食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部が平成14年3月13日付け厚生労働省告示第94号をもって改正され、その運用については平成14年3月26日付け食発第0326001号をもって厚生労働省医薬局食品保健部長より各都道府県知事、政令市市長、特別区区長あて通知されたところであるが、さらに下記の点に留意の上、その取扱いに遺漏のないようにされたい。
記
第1 残留基準値の留意点
1 新たに残留基準値を設定したアセキノシルは、アセキノシル及び3-ドデシル-2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンのそれぞれについて定量を行い、3-ドデシル-2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンについてはその含量に係数を乗じてアセキノシルの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
2 残留基準値を見直したグルホシネートは、穀類、豆類、種実類及びてんさいについて試験を行う場合は、グルホシネート(N-アセチルグルホシネートを含む)及び3-メチルホスフィニコ-プロピオン酸のそれぞれについて定量を行い、3-メチルホスフィニコ-プロピオン酸についてはその含量に係数を乗じてグルホシネートの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。その他の農産物について試験を行う場合は、グルホシネート及び3-メチルホスフィニコ-プロピオン酸のそれぞれについて定量を行い、3-メチルホスフィニコ-プロピオン酸についてはその含量に係数を乗じてグルホシネートの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
3 新たに残留基準値を設定したスピノサドは、スピノシンA及びスピノシンDのそれぞれについて定量を行い、その含量の和を分析値とすること。
第2 試験法
1 改正の要旨
新たにアセキノシル試験法等を追加するとともに、既存の試験法について次のとおり改正したこと。
(1) BHC、DDT、アルドリン、エンドリン、ジコホール、ディルドリン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス及びフェンプロパトリン試験法の試験溶液の調製の抽出法について、ホップの場合を追加したこと。
(2) EPN、エディフェンホス、 エトプロホス、 エトリムホス、カズサホス、キナルホス、クロルピリホス、クロルフェンビンホス、ジメチルビンホス、ジメトエート、ダイアジノン、チオメトン、テルブホス、トルクロホスメチル、パラチオン、パラチオンメチル、ピラクロホス、ピリミホスメチル、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェントエート、ブタミホス、プロチオホス、ホキシム、ホサロン、ホスチアゼート及びマラチオン試験法について、試験対象の農薬としてトリアゾホスを追加し、EPN、エディフェンホス、 エトプロホス、 エトリムホス、カズサホス、キナルホス、クロルピリホス、クロルフェンビンホス、ジメチルビンホス、ジメトエート、ダイアジノン、チオメトン、テルブホス、トリアゾホス、トルクロホスメチル、パラチオン、パラチオンメチル、ピラクロホス、ピリミホスメチル、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェントエート、ブタミホス、プロチオホス、ホキシム、ホサロン、ホスチアゼート及びマラチオン試験法に改正したこと。
(3) アジムスルフロン及びフラザスルフロン試験法について、試験対象の農薬として、ハロスルフロンメチルを追加し、アジムスルフロン、ハロスルフロンメチル及びフラザスルフロン試験法に改正したこと。種実類が追加されたことに伴い、試験溶液の調製の抽出法にn-ヘキサンによる洗浄操作を加えたこと。精製法に用いるカラム及び溶出条件並びに定性試験に用いる移動相、測定波長等を改正したこと。
(4) カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール及びペンコナゾール試験法について、試験対象の農薬として、シメトリンを追加し、カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、シメトリン、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール及びペンコナゾール試験法に改正したこと。
(5) 「グルホシネート試験法」について、穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合は、抽出法及び精製法に用いるカラム及び溶出条件並びに定性試験に用いる測定条件等を改めたこと。果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合は、定性試験に用いる測定条件等を改めたこと。
