食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部を改正する「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件」(平成15年厚生労働省告示第351号)が本日公布、施行されたので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のなきよう取り計らわれたい。
記
第1 改正の要旨
食品衛生法第7条第1項の規定に基づき、食品添加物たるコウジ酸の基準の設定及びメチルヘスペリジンの成分規格の改正を行ったこと。
第2 施行期日
この改正は公布日から施行される。
第3 運用上の注意
1 コウジ酸について
食品添加物としてのコウジ酸(Kojic acid)は、味噌、しょう油等の製造に用いられる麹菌(Aspergillus属等)を培養して得られる抗菌作用を持った物質であり、既存添加物名簿(平成8年厚生省告示第120号)に収載されている。本品について、既存添加物の安全性確認作業の一環として実施された安全性試験の結果等に関する取りまとめが報告され、薬事・食品衛生審議会及び食品安全委員会において審議が行われた。
その結果、食品添加物としてのコウジ酸は、①肝臓に対する発がん性が示唆され、その遺伝毒性を否定できないこと、②意図的に添加するものであること、③国内外とも現在使用されておらず、食品添加物として使用する必要性は低いと考えられることなどから、今後とも使用しないよう食品衛生法第7条に基づく必要な基準を策定すべきとの薬事・食品衛生審議会答申及び前述の①の評価は妥当と考える旨の食品安全委員会の評価結果の通知に基づき、告示の改正を行ったものである。
なお、今回の措置は食品添加物として使用されるコウジ酸に係るものであって、味噌、醤油等の麹菌を用いて製造等される食品について、特段の措置を講じようとするものではない。
2 メチルヘスペリジンについて
メチルヘスペリジンは、いわゆるビタミンP(レモン汁から発見された毛細血管壁を増強する二種以上のフラボノイド化合物)の主成分であるヘスペリジンを、ジメチル硫酸でメチル化し、水に可溶化したものであり、食品衛生法第6条に基づき指定されており、また、同法第7条第1項に基づき成分規格が設けられている。
今般、製造方法を改良することにより、成分規格の含量値の上限(100.5%)を超える可能性が出てきたので、新たな製造方法によるメチルヘスペリジン製品の実測値を踏まえ、薬事・食品衛生審議会の答申及び食品安全委員会の評価結果の通知に基づき、含量規格を現行の「90%以上」から「97.5~103.0%」へと改正したものである。
厚生労働省告示第351号 (平成15年10月16日)の概要
○ 食品一般の製造、加工及び調理基準
・ 食品を製造し、又は加工する場合は、既存添加物名簿に記載されている添加物たるコウジ酸を使用してはならない。
○ 食品一般の保存基準
・ 食品を保存する場合には、既存添加物名簿に記載されている添加物たるコウジ酸を使用してはならない。