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平成14年08月02日

 

 

別紙:ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いた器具及び容器包装並びにおもちゃにおけるフタル酸エステル類試験法

 

本文:食品、添加物等の規格基準の一部改正について(食基発第0802001号)
 
別紙
 

材質試験1.装置
 ガスクロマトグラフ・質量分析計又は水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフを用いる。

2.試薬・試液

フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)
 C(COOCHCH(C)C)
本品はフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)を97.0%以上含む。
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液 フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)10.0mgをアセトンに溶かして100mlとする。この液をアセトンで適宜希釈して、検量線用のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液とする。


3.試験溶液の調製 
 試料を細切又は粉砕し、その1.0gを正確に量り、50mlの共栓付フラスコに入れる。アセトン及びn-ヘキサンの混液(3:7)30mlを加え、密栓をして約37℃に保ちながら時々振り混ぜて一晩放置する。冷後、この液をろ過し、ろ液及び洗液を50mlのメスフラスコに入れ、アセトンを加えて50mlとする。この液5mlを100mlのメスフラスコに採りアセトンを加えて100mlとし、これを試験溶液とする。また、試料を入れないで同様な操作を行い、空試験溶液とする。
 
4.操作法
(1) 定性試験
 試験溶液及びフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液をそれぞれ1μlずつ用いて、次の操作条件で試験を行い、試験溶液のクロマトグラムのピークの検出時間とフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液のクロマトグラムのピークの検出時間を比較する。

操作条件カラム 内径0.25mm、長さ15mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフ用メチルシリコンを0.1μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 50℃から毎分20℃で昇温し、300℃に到達後10分間保持する。
試験溶液注入口温度 250℃
検出器 280℃で操作し、質量分析計の場合は質量数149のイオンを検出する。
キャリヤーガス ヘリウム又は窒素を用いる。フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)が約9分で流出する流速に調節する。 
(2) 定量試験
 定性試験において試験溶液のクロマトグラムのピークの検出時間とフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液のクロマトグラムのピークの検出時間が一致するときは、次の試験を行う。
 試験溶液中のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)についてピーク面積法により定量を行い、その濃度a(ppm)を求める。また、空試験溶液からその濃度b(ppm)を求める。次式により求めたフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)の含量は0.1%以下でなければならない。

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(3) 確認試験
 水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフを用いて定性及び定量を行い、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)が0.1%を超えて検出された場合は、ガスクロマトグラフィー・質量分析を行い、試験溶液中の当該ピークのマススペクトルとフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液のマススペクトルが一致することを確認する。  
溶出試験1.装置、試薬・試液
  材質試験の装置、試薬・試液を準用する。

2.試験溶液の調製 
  試料の表面積 1cm2につき 2mlの割合のn-ヘプタンを用い、25℃に保ちながら1時間放置したのち、この液を試験溶液とする。また、試料を入れないで同様な操作を行い、空試験溶液とする。

3.操作法
(1) 定性試験
 材質試験の定性試験を準用する。

(2) 定量試験
 定性試験において試験溶液のクロマトグラムのピークの検出時間とフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液のクロマトグラムのピークの検出時間が一致するときは、次の試験を行う。
 試験溶液中のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)についてピーク面積法により定量を行いその濃度a(ppm)を求める。また、空試験溶液からその濃度b(ppm)を求める。次式により求めたフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)の溶出量は 1ppm以下でなければならない。

  フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)の溶出量(ppm)=a-b

(3) 確認試験
 水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフを用いて定性及び定量を行い、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)が 1ppmを超えて検出された場合は、ガスクロマトグラフィー・質量分析を行い、試験溶液中の当該ピークのマススペクトルとフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液のマススペクトルが一致することを確認する。  
第2 ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いたおもちゃにおけるフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)試験法

 第1ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いた器具及び容器包装におけるフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)試験法の材質試験を準用する。

第3 ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いた乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃにおけるフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)及びフタル酸ジイソノニル試験法
1.装置
 ガスクロマトグラフ・質量分析計又は水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフを用いる。

2.試薬・試液  

フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) 
(COOCHCH(C)C)
本品はフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)を97.0%以上含む。
フタル酸ジイソノニル C(COOC19) 本品はフタル酸ジイソノニルを95.0%以上含む。
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液 フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) 10.0mgをアセトンに溶かして100mlとする。この液をアセトンで適宜希釈して、検量線用のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液とする。
フタル酸ジイソノニル標準溶液 フタル酸ジイソノニル10.0mgをアセトンに溶かして100mlとする。この液を適宜希釈して、検量線用フタル酸ジイソノニル標準溶液とする。


3.試験溶液の調製 
 試料を細切又は粉砕し、その1.0gを正確に量り、50mlの共栓付フラスコに入れる。アセトン及びn-ヘキサンの混液(3:7)30mlを加え、密栓をして約37℃に保ちながら時々振り混ぜて一晩放置する。冷後、この液をろ過し、ろ液及び洗液を50mlのメスフラスコに入れ、アセトンを加えて50mlとする。この液5mlを20mlのメスフラスコに採りアセトンを加えて20mlとし、これを試験溶液とする。また、試料を入れないで同様な操作を行い、空試験溶液とする。

4.操作法
(1) 定性試験
 試験溶液、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)及びフタル酸ジイソノニル標準溶液をそれぞれ1μlずつ用いて、次の操作条件で試験を行い、試験溶液のクロマトグラムのピークの検出時間と各標準溶液のクロマトグラムのピークの検出時間を比較する。

 操作条件
 第1ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いた器具及び容器包装 におけるフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)試験法の材質試験を準用する。

(2) 定量試験
 定性試験において試験溶液のクロマトグラムとフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)標準溶液のクロマトグラムのピーク、又はフタル酸ジイソノニル標準溶液のクロマトグラムの主なピークの検出時間が一致するときは、次の試験を行う。
 試験溶液中のフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)又はフタル酸ジイソノニルについてピーク面積法により定量を行い、その濃度a(ppm)を求める。また、空試験溶液からその濃度b(ppm)を求める。次式により求めたフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)又はフタル酸ジイソノニルの含量は0.1%以下でなければならない。ただし、フタル酸ジイソノニルにおいては、主なピークのピーク面積の合計により定量を行う。

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(3) 確認試験
 水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフを用いて定性及び定量を行い、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)又はフタル酸ジイソノニルの含量が0.1%を超えて検出された場合は、ガスクロマトグラフィー・質量分析を行い、試験溶液中の当該ピークのマススペクトルと当該標準溶液のマススペクトルが一致することを確認する。

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