食品衛生法施行規則の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品衛生法施行規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第3号)及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第4号)が本日公布又は告示され、食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「規格基準告示」という。)の一部がそれぞれ改正された。
改正の概要等については、下記のとおりであるので、関係者への周知を行うとともに、その運用に遺漏がないよう取り計らわれたい。
記
第1 改正の概要
1 添加物関係
⑴ 省令関係
食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第10条の規定に基づき、二炭酸ジメチルを省令別表第1に追加したこと。
⑵ 規格基準告示関係
法第11条第1項の規定に基づき、二炭酸ジメチルについて添加物の規格基準を設定したこと。また、同項の規定に基づき、イソマルトデキストラナーゼ、カキ色素について添加物の成分規格を設定し、エンジュ抽出物及びdl-α-トコフェロールについて添加物の成分規格を改正し、それに伴う所要の改正を行ったこと。
2 残留基準値関係
⑴ 規格基準告示関係
法第11条第1項の規定に基づき、規格基準告示に規定する農薬アミスルブロム、動物用医薬品ゲンタマイシン、農薬シエノピラフェン、農薬シモキサニル、農薬ゾキサミド及び農薬フラメトピルについて、食品中の残留基準値を設定したこと(別紙参照)。
第2 施行日又は適用期日
1 省令関係
公布日から施行するものであること。
2 規格基準告示関係
⑴ 告示の日から適用すること。ただし、下表に掲げる食品中の農薬等の残留基準値は、告示の日から起算して6月を経過した日から適用すること。
⑵ 告示の日から起算して1年を経過する日以前に製造され、加工され、又は輸入されるイソマルトデキストラナーゼ及びカキ色素については、規格基準告示による改正後の規定は適用しないこと。
⑶ 告示の日から起算して1年を経過する日以前に製造され、加工され、又は輸入されるエンジュ抽出物及びdl-α-トコフェロールについては、なお従前の例によることができること。
農薬等
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食品
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アミスルブロム
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メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、みかん及びみかん(外果皮を含む。)
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ゲンタマイシン
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鶏の筋肉、その他の家きんの筋肉、鶏の脂肪、その他の家きんの脂肪、鶏の肝臓、その他の家きんの肝臓、鶏の腎臓、その他の家きんの腎臓、鶏の食用部分及びその他の家きんの食用部分
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シエノピラフェン
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すいか、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、みかん、みかん(外果皮を含む。)、もも及びもも(果皮及び種子を含む。)
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シモキサニル
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えんどう、はくさい、アーティチョーク、メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、まくわうり、まくわうり(果皮を含む。)、未成熟えんどう、ひまわりの種子及びその他のスパイス
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ゾキサミド
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ばれいしょ、すいか、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実、メロン類果実(果皮を含む。)、まくわうり及びまくわうり(果皮を含む。)
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第3 運用上の注意
1 添加物関係
⑴ 使用基準関係
二炭酸ジメチルは飲料に添加後、時間の経過に伴い二酸化炭素とメタノールに加水分解され、飲料中には残存しないとされていることから、二炭酸ジメチルを使用した製品を販売する場合、製造後、十分な時間が経過した後消費されるよう、製造から出荷までの期間に留意すること。
⑵ 試薬・試液等関係
以下に示す試薬の水分の規定については、規格基準告示のB一般試験法、20.水分測定法(カールフィッシャー法)を用い、以下の条件により試験すること。
1.アセトン(脱水)の水分の測定にあっては、アセトン(脱水)約10gを精密に量り、電量滴定法により測定すること。ただし、水分測定用陽極液及び水分測定用陰極液は、ケトン類の水分測定に適するものを用いること。
2.ジブチルアミンの水分の測定にあっては、ジブチルアミン約2gを精密に量り、容量滴定法の直接滴定により測定すること。ただし、あらかじめサリチル酸10gを量って乾燥滴定フラスコに入れた後、操作を行うこと。
3.炭酸ジメチルの水分の測定にあっては、炭酸ジメチル約5gを精密に量り、容量滴定法の直接滴定により測定すること。ただし、水分測定用メタノールの代わりにケトン類の水分測定に適する溶剤を用いること。
4.tert-ブチルメチルエーテルの水分の測定にあっては、tert-ブチルメチルエーテル約10gを精密に量り、容量滴定法の直接滴定によって測定すること。
5.3-ペンタノンの水分の測定にあっては、3-ペンタノン約5gを精密に量り、容量滴定法の直接滴定により測定すること。ただし、水分測定用メタノールの代わりにケトン類の水分測定に適する溶剤を用いること。
2 残留基準値関係
⑴ 残留基準値欄が空欄になっている食品及び表中にない食品については、一律基準(0.01ppm)が適用されること。ただし、ゲンタマイシンは、規格基準告示第1 食品の部A 食品一般の成分規格の1に規定する抗生物質に該当することから、表中にない食品については、本剤を含有するものであってはならないこと。
⑵ 今回残留基準値を設定するアミスルブロムとは、アミスルブロムのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑶ 今回残留基準値を設定するゲンタマイシンとは、ゲンタマイシンC1、ゲンタマイシンC1a、ゲンタマイシンC2及びゲンタマイシンC2aの和とすること。なお、改正前の残留の規制対象はゲンタマイシンであること。
⑷ 今回残留基準値を設定するシエノピラフェンとは、シエノピラフェンのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑸ 今回残留基準値を設定するシモキサニルとは、シモキサニルのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑹ 今回残留基準値を設定するゾキサミドとは、ゾキサミドのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
⑺ 今回残留基準値を設定するフラメトピルとは、フラメトピルのみとすること。なお、今回の改正に当たり、残留の規制対象に変更はないこと。
3 その他
法に基づく食品中の農薬の残留基準値の設定に併せ、農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づく農薬アミスルブロム、農薬シエノピラフェン、農薬シモキサニル及び農薬フラメトピルに係る適用拡大のための変更登録が、今後農林水産省において行われる予定であること。
【生食発0115第2号】 施行通知(二炭酸ジメチル等+アミスルブロム等)