食品、添加物等の規格基準の一部改正について
食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)の一部が平成11年11月22日厚生省告示第237号をもって改正され、その運用については平成11年11月22日付け生衛発第1661号をもって厚生省生括衛生局長より各都道府県知事、政令市市長及び特別区区長あて通知されたところであるが、さらに下記の点に留意の上、その取扱いに遺憾のないようにされたい。
記
第1 残留基準値の留意点1 新たに残留基準値を設定したエマメクチン安息香酸塩は、そのアミノ体、ホルミル体及びN-メチルホルミル体のそれぞれについて定量を行い、アミノ体、ホルミル体及びN-メチルホルミル体についてはその含量に係数を乗じてエマメクチン安息香酸塩の含量に換算し、これらの和を分析値とすること。 2 新たに残留基準値を設定したジメトモルフは、ジメトモルフ(E体)及びジメトモルフ(Z体)の和を分析値とすること。 第2 試験法1 改正の概要 新たにアジムスルフロン及びフラザスルフロン試験法等の試験法を追加するとともに、既存の試験法について次のとおり改正したこと。 (1)「2,4,5-T試験法」について、分析対象の農薬の成分である物質として2,4-Dを追加し、「2,4-D及び2,4,5-T試験法」に改正したこと。
(2)「アラクロール、イソプロカルブ、エスプロカルブ、ジエトフェンカルブ、チオベンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、フルトラニル、プレチラクロール、ペンディメタリン、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法」(以下「旧アラクロール等試験法」という。)について、分析対象の農薬の分である物質として、エスプロカルブ、チオベンカルブ及びペンディメタリンを削除し、並びにクレソキシムメチルを追加し、「アラクロール、イソプロカルブ、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、フルトラニル、プレチラクロール、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル及びレナシル試験法」に改正したこと。
(3)「クロルプロファム試験法」及び「ピリブチカルブ試験法」を削除し、旧アラクロール等試験法で分析対象の農薬として削除されたエスプロカルブ、チオベンカルブ及びペンディメタリン並びにクロルプロファム及びピリブチカルブ(窒素系5農薬)を分析する試験法として「エスプロカルブ、クロルプロファム、チオベンカルブ、ピリプチカルブ及びペンディメタリン試験法」を策定したこと。
(4)「カフェンストロール、ジフェノコナゾールシプロコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル及びプロピコナゾール試験法」について、分析対象の農薬の成分である物質として、チフルザミド、ヘキサコナゾール及びペンコナゾールを追加し、「カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、チフルザミド、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール及びペンコナゾール試験法」としたこと。
(5)「力プタホール、キャプタン、クロルベンジルト試験法」について、分析対象の農薬の成分である物質として、ホルペットを追加し、「カプタホール、キャプタン、クロルベンジルト及びホルペット試験法」とし、試験溶液の精製法を改めたこと。
(6)「クロルフェナピル試験法」について、分析対象の農薬の成分である物質として、ビフェノックスを追加し、「クロルフェナピル及びビフェノックス試験法」としたこと。
(7)「臭素試験法」について、穀類は灰化した後に滴定し、果実は水で抽出した抽出液を灰化した後に高速液体クロマトグラフで測定する方法であったが、灰化した後に2-ブロモ-3-ペンタノンで誘導体化して電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフで測定する方法に改めたこと。
(8)「ダミノジッド試験法」について、水で抽出し、抽出液をアルカリ分解蒸留してジメチルヒドラジンとして捕集し、発色試薬を加えて分光光度計で測定する方法であったが、同様の操作法で捕集したジメチルヒドラジンをo-ニトロベンズアルデヒドで誘導体化してガスクロマトグラフで測定する方法に改めたこと。
(9)「マレイン酸ヒドラジド試験法」について、ヒドラジン蒸留装置の保温材アスベストテープをグラスウールテープに改 めたこと。 2 分析上の注意事項(1)2,4-D及び2,4,5-T試験法2,4-D及び2,4,5-Tは塩基性で水溶性となるため、抽出時には酸性に保つ必要があること。また、ブチルエステル化の際には、酢酸エチルの除去を行うこと。 (2)カルプロパミド試験法試験溶液注入口温度が高いとカルプロパミドが分解し、複数のピークを与えるため、試験溶液注入口温度を200℃とすること。 (3)シクロキシジム試験法活性炭に吸着させる際には、イソプロパノールを完全に除去すること。また、メチル化は水を完全に除去して実施すること。 (4)シロスルファムロン試験法精製後のメタノール溶液については,速やかに定性試験及び定量試験に供すること。また、標準溶液(メタノール溶液)は用時調製すること。 (5)ジメトモルフ試験法ジメトモルフの標準品としては、E体及びZ体の混合物を使用すること。E体及びZ体それぞれのピーク面積(又はピーク高さ)の和を用いて検量線を作成してもよいこと。 (6)臭素試験法灰化に用いるルツボ及び電気炉からの臭素混入を防止すること。 3 検出限界 新たに残留農薬基準値を設定した20の農薬の成分である物質の検出限界及び試験法の見直しを行った農薬の成分である物質の検出限界を、それぞれ別紙1及び2に示すので、試験を行う際に留意すること。 第3 適用期日平成12年4月1日から適用すること。 |
(別紙1)
新たに残留農薬基準値を設定した20の農薬の成分である物質の検出限界
農薬の成分である物質
|
検出限界濃度(ppm)
|
2,4-D |
穀類 0.01 その他の農産物 0.005 |
アジムスルフロン |
0.01 |
ウニコナゾールP |
0.01 |
エマメクチン安息香酸塩 |
野菜 0.01 茶 0.05 |
力ルプロパミド |
0.1 |
キザロホップエチル |
果実,野菜 0.005 豆類 0.01 |
クレソキシムメチル |
0.01 |
シクロキシジム |
0.05 |
シクロスルファムロン |
0.01 |
ジフルフェニカン |
0.01 |
ジメトモルフ |
0.01 |
チルフザミド |
0.01 |
ビスピリバックナトリウム塩 |
0.01 |
ビフェノックス |
0.005 |
フラザスルフロン |
0.02 |
へキサコナゾール |
0.01 |
ペンコナゾール |
0.01 |
ペントキサゾン |
0.01 |
ホルペット |
0.01 |
モリネート |
0.02 |
(別紙2)
試験法の見直しを行った農薬の成分である物質の検出限界
農薬の成分である物質 |
検出限界濃度(ppm) |
エスプロカルブ |
0.01 |
クロルプロファム |
0.01 |
チオベンカルブ |
0.05 |
ピリブチカルブ |
0.01 |
ペンディメタリン |
0.01 |
臭素 |
1 |
ダミノジッド |
0.1 |