食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が平成18年3月31日厚生労働省告示第201号をもって改正されたので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
記
第1 改正の要旨
第3 器具及び容器包装の部、第4 おもちやの部及び第5 洗浄剤の部が全面的に改正されたこと。
第2 改正の要点
1 第3 器具及び容器包装の部に係る改正の主な内容は次のとおりであること。
(1)有害試薬を使用しない試験法への変更
ア
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B 器具又は容器包装一般の試験法の項の添加剤試験法のゲルマニウムの試験については、四塩化炭素を用いる試験法であったので、これを削除し、当該試験については原子吸光光度法又は誘導結合プラズマ発光強度測定法を用いることとした。 |
イ
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B 器具又は容器包装一般の試験法の項のポーラログラフ法については、水銀を用いる試験法であったので、これを削除した。 |
ウ
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第2 添加物の部B 一般試験法の項に示す試験法を用いていたヒ素試験法については、臭化第二水銀紙を用いる試験法であったので、器具及び容器包装の試験法として新たに臭化第二水銀紙を用いない試験法を設定し、B 器具又は容器包装一般の試験法の項に追加した。 |
エ
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D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の2 合成樹脂製の器具又は容器包装(2)個別規格中のポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装a 材質試験①ジブチルスズ化合物及び同②クレゾールリン酸エステルの試験については、抽出に用いる溶媒として四塩化炭素を用いる試験法であったので、これを変更し、新たな試験溶液の調整法を設定した。 |
オ
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D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の2 合成樹 脂製の器具又は容器包装(2)個別規格中のポリ塩化ビニリデンを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装a 材質試験②塩化ビニリデンの試験については、抽出に用いる溶媒として四塩化炭素を用いる試験法であったので、これを変更し、新たな試験溶液の調製法を設定した。 |
(2)より精度の高い試験法への変更
ア
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B 器具又は容器包装一般の試験法の項の原子吸光光度法について、電気加熱方式による試験法を追加した。これに伴い、B 器具又は容器包装一般の試験法の項の添加剤試験法中のアンチモンの試験法を削除し、D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の1 ガラス製、陶磁器製又はホウロウ引きの器具又は容器包装や4 金属缶(乾燥した食品(油脂及び脂肪性食品を除く。)を内容物とするものを除く。)(2)試験1.ヒ素、鉛及びカドミウムb カドミウム及び鉛の試験における試験溶液の調製法を簡便にした。 |
イ
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第2 添加物の部B 一般試験法の項に示す試験法を用いていた重金属試験法について、器具及び容器包装に適した試験法を設定し、B 器具又は容器包装一般の試験法の項に新たに追加した。 |
ウ
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B 器具又は容器包装一般の試験法の項の添加剤試験法中のジブチルスズ化合物の試験について、ろ紙クロマトグラフィーによる試験法から、誘導体をガスクロマトグラフィー/質量分析により測定する試験法に変更した。 |
エ
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B 器具又は容器包装一般の試験法の項のモノマー試験法に示す試験法のうち、次に掲げる試験法については、分解能の向上のためキャピラリーカラムを用いることとした。 エピクロルヒドリン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、カプロラクタム、揮発性物質、メタクリル酸メチル |
オ
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B 器具又は容器包装一般の試験法の項に誘導結合プラズマ発光強度測定法を新たに追加した。 |
カ
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D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の2 合成樹脂製の器具又は容器包装(1)一般規格1.材質試験a カドミウム及び鉛の試験において、共存するバリウムやカルシウムによる妨害を低減するために、試験溶液の調製時に塩酸処理を行うこととした。 |
キ
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改正後のD 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の2 合成樹脂製の器具又は容器包装(2)個別規格1.フェノール樹脂、メラミン樹脂又はユリア樹脂を主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装a 溶出試験フェノールの試験について、臭素試液を用いる試験法から、4-アミノアンチピリン試液を用いる試験法に変更した。また、B 器具又は容器包装一般の試験法の項のモノマー試験法中にフェノールの試験法を追加し、D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の3 ゴム製の器具又は容器包装(1)ゴム製の器具(ほ乳器具を除く。)又は容器包装2.溶出試験a フェノール及び4 金属缶(乾燥した食品(油脂及び脂肪性食品を除く。)を内容物とするものを除く。)(2)試験2.フェノール等の試験についても、これにより行うこととした。 |
(3)規格基準の適正化のため行った改正は次のとおりであること。
ア
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告示に規定する試験法と同等以上の精度のある試験法を使用できることとした。 |
イ
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B 器具又は容器包装一般の試験法の項の蒸発残留物試験において4%酢酸を浸出溶液として用いることとしていた器具について、容器包装と同様に、接触する食品に応じた溶媒を浸出用液として用いることとした。 |
ウ
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その適否の判断を標準溶液との比較により行うとしている規格について、規格内容が理解されやすいように標準溶液に基づく溶出物等の限度値を記載した。 |
エ
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D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の2 合成樹脂製の器具又は容器包装(2)個別規格中のホルムアルデヒドを製造原料とする合成樹脂製の器具又は容器包装について、「フェノール樹脂、メラミン樹脂又はユリア樹脂を主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装」と「ホルムアルデヒドを製造原料とする合成樹脂製の器具又は容器包装(ただし、フェノール樹脂、メラミン樹脂又はユリア樹脂を主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装を除く。)」とに分け、それぞれについて規格を設定した。 |
オ
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日本工業規格(JIS)に合わせ試薬の名称について改正を行った。 |
2 第4 おもちやの部に係る改正の主な内容は次のとおりであること。
(1) 第3 器具及び容器包装の部B 器具または容器包装一般の試験法の項に示す試験法が準用できる試験法については、それを準用することとした。
(2) その適否の判断を標準溶液との比較により行うとしている規格について、規格内容が理解されやすいように標準溶液に基づく溶出物等の限度値を記載した。
(3) 告示に規定する試験法と同等以上の精度のある試験法を使用できることとした。
3 第5 洗浄剤の部に係る改正の主な内容は次のとおりであること。
A 洗浄剤(もっぱら飲食器の洗浄の用に供されることが目的とされているものを除く。)の成分規格の項の(1)ヒ素の試験については、第3 器具及び容器包装の部B 器具または容器包装一般の試験法の項に示す方法を準用することとした。
4 上記の改正に伴い、その他所要の改正を行ったこと。
第3 適用期日
公布の日から適用すること。ただし、平成19年3月31日までに製造され、又は輸入される器具若しくは容器包装、おもちや又は洗浄剤については、なお従前の例によることができること。
第4 運用上の注意
第3 器具及び容器包装の部又は第4 おもちやの部について、告示に規定する試験法と同等以上の精度のある試験法(以下「代替試験法」)を使用できることとしたが、代替試験法の結果について疑いのある場合は、告示に規定する試験法で最終の判定を行うこと。