我が国では,国民の健康に対する関心が高まる中,食品に求められる機能も複雑かつ多様化している。特に,政府の規制緩和推進計画及び市場開放問題苦情処理推進会議(OTO)報告に対応して,食薬区分が見直され,これまで医薬品として使用されてきたビタミン,ミネラル等が食品として自由に流通することが許されたことなどから,特定の保健機能を有する成分を摂取することを目的とした錠剤,カプセル等の形状のものも食品として取り扱われるようになってきている。これらの食品には,単なるビタミン,ミネラル等の栄養素のみならず,ハーブ等種々の生理学的機能や生物学的活動に関与する成分を含んだものもあり,その機能も多岐にわたっている。これらの食品はその食品が持つ機能に応じて,適切に摂取すれば国民の健康の維持増進等に寄与することが評価できる反面,不適切な表示や摂取方法などにより,健康を損なうことも考えられるところである。現に,品質,広告,宣伝等に問題があるものもあるとの指摘もなされているところである。 一方,海外においてもこうした一定の機能を持つ食品について,規格基準を始め,特に表示に関して種々議論されており,コーデックス(FAO/WHO合同食品規格計画)では現在,それらの食品に対する健康強調表示について検討がなされているところである。 このような状況にかんがみ,当省では,先の食薬区分の見直しに併せて,いわゆる栄養補助食品の類型化等その取扱いについて検討してきたが,本年2月26日に薬事・食品衛生審議会より,いわゆる健康食品のうち,一定の条件を満たすものを保健機能食品と称することとし,その制度化に向けた詳細な規格基準,表示基準等をまとめた「保健機能食品の表示等について」と題した報告書に沿って施策を講じることが適当との答申を受けたところである。 言うまでもなく,栄養・食生活は,多くの生活習慣病との関連が深く,また,生活の質との関連も深いことから,有効性や安全性等を確保しつつ,消費者に適切な情報を伝え,消費者が安心してこれらの食品を個々人の食生活の状況等を踏まえ,必要に応じて選択,活用できるようにすることは,意義深いものである。 このため,当省では,この報告書を踏まえ,当該制度を法令上位置付けることとし,今般,3月27日付けで,食品衛生法施行規則等の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第43号),食品,添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第95号),特定保健用食品の安全性及び効果の審査の手続を定める件(平成13年厚生労働省告示第96号。以下「審査手続告示」という。),栄養機能食品の表示に関する基準を定める件(平成13年厚生労働省告示第97号)及び栄養表示基準の一部を改正する件(平成13年厚生労働省告示第98号)が,それぞれ公布されたところである。今後は,貴職におかれても,本制度の趣旨を御理解いただき,実施に当たっては,下記の事項に御留意の上,管下関係機関,関係団体及び消費者に対する特段の御指導,御配慮をお願いする。 なお,本制度の施行は平成13年4月1日とされているが,その周知徹底方についても特段の御配慮をお願いするとともに,本制度の運用に遺憾なきようされたい。 (以下省略) |