食品に残留する農薬等の監視指導に係る留意事項について
食品に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下「農薬等」という。)に関するいわゆるポジティブリスト制度が本日より施行されます。ポジティブリスト制度施行後の都道府県等の監視指導については、これまでと同じく食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第24条第1項に基づいて定める都道府県等食品衛生監視指導計画により実施されるものでありますが、食品の収去検査等の実施等にあたっては、下記の点について特にご留意いただくようお願いします。
記
1 食品の収去検査等の実施
(1) 食品の収去にあたっては、検査結果判明時の処分等に資するため、出荷者・販売者、出荷日など収去検査の対象とする食品に関する情報を確認し、対象全体を代表する検体を採取するように努めること。関係自治体等への情報提供に資するため、確認した情報について記録するとともに、収去する食品を特定できる包装・ラベル等を写真に残すことが望ましいこと。
(2) 収去検査実施計画を策定する際は、食品群等ごとの違反状況等を分析・評価し、食品ごとの流通量の季節変化等を考慮のうえ、年間の検査予定数などを定め、収去検査等を行う際は、各自治体において、生産・飼育時に使用される農薬等について情報を収集するとともに、市場、大規模販売店等の流通拠点において収去するなど、合理的に実施すること。
(3) 試験検査の実施にあたっては、「分析法のバリデーションについて(回答)」(平成11年10月8日付け地方衛生研究所全国協議会あて厚生省生活衛生局食品保健課事務連絡)を参考に、試験検査の方法の有効性を確認し、確立した方法を用いること。また、「食品衛生検査施設における検査等の業務管理について」(平成16年3月23日付け食安監発第0323007 号厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長通知)に基づき、検査施設の業務管理を徹底すること。
2 残留基準を超える農薬等を検出した場合の対応
(1) 収去検査等により残留基準を超える農薬等を検出した場合、関係自治体及び関係部局と連携し、違反となる範囲(ロット)を特定し、検査の対象とした食品について、販売禁止・廃棄等の措置を行うとともに、関係自治体等に検査結果を伝え、原因究明及び再発防止策を講じるよう求めること。
(2) 農薬等が基準を超えて残留する食品が発見され、当該食品を原材料にして製造・加工が行われた食品があることが判明した場合、当該食品の配合割合、製造加工方法、その他の原材料への農薬等の使用の有無などを調べ、製造加工された食品において一律基準を超えて農薬等が残留する可能性について確認すること。なお、一律基準を超えて残留する可能性がないものについては、食品衛生上の危害が認められない場合として、法第54条に基づく対応、行政指導の措置を取る必要がないと認められる場合もあるので、留意すること。
(3) 法第63条に基づく違反者の名称等の公表に際しては、関係自治体等が行った原因究明及び再発防止策についても、併せて公表するように努めること。なお、公表にあたっては、処分の範囲や健康影響の有無などを明確にするなど、いわゆる風評被害の防止について十分注意すること。
(4) 違反者の名称等の公表に際しては、当分の間、厚生労働省食品安全部監視安全課(担当:化学物質係)に情報提供すること。
3 その他
(1) 食品等事業者が実施すべきそ族及び昆虫対策については、「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)について」(平成16年2月27日付け食安発第0227012 号及び食安発第0227013 号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)等により示しているところであるが、食品取扱施設において殺虫剤等を使用する場合には食品への汚染防止対策を行う等、適正に使用されるよう指導すること。
(2) 食品等事業者にポジティブリスト制度の遵守を指導する際は、同制度は取引関係者が示す保証書や試験の実施などを義務付けるものではないこと、また営業者が自主的に試験検査を実施する場合には、農薬等の使用や違反の状況を踏まえて検査項目を定め行うべきであることを指導すること。
(3) 都道府県等で実施されている食品等の検査結果や処分等の内容を共有するため、平成17年9月に食品保健総合情報処理システムにおいて広域流通食品データネットワークシステムの運用を開始したところであるが、各都道府県等において残留農薬等モニタリングを実施した際には、結果の入力に努めるとともに、そのデータを積極的に活用すること。