食品衛生法施行規則の一部を改正する省令及び食品、 添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品衛生法施行規則の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第151号)及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成20年厚生労働省告示第485号)が本日公布され、これにより食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が改正されたので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のなきよう取り計らわれたい。
また、当該改正の内容につき、関係者への周知方よろしくお願いする。
記
第1 改正の概要
1 省令関係
食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第10条の規定に基づき、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン及びリン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン(以下「加工デンプン」という。)を省令別表第1に追加すること。
2 告示関係
法第11条第1項の規定に基づき、加工デンプンの成分規格を設定すること。
第2 施行・適用期日
1 省令関係
公布日から施行されるものであること。ただし、平成23年3月31日までに製造され、加工され、若しくは輸入される加工デンプンを含む食品又は添加物に係る省令第21条第1項の規定の適用については、なお従前の例によることができること。
2 告示関係
公布日から適用されるものであること。ただし、平成23年3月31日までに製造され、加工され、若しくは輸入される加工デンプンについては、なお従前の例によることができること。
第3 運用上の注意
1 使用基準関係
加工デンプンの使用基準は設定しないものの、その使用に当たっては、適切な製造工程管理を行い、食品中で目的とする効果を得る上で必要とされる量を超えないものとすること。
2 成分規格関係
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン及びヒドロキシプロピルデンプンに残存するプロピレンオキシドについては、不純物として含有されることは好ましくないため、技術的に可能な範囲で低減化を図るよう、関係業者に対して指導されたいこと。
3 添加物の表示関係
(1)加工デンプン並びにそれを含む食品及び添加物製剤については、法第19条第1項の規定に基づき、添加物の表示を行うよう、関係業者に対して指導されたいこと。
なお、今回の省令及び告示の改正に伴い、「食品衛生法に基づく添加物の表示等について」(平成8年5月23日付け衛化第56号厚生省生活衛生局長通知)の一部を次のように改正する。
1)本文中「別表第2」を「別表第1」に、「別表第5の2」を「別表第8」に、「別表第3の10」を「別表第3の11」に、「食品衛生法第2条第3項」を「食品衛生法第4条第3項」に改める。
2)別紙1「簡略名一覧表」中
「 |
L―アスパラギン酸ナトリウム |
アスパラギン酸ナトリウム, アスパラギン酸Na |
」を |
「 |
L―アスパラギン酸ナトリウム アセチル化アジピン酸架橋デンプン アセチル化酸化デンプン アセチル化リン酸架橋デンプン |
アスパラギン酸ナトリウム, アスパラギン酸Na 加工デンプン 加工デンプン 加工デンプン |
」に、 |
「 |
塩化マグネシウム オクテニルコハク酸デンプンナトリウム |
塩化Mg 加工デンプン, オクテニルコハク酸デンプンNa |
」に、 |
「 |
コンドロイチン硫酸ナトリウム |
コンドロイチン硫酸Na |
」を |
「 |
コンドロイチン硫酸ナトリウム 酢酸デンプン |
コンドロイチン硫酸Na 加工デンプン |
」に、 |
「 |
サッカリンナトリウム 酸化デンプン |
サッカリンNa 加工デンプン |
」に、 |
「 |
デンプングリコール酸ナトリウム |
デンプングリコール酸Na |
」を |
「 |
デンプングリコール酸ナトリウム |
加工デンプン, デンプングリコール酸Na |
」に、 |
「 |
デンプンリン酸エステルナトリウム |
デンプンリン酸エステルNa |
」を |
「 |
デンプンリン酸エステルナトリウム |
加工デンプン, デンプンリン酸エステルNa |
」に、 |
「 |
ビタミンA脂肪酸エステル |
ビタミンAエステル, レチノールエステル, ビタミンA, V.A |
」を |
「 |
ビタミンA脂肪酸エステル ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン |
ビタミンAエステル, レチノールエステル, ビタミンA, V.A 加工デンプン |
」に、 |
「 |
ヒドロキシプロピルセルロース ヒドロキシプロピルデンプン |
HPC 加工デンプン |
」に、 |
「 |
DL―リンゴ酸ナトリウム |
リンゴ酸ナトリウム, リンゴ酸Na |
」を |
「 |
DL―リンゴ酸ナトリウム リン酸架橋デンプン リン酸化デンプン |
リンゴ酸ナトリウム, リンゴ酸Na 加工デンプン 加工デンプン |
」に、 |
「 |
リン酸三ナトリウム |
リン酸ナトリウム, リン酸Na |
」を |
「 |
リン酸三ナトリウム リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン |
リン酸ナトリウム, リン酸Na 加工デンプン |
」に改める。 |
(参考)
改正後の別紙1「簡略名一覧表」は次のとおり(下線部分が追加部分)。
物質名
|
簡略名
|
亜硝酸ナトリウム |
亜硝酸Na |
(略) |
(略) |
L-アスパラギン酸ナトリウム |
アスパラギン酸ナトリウム,アスパラギン酸Na |
アセチル化アジピン酸架橋デンプン |
加工デンプン |
アセチル化酸化デンプン |
加工デンプン |
アセチル化リン酸架橋デンプン |
加工デンプン |
(略) |
(略) |
塩化マグネシウム |
