通知
食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部が平成13年2月26日付け厚生労働省告示第56号をもって改正され、その運用については平成13年2月26日付け食発第58号をもって厚生労働省医薬局食品保健部長より各都道府県知事、政令市市長、特別区区長、地方厚生局長あて通知したところであるが、さらに下記の点に留意の上、その取扱いに遺漏のないようにされたい。
記
第1 残留基準値の留意点
1 新たに残留基準値を設定したアシベンゾラルSメチルは、アシベンゾラルSメチル及びアシベンゾラル酸のそれぞれについて定量を行い、アシベンゾラル酸についてはその含量に係数を乗じてアシベンゾラルSメチルの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
2 新たに残留基準値を設定したイマザモックスアンモニウム塩は、イマザモックスについて定量を行い、その含量に係数を乗じてイマザモックスアンモニウム塩の含量に換算し、これを分析値とすること。
3 新たに残留基準値を設定したクレトジムは、クレトジムスルホン体について定量を行い、その含量に係数を乗じてクレトジムの含量に換算し、これを分析値とすること。
4 新たに残留基準値を設定したジアフェンチウロンは、ジアフェンチウロン並びに尿素体及びメタンイミドアミド体のそれぞれについて定量を行い、尿素体及びメタンイミドアミド体についてはその含量に係数を乗じてジアフェンチウロンの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
5 新たに残留基準値を設定したプロクロラズは、2,4,6-トリクロロフェノールについて定量を行い、その含量に係数を乗じてプロクロラズの含量に換算し、これを分析値とすること。 第2 試験法
新たにアシベンゾラルSメチル試験法等を追加するとともに、既存の試験法について次のとおり改正したこと。
(1)「BHC、DDT、アルドリン、エンドリン、ジコホール、ディルドリン、テフルトリン、トリフルラリン及びハルフェンプロックス試験法
」について、試験対象の農薬の成分である物質としてフェンプロパトリンを追加し、「BHC、DDT、アルドリン、エンドリン、ジコホール、ディルドリン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス及びフェンプロパトリン試験法
(2)「アラクロール、イソプロカルブ、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、フルトラニル、プレチラクロール、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法
」について、試験対象の農薬の成分である物質としてブタクロールを追加し、「アラクロール、イソプロカルブ、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、ブタクロール、フルトラニル、プレチラクロール、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法
(3)「イナベンフィド試験法」について、アセトンで抽出しクロロアセチル化した誘導体を電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフで測定する方法であったが、アセトンで抽出したイナベンフィドを紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフで測定する方法に改めたこと。
(4)「カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、チフルザミド、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール及びペンコナゾール試験法」について、試験対象の農薬の成分である物質としてテトラコナゾールを追加し、「カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール及びペンコナゾール試験法」に改正したこと。
(5)「キノメチオネート試験法」については、検体にリン酸を添加して均一化し、測定にアルカリ熱イオン化検出器又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いるよう抽出法、精製法及び操作法について改めたこと。
(6)「クロフェンテジン試験法」については、操作法にアルカリ熱イオン化検出器又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計に代わって紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ・質量分析計を用いるよう抽出法、精製法及び操作法について改めたこと。
(7)「クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、テブフェノジド、テフルベンズロン、フルフェノクスロン及びヘキサフルムロン試験法」については、分析対象の農薬の成分である物質として、ルフェヌロンを追加し、「クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、テブフェノジド、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン及びルフェヌロン試験法」とし、精製法で用いる抽出液の組成及び操作法の確認試験に液体クロマトグラフ・質量分析計を用いるよう改めたこと。
(8)「酸化フェンブタスズ試験法」については.試験対象の農薬の成分である物質として、シヘキサチンを追加し、「酸化フェンブタスズ及びシヘキサチン試験法」とし、炎光光度型検出器付きガスクロマトグラフによる分析に改めたこと.
(9)(8)により「シヘキサチン試験法」を削除したこと。
10
)「メトリブジン試験法」については、試験溶液の抽出法を改めたこと.
ピメトロジン試験法については、塩基性条件下で抽出を行う必要があること。
デスメディファム試験法については、本薬は含水アセトニトリル中では不安定であり、標準溶液はアセトニトリル
-0.01%
11
ジアフェンチウロン試験法については、本薬は光及び水中で非常に不安定であり、試験は一部遮光条件下で行うとともに、ロータリーエバポレーターの使用は厳禁であること。また摩砕、細切に関わらず冷凍保存した試料を解凍した後は、再度試験試料に供することはできないこと。摩砕試料中の本薬は経時的に分解が進むため、抽出直前にホモジナイズを行うこと。尿素体及びメタンイミドアミド体の試験溶液は安定であるが、作物によっては本薬の試験溶液は不安定であり、調整後は冷蔵庫に保存し、速やかに測定することが望ましいこと。
クロフェンテジン試験法については、抽出溶媒を除去後、残さを再溶解する際に、カラムに負荷する抽出溶液に5%以上のアセトンが入っていないと、クロフェンテジンが溶解せず回収率が悪くなること。測定波長を
240nm
付近とした場合、トリクラミドのピークと重なる場合があること。
酸化フェンブタスズ及びシヘキサチン試験法については、アセトニトリル/ヘキサン分配による脱脂操作でシヘキサチンの回収率が低いため、試料中に脂肪が多く残存する大豆等の試験を行う場合にだけ脱脂操作を行うこと。
キノメチオネート試験法については、硫黄化合物を大量に含む試料を測定する際には、カラム温度の昇温条件を調整した上で測定すること。
シアナジン試験法については、試験溶液注入口温度が高いとシアナジンが分解し、複数のピークを与えるため、試験溶液注入口温度を
180
エトキサゾール試験法については、抽出時のpHが4以上であれば酸による分解を受けず安定すること。
15 の農薬の成分である物質の検出限界及び試験法の見直しを行った農薬の成分である物質の検出限界を、それぞれ別紙1及び2に示すので、試験を行う際に留意すること。 第3 適用期日 平成13年4月1日から適用すること。
(別紙1)
新たに残留農薬基準値を設定した15の農薬の成分である物質の検出限界
農薬の成分である物質
|
検出限界濃度(ppm)
|
アシベンゾラルSメチル |
0.01 |
イマザモックスアンモニウム塩 |
0.01 |
エトキサゾール |
0.02 |
クレトジム |
0.01 |
シアナジン |
0.01 |
ジアフェンチウロン |
野菜,果実0.02 種実0.04 茶0.2 |
シプロジニル |
果実 0.002 その他の農産物 0.003 |
ターバシル |
0.01 |
デスメディファム |
0.01 |
テトラコナゾール |
0.02 |
ピメトロジン |
穀類,豆類0.01 果実,野菜0.005 |
フェンプロパトリン |
0.01 |
ブタクロール |
0.05 |
プロクロラズ |
0.01 |
ルフェヌロン |
茶 0.1 その他の農産物 0.02 |
(別紙2)
試験法の見直しを行った農薬の成分である物質の検出限界
農薬の成分である物質
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検出限界濃度(ppm)
|
イナベンフィド |
0.005 |
キノメチオネート |
0.01 |
クロフェンテジン |
0.02 |
酸化フェンブタスズ |
0.05 |
シヘキサチン |
0.02 |
メトリブジン |
0.01 |
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