食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成18年厚生労働省告示第645号)が本日公布され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部が改正されることとなるので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のなきよう取り計らわれたい。
記
第1 改正の概要
1 食品において「不検出」とされる農薬等の成分であるニトロフラン類に係る試験法について、誘導体化に用いる試薬と検体の反応比率について変更等を行ったこと。
2 食品において「不検出」とされる農薬等の成分マラカイトグリーンに係る試験法について、精製法を追加するとともに、移動相条件について変更等を行ったこと。
3 食品衛生法(昭和22年法律第233号)第11条第1項の規定に基づき、動物用医薬品エンロフロキサシン及び動物用医薬品ツラスロマイシンについて、畜水産食品等に係る残留基準値を設定すること(別紙1及び別紙2参照)。なお、エンロフロキサシン及びツラスロマイシンに係る試験法については、本日付け食安発第1130004号当職通知を参照されたいこと。
4 その他所要の改正を行ったこと。
第2 適用期日
今回の改正は公布日から適用されるものであること。ただし、基準値を改正するもののうち、「その他の陸棲哺乳類に属する動物の筋肉」、「その他の陸棲哺乳類に属する動物の脂肪」、「その他の陸棲哺乳類に属する動物の肝臓」、「その他の陸棲哺乳類に属する動物の腎臓」、「その他の陸棲哺乳類に属する動物の食用部分」、「その他の家きんの筋肉」、「その他の家きんの脂肪」、「その他の家きんの肝臓」、「その他の家きんの腎臓」、「その他の家きんの食用部分」、「魚介類(さけ目魚類に限る。)」、「魚介類(うなぎ目魚類に限る。)」、「魚介類(すずき目魚類に限る。)」、「魚介類(その他の魚類に限る。)」、「魚介類(貝類に限る。)」、「魚介類(甲殻類に限る。)」及び「その他の魚介類」に残留するエンロフロキサシンの基準値については、平成19年5月30日から適用されるものであること。
第3 その他
1 マラカイトグリーン試験法について
(1)試験操作中、マラカイトグリーンとその代謝物であるロイコマラカイトグリーンの置換が起こり得ることから、試験操作は速やかに行うこと。
(2)アセトニトリル-水層/ヘキサン分配及びジクロロメタン転溶の際に溶媒が乳化する場合は、遠心分離等により層を完全に分離すること。
(3)強酸性陽イオン交換体ミニカラムにアセトニトリル-ジクロロメタン層を注入する際に水が混入しないよう、脱水を十分に行うこと。
(4)うなぎを試験に供する場合にあっては、安定同位元素標識標準品を用いた内標準法又は標準添加法により、回収率等の補正を行うこと。
2 エンロフロキサシンの残留基準について
残留基準を設定したエンロフロキサシンは、エンロフロキサシン及びその代謝物であるシプロフロキサシンの和をいうこと。
別紙1
エンロフロキサシン(合成抗菌剤)
食品名
|
残留基準値 (改正後) ppm (注6)
|
残留基準値 (改正前) ppm
|
牛の筋肉 |
○
|
0.05
|
0.01
|
豚の筋肉 |
○
|
0.05
|
0.01
|
その他の陸棲哺乳類に属する動物(注1)の筋肉 |
●
|
0.05
|
0.1
|
牛の脂肪 |
○
|
0.05
|
0.01
|
豚の脂肪 |
○
|
0.05
|
0.01
|
その他の陸棲哺乳類に属する動物の脂肪 |
●
|
0.05
|
0.1
|
牛の肝臓 |
○
|
0.1
|
0.01
|
豚の肝臓 |
○
|
0.1
|
0.01
|
その他の陸棲哺乳類に属する動物の肝臓 |
●
|
0.1
|
0.3
|
牛の腎臓 |
○
|
0.1
|
0.01
|
豚の腎臓 |
○
|
0.1
|
0.01
|
その他の陸棲哺乳類に属する動物の腎臓 |
●
|
0.1
|
0.2
|
牛の食用部分(注2) |
○
|
0.05
|
0.01
|
豚の食用部分 |
○
|
0.05
|
0.01
|
その他の陸棲哺乳類に属する動物の食用部分 |
●
|
0.05
|
0.2
|
乳 |
○
|
0.05
|
0.02
|
鶏の筋肉 |
○
|
0.05
|
0.01
|
その他の家きん(注3)の筋肉 |
●
|
0.05
|
0.1
|
鶏の脂肪 |
○
|
0.05
|
0.01
|
その他の家きんの脂肪 |
●
|
0.05
|
0.1
|
鶏の肝臓 |
○
|
0.1
|
0.01
|
その他の家きんの肝臓 |
●
|
0.1
|
0.2
|
鶏の腎臓 |
○
|
0.1
|
0.01
|
その他の家きんの腎臓 |
●
|
0.1
|
0.3
|
鶏の食用部分 |
○
|
0.1
|
0.01
|
その他の家きんの食用部分 |
●
|
0.1
|
0.2
|
魚介類(さけ目魚類に限る。) |
●
|
(注7)
|
0.1
|
魚介類(うなぎ目魚類に限る。) |
●
|
(注7)
|
0.1
|
魚介類(すずき目魚類に限る。) |
●
|
(注7)
|
0.1
|
魚介類(その他の魚類(注4)に限る。) |
●
|
(注7)
|
0.1
|
魚介類(貝類に限る。) |
●
|
(注7)
|
0.1
|
魚介類(甲殻類に限る。) |
●
|
(注7)
|
0.1
|
その他の魚介類(注5) |
●
|
(注7)
|
0.1
|
(注1) 牛及び豚を除く陸棲哺乳類に属する動物をいう。
(注2) 筋肉、脂肪、肝臓及び腎臓を除く食用に供される部分をいう。
(注3) 鶏を除く家きんをいう。
(注4) さけ目魚類、うなぎ目魚類及びすずき目魚類を除く魚類をいう。
(注5) 魚類、貝類及び甲殻類を除く魚介類をいう。
(注6) エンロフロキサシン及びシプロフロキサシンの和として。
(注7) 残留基準値欄に記載がない食品については、食品,添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)第1食品の部A 食品一般の成分規格の項1の「食品は,抗生物質又は科学的合成品たる抗菌性物質を含有してはならない。」が適用される。
○ 平成18年11月30日施行。
● 平成19年 5 月30日施行。
別紙2
ツラスロマイシン(抗生物質)
食品名
|
残留基準値 (改正後) ppm
|
残留基準値 (改正前) ppm
|
牛の筋肉 |
○
|
0.3
|
0.1
|
豚の筋肉 |
○
|
2
|
0.1
|
牛の脂肪 |
○
|
0.2
|
0.1
|
豚の脂肪 |
○
|
0.3
|
0.1
|
牛の肝臓 |
○
|
5
|
4
|
豚の肝臓 |
○
|
4
|
3
|
牛の腎臓 |
○
|
3
|
3
|
豚の腎臓 |
○
|
9
|
9
|
牛の食用部分(注1) |
○
|
3
|
3
|
豚の食用部分 |
○
|
5
|
3
|
(注1) 筋肉、脂肪、肝臓及び腎臓を除く食用に供される部分をいう。
○ 平成18年11月30日施行。