残留農薬分析用標準品の情報提供に関する指針について
残留農薬基準については、食品衛生法第7条第1項に基づき、食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)により、農作物及び農薬(代謝物等を含む。以下同じ。)ごとに基準値及びその試験法が定められているが、食品中に残留する農薬の試験成績の信頼性を確保する上で、残留農薬分析の際に使用される標準品の品質は適正なものである必要がある。
このような状況を踏まえ、今般、残留農薬分析用標準品の情報提供に関する指針を別添のとおり作成したので通知する。
残留農薬分析用標準品の製造業者若しくは輸入業者または販売業者への周知方よろしくお願いする。
(別添)
残留農薬分析用標準品の情報提供に関する指針
1 目的
本指針は、残留農薬分析用として市販される農薬が標準品として一定の品質を有することを総合的に担保する上で一般的に必要と考えられる情報提供の項目及びその方法を定め、残留農薬分析用標準品の適正な品質を確保することを目的とする。
2 標準品に関する情報
残留農薬分析用標準品の製造業者若しくは輸入業者または販売業者は、以下の項目に関するデータの有無を書面により商品とともに提供すること。また、購入者の求めに応じてそれらのデータを提供すること。なお、以下の項目は標準的なものであって、当該標準品の性質等に応じ、所要の項目を追加することが望まれる。
(1)名称(IS0名)
(2)構造式
光学活性または構造異性の区別を付けた構造式(日本薬局方に準ずる。)を記載すること。
(3)組成式
当該品が塩化合物または結晶水を含む化合物である場合は、それらが明らかとなるような表示法とすること。
(4)分子量
日本化学会の最新の原子量表に従って計算すること。算出に当たっては、小数点以下3桁目を四捨五入すること。
(5)CAS番号
構造式に対応した正確な番号を記載すること。
(6)規格
次のように記載すること。
本品は○○○(組成式)××%以上を含む。
(混合物の例)
本品は☆位のE一Z体の混合物(または光学異性体の混合物)であって、○○○(組成式)××%以上を含む。(注:構造式に☆印を付けること。)
(エトリムホス等の例)
本品は○○○(組成式)を××g/ml(またはg/g)含む○○○(溶媒名)溶液である。
(7)主成分の定性
性状を記載したうえ、次の各項目について記載すること。
性状:本品は常温で・・・・・・である。
項目
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データの有無
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測定条件
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当該物質 について
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当該ロット について
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融点測定 |
有
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有
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無 (理由*:)
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赤外吸収スペクトル分析 |
有
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有
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無 (理由*:)
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紫外・可視吸収 スペクトル分析 |
有
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有
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無 (理由*:)
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質量分析スペクトル分析 |
有
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有
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無 (理由*:)
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EI、CI、FABその他( ) |
核磁気共鳴 スペクトル分析 |
有
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有
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無 (理由*:)
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元素分析 |
有
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有
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無 (理由*:)
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炭素、水素、その他( ) |
旋光度 |
有
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有
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無 (理由*:)
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その他( ) |
有
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有
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*:定性を実施しなかった正当な理由がある場合には、その理由を記載すること。
(8)主成分の定量
次の各項目について記載すること。
項目
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当該ロットについて データの有無
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測定条件
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高速液体クロマトグラフィー |
有
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無
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カラム、移動相、検出器等の条件を記載すること。 |
ガスクロマトグラフィー |
有
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無
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カラム、検出器等の条件を記載すること。 |
薄層クロマトグラフィー |
有
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無
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プレート、展開溶媒、検出法等の条件を記載すること。 |
その他(滴定、NMR、GC/MS等) |
有
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無
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有測定条件を記載すること。 |
(9)安定性、異性体比及び不純物
安定性に関する情報(光、温度、pH) |
有
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無
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有の場合情報を記載すること。 |
異性体比に関する情報 |
有
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無
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有の場合情報を記載すること。 |
不純物に関する情報 |
有
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無
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有の場合情報を記載すること。 |
(10)その他
保存方法及び有効期限(未開封時におけるもの)があれば、当該情報も記載すること。
3 その他
本指針に基づく情報提供の実施については、1年後を目途に行うこととする。