(6) 「ジクロルボス及びトリクロルホン試験法」について、トリクロルホンをアセチル化することによりガスクロマトグラフ中での分解を防止する方法に改良したこと。それに伴い、抽出法で用いる溶媒及び精製法を改め、誘導体化操作を加えたこと。
(7) 「ピクロラム試験法」について、試験溶液の調製におけるジクロロメタンによる水抽出液の洗浄をエーテルによる洗浄に改めたこと。
(8) 「ベンタゾン試験法」の試験溶液の抽出法について、種実類を追加したこと。
(9) 「ピリフェノックス試験法」の試験溶液の調製の抽出法について、豆類の場合を追加し,種実類を削除したこと。
(10) 「アセフェート及びメタミドホス試験法」について、抹茶及びホップの試料量を変更し、水を加えるように改めたこと。更に、これまでは別法となっていた抹茶以外の茶とその他の作物の精製法を統一したこと。
(11) 「トリフルミゾール試験法」について、定性試験に用いる移動相の調製法を改正したこと。
2 分析上の注意事項
(1) グルホシネート試験法で、穀類、豆類、種実類及びてんさいを試験する際に用いる、ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)には、粒径120mのものを用いることが望ましいこと。またガスクロマトグラフ検出器に炎光光度型検出器を用いる場合は、カラムに内径 0.53mm、長さ 30m、膜厚 1.0m のものを用いることも可能であること。
(2) フェンヘキサミド試験法については、pH3未満の条件下で抽出を行う必要があること。また、確認試験を行う際には、ガスクロマトグラフィー・質量分析計を用いることも可能であること。
(3) アセキノシル試験法については、本薬は光に不安定であるため、試験は遮光条件下で行うこと。また、本試験法については、酸性条件下で抽出を行う必要があること。
(4) ジクロルボス及びトリクロルホン試験法については、ジクロルボスには誘導体化操作による変化がないこと。ガスクロマトグラフ注入口やカラムが汚れているとトリクロルホン誘導体が分解しやすくなること。トリクロルホンの誘導体化の加熱時間が3時間を超えると収率が悪くなること。検出器にアルカリ熱イオン化検出器、高感度窒素・リン検出器を使用する場合、カラムは、5%フェニルメチルポリシロキサンをコーティングしたもの等が望ましいこと。
3 検出限界
新たに残留農薬基準値を設定した12農薬及び試験法の見直しを行った農薬の検出限界を別紙1及び2に示すので、試験を行う際に留意すること。また、平成12年7月25日付け食基発第34号及び第35号のアゾキシストロビンの検出限界を別紙3のとおり改めること。
なお、「(126) (3)から(125)に掲げる試験法と同等以上の性能を有する試験法」を用いる場合も、平成4年10月27日付け衛化第76号、平成5年3月4日付け衛化第24号、平成5年9月14日付け衛化第78号、平成6年6月9日付け衛化第47号、平成7年8月14日付け衛化第94号、平成8年9月2日衛化第95号、平成9年9月1日付け衛化第111号、平成10年10月12日付け衛化第25号、平成11年11月22日付け衛化第59号、平成13年2月26日付け食基発第4号、平成13年7月25日付け食基発第34号及び本通知で述べた検出限界を、別途定めがない限り行政の判断の際に供するものとし、今後同様に検出限界を通知した際にも、同様に取り扱うこととしたこと。
第4 適用期日
平成14年4月1日から適用すること。
(別紙1)
新たに残留農薬基準値を設定した農薬の検出限界
農薬名
|
検出限界濃度(ppm)
|
アセキノシル |
0.02 |
インダノファン |
0.01 |
シメトリン |
0.01 |
スピノサド |
茶 0.05 その他の農産物 0.01 |
トリアゾホス |
そら豆 0.02 その他の農産物 0.05 |
ハロスルフロンメチル |
0.02 |
ビオレスメトリン |
0.01 |
ピラフルフェンエチル |
0.02 |
ピリメタニル |
0.01 |
フィプロニル |
0.01 |
フェンヘキサミド |
0.01 |
プロシミドン |
0.01 |
(別紙2)
試験法の見直しを行った農薬の検出限界
農薬名
|
検出限界濃度(ppm)
|
アセフェート |
茶 0.1 その他の農産物 0.01 |
グルホシネート |
穀類、豆類、種実類及びてんさい 0.05 その他の農産物 0.01 |
メタミドホス |
ホップ 0.05 その他の農産物 0.01 |
ジクロルボス |
0.01 |
トリクロルホン |
0.01 |
ピクロラム |
0.01 |
フェンプロパトリン |
0.01 |
(別紙3)
(旧)
農薬の成分である物質
|
検出限界濃度(ppm)
|
アゾキシストロビン |
米 果実、野菜及びナッツ類 らつかせい 茶 |
0.04 0.02 0.01 0.2 |
(新)
農薬の成分である物質
|
検出限界濃度(ppm)
|
アゾキシストロビン |
穀類 らつかせい 茶 その他の農産物 |
0.02 |