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平成9年04月08日

 

 

(別添) 残留農薬迅速分析法

 

(別添)

残留農薬迅速分析法

1 分析法の概略

 本分析法の概略は下図に示すとおりである。すなわち、均一化した試料をアセトンで抽出し、ケイソウ土カラムによる固相抽出の後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で精製し、シリカゲルミニカラム、フロリジルミニカラム又は塩酸処理でさらに精製し、GC又はHPLCで測定する。



( ):試料相当量(野菜・果実の場合)

注)測定を妨害する物質を含む試料については、上記以外の各種ミニカラムによる精製を追加することができる。

図 迅速分析法の概略

          
        
2 試薬・試液

ヘキサン:告示の試薬・試液の項に定めるn-ヘキサン
アセトン、エ一テル、酢酸エチル:告示の試薬・試液の項に定めるもの
シクロヘキサン:シクロヘキサン300mlをすり合わせ減圧濃縮器を用いて濃縮し、シクロヘキサンを除去する。この残留物をn-ヘキサン5mlに溶かし、その5μlを電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフに注入して試験するとき、ガスクロマトグラム上のn‐ヘキサン以外のピークの高さは、2×I0‐llgのγ-BHCが示すピークの高さ以下でなければならない。
ケイソウ土カラム:試料液20m1を保持する性能を有するもの。既製の充填カラムまたはガラスカラムに適量のケイソウ土を充填したものを使用する。ガラスカラムにケイソウ土を充填した場合は、溶出液の流速が5ml/min以下になるように調整して使用する。
シリカゲルミニカラム:内径8~9mmのポリエチレン製のカラム管に、カラムクロマトグラフィー用のシリカゲル690mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。使用の直前にアセトン/ヘキサン(1:1)10m1でコンディショニングする。
フロリジルミニカラム:内径8~9mmのポリエチレン製のカラム管に、カラムクロマトグラフィー用のフロリジル910mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。使用の直前にエーテル/ヘキサン(3:17)10mlでコンディショニングする。
GPCカラム:GPC用の樹脂を充填したカラム(内径19~25mm、長さ350~500mm)を用いる。


3 試験溶液の調製
(1)抽出法

 穀類、豆類等の試料については、検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その10.0gを量り採り、水20mlを加え、2時間放置する。野菜、果実等の試料については、検体1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量って加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。抹茶については、検体5.0gを量り採り、水20mlを加え、2時間放置する。

 これにアセトン100mlを加え、3分間細砕した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物をアセトン50mlで洗い、洗液を吸引ろ過する。ろ液を減圧濃縮器中に合わせ、40゜以下で20m1以下に濃縮する。

 これに塩化ナトリウム6gを加えた後、ケイソウ土カラムに注入し、約10分間放置する。酢酸エチル150m1を用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い、洗液を上記のケイソウ土カラムに注入する。流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40゜以下で溶媒を除去する。この残留物に酢酸エチル/シクロヘキサンの混液(1:1)4~10mlを加えて溶かす。


(2)精製法

a GPCによる精製 上記の溶液の1/2量をGPCカラムに注入する。次いで、酢酸エチル/シクロヘキサンの混液(1:1)を注入し、2.5~5ml/minの流速で溶出して、農薬の流出画分をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40゜以下で溶媒を除去する。この残留物にアセトン/ヘキサン(1:1)を加えて溶かし、4mlとする(抽出液A)。

 抽出液Aの1mlを採り、溶媒を除去した後、残留物をメタノール1mlに溶解する。その0.3mlを採り、pH3の塩酸を加えて3mlとした後、孔径0.45μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、これをN一メチルカーバメイト農薬の試験溶液とする。残りのメタノール溶液をピリミカーブの試験溶液とする。b シリカゲルカラムによる精製 抽出液Aの2mlをシリカゲルミニカラムに注入した後、アセトン/ヘキサン(1:1)20mlを注入する。流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40゜以下で溶媒を除去する。この残留物にエーテル/ヘキサンの混液(3:17)を加えて溶かし4mlとする(抽出液B)。

