食品衛生法施行規則の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
食品衛生法施行規則の一部を改正する省令(平成14度厚生労働省令第101号)及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成14年厚生労働省告示第266号)が本日付け公布、施行され、これにより食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が改正されたので、下記の事項に留意の上、その運用に遺憾のなきよう取り計られたい。
記
第1 改正の要旨
1 省令関係 食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第6条の規定に基づき、
省令別表第2が改正
され、添加物としてフェロシアン化物(フェロシアン化カリウム(別名ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム)、フェロシアン化カルシウム(別名ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カルシウム)及びフェロシアン化ナトリウム(別名ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸ナトリウム)に限る。)が指定されたこと。
2 告示関係 法第7条第1項の規定に基づき、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム及びフェロシアン化ナトリウムの成分規格及び
使用基準
が設定されたこと。
第2 施行期日
省令及び告示のいずれも公布日より施行される。
第3 運用上の注意
1 輸入、販売等に係る取扱いについて 本件の施行に伴い、平成14年7月12日付食発第0712001号食品保健部長通知「指定外添加物(フェロシアン化物)を使用する食塩及びその食塩を使用し製造した食品への適応について」は廃止する。 2 表示について フェロシアン化物並びにこれを含む食品及び添加物製剤については、省令第5条の規定により添加物の表示を行うよう、関係業者に対して指導されたいこと。
なお、平成8年5月23日衛化第56号厚生省生活衛生局長通知「食品衛生法に基づく添加物の表示等について」は、本件の施行に伴い、下記のように一部を改正する。 1 別紙1中
次に、
「 |
フェロシアン化カリウム フェロシアン化カルシウム フェロシアン化ナトリウム |
フェロシアン化K フェロシアン化Ca フェロシアン化Na |
」を |
加える。
2 別紙2の2中
「 |
ピロリン酸四ナトリウム及びメタリン酸カリウム |
リン酸塩(Na,K) |
」の |
次に、
「 |
フェロシアン化カリウム及びフェロシアン化ナトリウム |
フェロシアン化物(K,Na) |
」を |
加える。
3 食品中の分析法について食塩中の分析法については、別紙試験法(注:平成14年7月12日付食発第0712001号食品保健部長通知における別添試験法に同じ)による。
(別 紙)
フェロシアン化物
Ferrocyanides
フェロシアン化カルシウム Calcium ferrocyanide Ca2Fe(CN)6 ・12H2O:508.29
フェロシアン化カリウム Potassium ferrocyanide K4Fe(CN)6 ・ 3H2O:422.39
フェロシアン化ナトリウム Sodium ferrocyanide Na4Fe(CN)6 ・10H2O:484.06
1.試験法の概要
食塩中のフェロシアン化物は、食塩水溶液に硫酸鉄(Ⅱ)溶液を加え、生成するフェロシアン化鉄(Ⅲ)の吸光度を測定し、フェロシアンイオンとして定量する。必要があれば分子量比を乗じてフェロシアン化塩の量として求める。
2.試験法(吸光光度法)
(1)検体の採取と試料の調製
一般試料採取法を準用する。
(2)試料液の調製
食塩20gを精密に量り、水80mlを加えて溶かす。ろ紙(No.5C)でろ過し、ろ液を100mlメスフラスコに入れ、ろ紙を10ml以下の水で洗い、洗液もフラスコに加える。これに、硫酸鉄(Ⅱ)試液5mlを加え、水を加えて正確に100mlとする。よく振り混ぜた後、30分間放置し、吸光度測定用試料溶液とする。
(3)検量線用標準液の調製
フェロシアン化カリウム三水和物約0.2 gを精密に量り、水を加えて正確に100mlとし、標準原液とする1)。この原液5mlを正確に量り、水で正確に100mlとして標準液とする(この液1mlはフェロシアンイオン約50μg/mlを含む)2)。塩化ナトリウム10gを50mlのメスフラスコ5本に各々量り、水40mlを加えて溶かし、そこに標準液0、200、600、1,000、2,000μLを各々加え、さらに硫酸鉄(Ⅱ)試液2.5 mlを加え、水で正確に50mlとする。良く振り混ぜてから30分間放置し、検量線用標準液とする。(これらの液1mlはそれぞれフェロシアンイオン0.2、 0.6、 1、 2μg/mlを含む)。
(4)測定法
① 測定
試料液を光路長50mmのセルにとり、水を対照として波長720nmにおける吸光度を分校光度計により測定する。
② 検量線
各検量線用標準液につき、吸光度を測定し、検量線を作成する。
③ 定量
試料溶液の吸光度と、検量線から試料溶液中のフェロシアンイオン濃度を求め、次式により検体中のフェロシアン含量を計算する3)。
フェロシアンイオン含量(mg/kg) = C ×100/W
C : 試料溶液中のフェロシアンイオン濃度(μg/ml)
W : 検体採取料(g)
フェロシアン化カルシウム(mg/kg) = フェロシアンイオン含量(mg/kg)×1.38
フェロシアン化カリウム(mg/kg) = フェロシアンイオン含量(mg/kg)×1.74
フェロシアン化ナトリウム(mg/kg) = フェロシアンイオン含量(mg/kg)×1.43
試薬・試液等
1.フェロシアン化カリウム三水和物:[特級]
2.硫酸鉄(Ⅱ)七水和物:[特級]
3.硫酸鉄(Ⅱ)試液:硫酸鉄(Ⅱ)七水和物3gを水80mlに溶かし、硫酸1mlを加えてから、水で正確に100mlとする。この溶液は用時調製する。
4.塩化ナトリウム:[特級]
[注]
1) 検量線用標準原液は褐色瓶に入れ冷暗所に保存する。
2) フェロシアン化カリウム三水和物の分子量は 422.39、フェロシアンイオンの分子量は211.95であり、分子量比からフェロシアン化カリウム三水和物0.20gは、0.10gのフェロシアンイオンに相当する。
3) 本法による検出限界はフェロシアンイオンとして0.5mg/kgである。
参考)食塩中のフェロシアン化物の定性的検出
フェロシアン化物を定性的に検出する場合、定量法と同様の発色操作を行った後、メンブランフィルター(孔径0.45μm)を用いて30mlの試料溶液を吸引ろ過し、フィルターの青色着色により検出できる。本法では1mg/kgの試料液でも明らかな青色を確認できる。着色フィルターに色差計を用いると、定量化の可能性も考えられる。