヤ、アボカド、パイナップル、グアバ、マンゴー、パッションフルーツ、なつめやし、その他の果実、ひまわりの種子、ごまの種子、べにばなの種子、綿実、その他のオイルシード、ぎんなん、くり、ペカン、アーモンド、くるみ、その他のナッツ類、茶、コーヒー豆、ホップ、その他のスパイス、その他のハーブ、牛の筋肉、豚の筋肉、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の筋肉、牛の脂肪、豚の脂肪、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の脂肪、牛の肝臓、豚の肝臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の肝臓、牛の腎臓、豚の腎臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の腎臓、牛の食用部分、豚の食用部分、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の食用部分、乳、鶏の筋肉、その他の家きんの筋肉、鶏の脂肪、その他の家きんの脂肪、鶏の肝臓、その他の家きんの肝臓、鶏の腎臓、その他の家きんの腎臓、鶏の食用部分、その他の家きんの食用部分、鶏の卵、その他の家きんの卵、魚介類(さけ目魚類に限る。)、魚介類(うなぎ目魚類に限る。)、魚介類(すずき目魚類に限る。)、魚介類(その他の魚類に限る。)及び魚介類(貝類に限る。) |
テブコナゾール |
大豆、芽キャベツ、ブロッコリー、アスパラガス、なす、すいか、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、みかん、みかん(外果皮を含む。)、びわ、びわ(果梗(こう)を除き、果皮及び種子を含む。)、もも、もも(果皮及び種子を含む。)、すもも(プルーンを含む。)及びひまわりの種子 |
ベタメタゾン |
牛の筋肉、豚の筋肉、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の筋肉、牛の脂肪、豚の脂肪、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の脂肪、牛の肝臓、豚の肝臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の肝臓、牛の腎臓、豚の腎臓、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の腎臓、牛の食用部分、豚の食用部分、その他の陸棲(せい)哺乳類に属する動物の食用部分、乳、鶏の筋肉、その他の家きんの筋肉、鶏の脂肪、その他の家きんの脂肪、鶏の肝臓、その他の家きんの肝臓、鶏の腎臓、その他の家きんの腎臓、鶏の食用部分、その他の家きんの食用部分、鶏の卵及びその他の家きんの卵 |
2 規格基準告示の改正に伴う試験法の適用について
告示の日から適用すること。ただし、デキサメタゾン試験法については、告示の日から1年以内に限り、なお従前の例によることができること。
3 規制対象について
告示の日から起算して1年を経過した日から適用する食品の残留基準値のうち、「第3 運用上の注意 1」に示す残留の規制対象を変更したものについては、規制対象の変更についても告示の日から起算して1年を経過した日から適用すること。
第3 運用上の注意
1 残留基準値関係
⑴ 残留基準値欄が空欄になっている食品及び表中にない食品については、一律基準(0.01ppm)が適用されること。
⑵ 今回残留基準値を設定するシクラニリプロールとは、シクラニリプロールのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑶ 今回残留基準値を設定するジクワットとは、ジクワットイオンに換算したものとすること。なお、改正前の残留の規制対象は、ジクワットのみであること。
⑷ 「精米」に設定されているジクワットの残留基準値については、現行の残留基準値を削除すること。なお、「精米」で農薬が検出された場合には、当該加工品の加工工程を考慮して、原材料中の濃度に換算し、「米(玄米をいう。)」の残留基準値への適・不適を確認すること。
⑸ 「小麦粉(全粒粉に限る。)」、「小麦粉(全粒粉を除く。)」及び「小麦ふすま」に設定されているジクワットの残留基準値については、現行の残留基準値を削除すること。なお、「小麦粉(全粒粉に限る。)」、「小麦粉(全粒粉を除く。)」及び「小麦ふすま」で農薬が検出された場合には、当該加工品の加工工程を考慮して、原材料中の濃度に換算し、「小麦」の残留基準値への適・不適を確認すること。
⑹ 「植物油(精製したものを除く。)」に設定されているジクワットの残留基準値については、現行の残留基準値を削除すること。なお、「植物油(精製したものを除く。)」で農薬が検出された場合には、当該加工品の加工工程を考慮して、原材料中の濃度に換算し、当該原材料たる食品の残留基準値への適・不適を確認すること。
⑺ 今回残留基準値を設定するテブコナゾールとは、テブコナゾールのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑻ 今回残留基準値を設定するブロフラニリドとは、ブロフラニリドのみとすること。
⑼ 今回残留基準値を設定するベタメタゾンとは、ベタメタゾンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
「不検出」と定めている一部の食品については、規定する試験法によって試験した場合に、当該成分が検出されるものであってはならないこと。
⑽ 今回残留基準値を設定するベンズピリモキサンとは、農産物及び魚介類にあってはベンズピリモキサンのみとし、畜産物にあってはベンズピリモキサン及び代謝物M5【2-ヒドロキシ-4-[4-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ]ピリミジン-5-カルボン酸】をベンズピリモキサンに換算したものの和とすること。
2 試験法関係
⑴ 今回の告示改正に伴い、「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第11条第3項の施行に伴う関係法令の整備について」(平成17年11月29日付け食安発第1129001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)の別添3を別紙2の新旧対照表のとおり改めること。
⑵ 検体から試験に用いる試料を採取するに当たっては、別に規定する場合を除き、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号部長通知)の第1章総則の4.試料採取に従うこと。
3 その他
法に基づく残留基準値の設定に併せ、農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づく農薬ブロフラニリド及び農薬ベンズピリモキサンに係る新規農薬登録並びに農薬シクラニリプロール及び農薬テブコナゾールに係る適用拡大のための変更登録が、今後農林水産省において行われる予定であること。
【生食発0914第2号】 施行通知(シクラニリプロール等)(検疫所).pdf