 抽出液Bから下記(c)に使用する2mlを分取し、残りの抽出液の溶媒を除去した後、残留物にアセトンを加えて溶かし、2ml(穀類・豆類は1ml)として、これを有機リン系農薬及び窒素系農薬の試験溶液とする。c フロリジルカラムによる精製 抽出液Bの2mlをフロリジルミニカラムに注入した後、エーテル/ヘキサンの混液(3:17)18mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採る。次いでフロリジルミニカラムにアセトンヘキサンの混液(3:17)15m1を注入し、流出液を別のすり合わせ減圧濃縮器中に採り、各流出液を40°以下で濃縮し、溶媒を除去する。これらの残留物にへキサンを加えて溶かし、2m1(穀類・豆類は1ml)としてこれらを有機塩素系農薬及びピレスロイドの試験溶液とする。


4 試験
(1)定性及び定量試験

 有機塩素系農薬及びピレスロイドはGC・ECDを用いて定性及び定量を行う。有機リン系農薬はGC一FPDを用いて定性及び定量を行う。窒素系農薬はGC一NPD又はGC一FTDを用いて定性及び定量を行う。

 N-メチルカーバメイト農薬はポストカラム反応蛍光化法によるHPLC、ピリミカーブはHPLCを用いて定性及び定量を行う。


(2)確認試験

 GCによって農薬が検出された場合は、GC‐質量分析を行って確認することが望ましい。

        
(参考)

残留農薬迅速分析法のフローシート

試料20g

     

 │抽出 穀類・豆類は10gに水20ml添加、2時間放置
 │     
 │
アセトン100mlで1回抽出、吸引ろ過、アセトン50mlでろ紙上の残渣を洗う
抽出液

     

 │濃縮 20ml以下に濃縮した後、NaCl 6g添加
 │固相抽出
 │
ケイソウ土カラムに全量注入、10分間放置
酢酸エチル150m1で濃縮に使用した容器を洗い、その洗液をカラムに注入
流出液

     

 │濃縮
 │
溶媒除去、残留物を酢酸エチル/シクロヘキサン(1:1)4~10mlに溶解
 │GPC
 │
上記抽出液1/2量をGPCに注入、酢酸エチル/シクロヘキサン(1:1)で溶出
GPC流出液
(10g相当)

     

 │濃縮
 │
溶媒除去、アセトン/ヘキサン(1:1)4mlに溶解(抽出液A)
──1mlをとる(*)
 │シリカゲル精製
 │
シリカゲルミニカラムに抽出液A2mlを注入(5g相当)
アセトン/ヘキサン(1:1)20mlで溶出
シリカゲルカラム
流出液(5g相当)

     

 │濃縮 溶媒除去、残留物をエーテル/ヘキサン(3:17)4mlに溶解(抽出液B)
 │フロリジル精製
 │
 │
 │
フロリジルミニカラムに抽出液B2mlを注入(2.5g相当)
──残りの2ml(**)
エーテル/ヘキサン(3:17)18mlで溶出、次いでアセトン/ヘキサン(3:17)15mlで溶出
 │濃縮 各流出液の溶媒除去
 │      残留物をヘキサンに溶解し、2ml(穀類・豆類は1ml)とする
試験液     
GC-ECD測定(有機塩素系農薬、ピレスロイド)(2.5g→2ml)


(*)

抽出液A(1ml)  GPC精製後の抽出液
 │濃縮     溶媒除去、メタノール1mlに溶解
 ├───── HPLC測定(ピリミカーブ)(2.5g→1ml
 │精製     0.3mlに希塩酸を添加して3mlとし、フィルターろ過
試験液

  HPLC測定(N-メチルカーバメイト)(0.75g→3ml)
(**)

抽出液B(2ml)  シリカゲルミニカラム精製後の抽出液B
 │濃縮     溶媒除去、残留物をアセトンに溶解し、2ml(穀類・豆類は1ml)とする

試験液
  GC-FPD、NPD測定(有機リン系農薬、窒素系農薬)(2.5g→2ml)


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