食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件」(平成20年厚生労働省告示第416号)をもって改正されたので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
記
第1 改正の要旨
1 ガラス製、陶磁器製又はホウロウ引きの器具又は容器について、平成16年度及び平成17年度の厚生労働科学研究の成果を踏まえ、国際標準化機関(ISO)の規格を参考に、カドミウム及び鉛の溶出規格の強化を図ったこと。
2 器具又は容器包装の製造又は修理に用いられる金属製原材料一般の規格についても、既に流通している製品の現状等を参考に、鉛の含有量に関する規格値を引き下げることとしたこと。
第2 改正の要点
1 ガラス製、陶磁器製又はホウロウ引きの器具又は容器包装に係る材質別規格の改正の要点は次のとおりである。(別添1参照)
(1) 材質ごとの規格の設定
ガラス、陶磁器又はホウロウ引きの器具及び容器包装については、これら3つの材質に共通の溶出規格が定められていたが、今回、ガラス、陶磁器及びホウロウ引きの材質別に規格を設定したこと。
なお、試験法そのものについては、従来どおり、試料に液体を満たしたときの深さの区分(深さ2.5cm未満又はそれ以上)に応じた溶出方法により行うこととしたが、ホウロウ引きの容量3L以上の試料については、液体を満たすことのできない試料と同様の取扱いとしたこと。
(2) 容量区分の変更
従来は、① 液体を満たすことができない又は満たした時にその深さが2.5cm未満、② 容量1.1L未満及び③ 容量1.1L以上の3区分であったが、改正後は、材質ごとに異なる区分を設けたこと。
(3) 加熱調理用器具の区分の新設
改正後の規格には、ガラス、陶磁器、ホウロウ引きのいずれの材質についても、加熱調理用器具の区分を設けたこと。
(注) 「加熱調理用器具」とは、直火、オーブン、電子レンジ等を用いた加熱調理に用いることを主目的とする器具をいう。ここで、熱燗用の徳利等、湯煎に用いられるもの、茶碗蒸し用の茶碗等、100℃を超えない範囲で使用されるものは、加熱調理用器具には該当しないものとする。電子レンジで使用できる旨の表示があっても、加熱調理を主目的とせず、温め直しをするだけのものであれば、加熱調理用器具には該当しないものとして取り扱う。
2 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の改正の要点は次のとおりである。
(1) 金属製原材料の鉛の含有量規格値の引き下げ
食品用の器具及び容器包装に使用される金属製の材料の実状、国内・海外の任意規格等に鑑み、鉛の含有量規格を、メッキ用スズについては、5%から0.1%に、食品用の器具若しくは容器包装の製造又は修理用の金属については、10%から0.1%に、ハンダについては、20%から0.2%に引き下げたこと。
(2) 規格の適用対象の明確化
メッキ用スズ、製造又は修理用の金属及びハンダのいずれも、食品と接触する部分に使用されるものが規格の適用対象であることを明確化したこと。
(3) 缶詰の外部に用いるハンダに係るただし書きの削除
サニタリー缶及びサニタリー缶以外の缶の外部に用いるハンダについては、ただし書きにおいて、例外的に高い含有量規格が設定されていたが、我が国においては、缶詰用の缶について、既に鉛含有ハンダが使用されていないことから、これを削除したこと。
第3 適用期日
告示の改正については、平成20年7月31日から適用すること。
ただし、平成21年7月31日までに製造され、又は輸入されたものについては、なお従前の例によることができる。(別添2参照)
第4 運用上の注意
製造者及び輸入者に対しては、平成21年7月31日までに製造又は輸入された改正前の規格に適合しているものについて、改正後の規格を満たしていない場合(不明な場合を含む。)には、平成21年7月31日までに製造又は輸入されたものであることを記録等で確認できるようにしておくことを指導されたい。