塩化Mg |
オクテニルコハク酸デンプンナトリウム |
加工デンプン,オクテニルコハク酸デンプンNa |
(略) |
(略) |
コンドロイチン硫酸ナトリウム |
コンドロイチン硫酸Na |
酢酸デンプン |
加工デンプン |
(略) |
(略) |
サッカリンナトリウム |
サッカリンNa |
酸化デンプン |
加工デンプン |
(略) |
(略) |
デンプングリコール酸ナトリウム |
加工デンプン,デンプングリコール酸Na |
デンプンリン酸エステルナトリウム |
加工デンプン,デンプンリン酸エステルNa |
(略) |
(略) |
ビタミンA脂肪酸エステル |
ビタミンAエステル,レチノールエステル,ビタミンA,V.A |
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン |
加工デンプン |
ヒドロキシプロピルセルロース |
HPC |
ヒドロキシプロピルデンプン |
加工デンプン |
(略) |
(略) |
DL-リンゴ酸ナトリウム |
リンゴ酸ナトリウム,リンゴ酸Na |
リン酸架橋デンプン |
加工デンプン |
リン酸化デンプン |
加工デンプン |
(略) |
(略) |
リン酸三ナトリウム |
リン酸ナトリウム,リン酸Na |
リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン |
加工デンプン |
3)別紙3「規則別表第1に掲げる添加物のうち用途名併記を要するものの例示」中、規則別表第5の中欄に掲げる「増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料」としての用途が主たる目的として考えられる添加物として加工デンプンを加える。
(参考)
改正後の別紙3「規則別表第1に掲げる添加物のうち用途名併記を要するものの例示」は次のとおり(下線部分が追加部分)。
4 |
増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料 |
アセチル化アジピン酸架橋デンプン アセチル化酸化デンプン アセチル化リン酸架橋デンプン アルギン酸ナトリウム アルギン酸プロピレングリコールエステル オクテニルコハク酸デンプンナトリウム カルボキシメチルセルロースカルシウム カルボキシメチルセルロースナトリウム 酢酸デンプン 酸化デンプン デンプングリコール酸ナトリウム デンプンリン酸エステルナトリウム ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン ヒドロキシプロピルデンプン ポリアクリル酸ナトリウム メチルセルロース リン酸架橋デンプン リン酸化デンプン リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン |
4)別紙4「各一括名の定義及びその添加物の範囲」の「12乳化剤(3)添加物の範囲 以下の添加物を乳化剤としての目的で使用する場合」の「①乳化剤を主要用途とするもの。」にオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを加える。
(参考)
改正後の別紙4「各一括名の定義及びその添加物の範囲」は次のとおり(下線部分が追加部分)。
12 乳化剤
(1) 定義 食品に乳化,分散,浸透,洗浄,起泡,消泡,離型等の目的で使用される添加物及びその製剤。
(2) 一括名 乳化剤
(3) 添加物の範囲 以下の添加物を乳化剤としての目的で使用する場合
① 乳化剤を主要用途とするもの。
オクテニルコハク酸デンプンナトリウム ショ糖脂肪酸エステル ソルビタン脂肪酸エステル ポリソルベート20 ポリソルベート65 別添1の用途欄に「乳化剤」と記載された添加物 |
グリセリン脂肪酸エステル ステアロイル乳酸カルシウム プロピレングリコール脂肪酸エステル ポリソルベート60 ポリソルベート80 |
(2)物理的処理(酸処理、アルカリ処理、漂白処理といった加水分解程度の簡単な化学的処理を含む。)又は酵素的処理を行ったデンプンについては、従来どおり食品として取り扱うことから、これを加工デンプンと併用する場合には、法第19条第1項の規定に基づき、それぞれ食品としての表示と食品添加物としての表示を行うよう、関係業者に対して指導されたいこと。
4 添加物製造業関係
加工デンプンを製造する営業を営もうとする者は、法第52条の規定に基づき、添加物製造業の許可を受けなければならないこと。ただし、平成23年3月31日までの間は、なお従前の例によることができること。
5 食品衛生管理者関係
加工デンプンの製造又は加工を行う営業者は、法第48条の規定に基づき、食品衛生管理者を置かなければならないこと。ただし、平成23年3月31日までの間は、なお従前の例によることができること。
6 その他
(1)漂白デンプンの処理剤
デンプンを漂白処理する処理剤として、過マンガン酸カリウムなど未指定の添加物を用いてデンプンを処理することや指定添加物であっても定められた使用基準を超えて処理することは認められないこと。
(2)酸化デンプンと漂白デンプンの区別
次亜塩素酸ナトリウムを用いて漂白処理を行ったデンプンのうち、酸化デンプンの純度試験でカルボキシ基が0.1%を超えるもの及びカルボキシ基が0.1%以下のものであっても、酸化デンプンのカルボキシ基の確認試験の結果が陽性又は擬陽性で、かつ、粘度等のデンプンの性質に生じた変化が酸化によるものではないことを合理的に説明できないものについては、デンプンの性質を変化させるほどの化学的処理が行われているものと判断し、漂白デンプンとして取り扱わず、酸化デンプンとして取り扱うことと
すること。
(3)食品と添加物製剤の区分
食品の製造に使用することを目的として、加工デンプンとその他原材料を用いて製造されたものは、添加物製剤と解されること。ただし、加工デンプンとその他の原材料との混合等を行って製造されたものであって、調理を経て食品として喫食することを目的としたものは、食品と解されること(食品の例:パン、菓子、うどん、蕨餅、唐揚げ粉等の製造に用いられるミックスパウダー及び液状ミックス。ただし、このようなミックスパウダー等の製造に用いることを目的として製造されたものは、添加物製剤となる。)。