通知

 

環第 690 号

昭和47年11月06日

都道府県知事

政令市市長

殿

厚生事務次官

 

 

食品衛生法の一部を改正する法律等の施行について

 
 
  近年、食品衛生の分野においては、農薬、微量重金属又は化学物質による食品の汚染、食品添加物の安全性、消費者保護の見地からする表示の適正化等、食品に関連する多くの問題が提起され、国民の重大関心事となっているところであり、これらに対処して、飲食に起因する危害の発生を防止するとともに、公衆衛生の向上及び増進に資することを目的として、食品衛生法の一部を改正する法律が6月30日法律第108号をもって公布され、8月29日から施行され、また、これに伴い、食品衛生法施行令の一部を改正する政令及び食品衛生法施行規則の一部を改正する省令が、それぞれ8月28日政令第323号、8月29日厚生省令第47号をもって公布され、8月29日から施行されたので、その運用にあたっては、次の事項に留意のうえ、食品衛生の向上に努められたく、命により通達する。
 

 
1 安全性に疑念のある食品等の規制に関する事項(1) 飲食に起因する危害の発生又は危害発生の拡大を防止するため、有毒な又は有害な物質が含まれ、又は附着している疑いのある食品又は添加物であって、人の健康をそこなうおそれのあるものも販売等を禁止した(食品衛生法(以下「法」という。)第4条第2号)ので、該当食品等の取締りの徹底を期すこと。
 
(2) 科学技術の進歩に伴い、新しい物が食品として開発され、実用化に向う段階にあるが、その安全性について疑念がもたれるものがあるので、これに対処するため、一般に飲食に供されることがなかった物であって、人の健康をそこなうおそれがない旨の確証がないもの又はこれを含む物が新たに食品として販売され、又は販売されることとなった場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があるときは、その物を食品として販売することを禁止することができることとしたこと。この禁止の措置は、厚生大臣が、食品衛生調査会の意見をきいて講ずるものである(法第4条の2)ので、該当事例がある場合には危害の発生を防止するための措置を講じるよう指導するとともに、当省に通報すること。2 営業者質任の強化に関する事項(1) 食品関係営業者の食品の安全確保に対する責任を明確にし、強化するため、営業の管理運営上講ずべき衛生上の措置に関し法的基準を設定することができることとし、営業の施設の内外の清潔保持、ねずみ、こん虫等の駆除その他公衆衛生上講ずべき措置に関する基準は、都道府県知事が定めることとした(法第19条の18第2項)ので、別途示す準則を参照するほか管内の営業の実態を考慮して適切な基準を設定するとともに、その基準の遵守につき監視指導を徹底すること。
 
(2) 冷凍食品等コンビニエンスフードといわれる加工食品が大量生産され、大規模に流通消費されるようになったことに伴い、流通過程における食品の安全確保が重要な問題になってきたことにかんがみ、今回、食品等を運搬することを業として行なう者を食品衛生法上の営業者として規制することとした(法第2条第7項)ので、運搬中の食品等の適正な衛生管理の指導に努めること。3 食品等の検査制度に関する事項(1) かんすい及びタール色素の製剤の製品検査は、都道府県知事又は厚生大臣が指定した者が行なうこととした(法第14条第1項及び食品衛生法施行令(以下「令」という。)第1条第1項)ので、その実施に遺憾のないようにすること。
 なお、かんすいについては、検査の単位とするロットを形成する最大の量を150キログラムから300キログラムに改めたこと(食品衛生法施行規則別表第6)。
 
(2) 道府県知事は、令第1条の2第1項に掲げる食品等で厚生大臣の定める規格に合わないもの等法第14条第2項第1号又は第3号から第6号までに掲げる食品等に該当するものが発見された場合は、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要な措置を講ずべき旨を通知した後において、その製造者又は加工者の検査の能力等からみてその者の製造し、又は加工する食品等が引き続き規格に合わない食品等に該当するおそれがあり、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、2月をこえない範囲内で状況に応じて期間を定め、その期間内にその者が製造し又は加工する食品等について製品検査を受けるべきことを検査命令書をもって命ずることができることとした(法第15条第1項及び令第1条の2)ので、これが有効適切な運用により、食品衛生の向上を図ること。
 また、検査を受けるべきことを命じた場合には、当該検査の結果の通知があるまでは販売等ができないものである(法第15条第3項)ので、その旨指導を徹底すること。
 
(3) かんすい及びタール色素の製剤の製品検査の手数料の額は、それぞれ1件につき2,000円及び10,000円と定めている(法第14条第3項及び令第1条第1項)が、検査命令による製品検査の手数料の額は、検査の項目ごとに3万円を限度として定めることとなっている(法第15条第5項及び令第1条の2第5項)ので、検査の実施に要する実費を考慮して適正な額を定めること。

(4) 輸入品については、生産地の事情を考慮して行なう製品検査(法第14条第2項等)及び検査命令による製品検査(法第15条第2項等)の制度を新たに設けたこと。

(5) 検査制度の円滑な運用を期すためには、検査体制の整備が不可欠であるので、食品衛生検査施設の拡充に配意すること。
 なお、検査体制の整備の一環として民間の公共的性格を有する試験検査機関を活用するため、新たに指定検査機関の制度を設けたこと(法第14条、第15条及び第19条の2から第19条の16まで)。4 表示制度の改善及び広告の規制に関する事項(1) 消費者保護の観点からの表示制度の改善の一環として掲示による表示及び添附文書による表示についても、必要な規制を行なうことができることとしたこと(改正前の法第2条第6項の削除)。
 
(2) 公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある表示等の規制については、虚偽の表示のほか誇大な表示の禁止を明文化するとともに、新たに、虚偽の又は誇大な広告を禁止した(法第12条)ので、その指導取締りに努めること。5 洗浄剤の規制に関する事項 野菜若しくは果実又は飲食器の洗浄の用に供する洗浄剤について、公衆衛生の見地から規制を行なうこととしたこと(法第29条第2項)。6 罰則に関する事項 指定検査機関制度の創設に伴う罰則の整備を行なった(法第30条の3及び第32条の2)ほか、罰金の額を引き上げたこと(法第30条、第30条の2、第31条及び第32条)。7 その他 今回の改正により、都道府県知事の権限に属するものとされた事務(法第14条、第15条及び第19条の18並びに令第1条及び第1条の2)は、指定都市にあっては、指定都市の市長が行なうものとすること(地方自治法施行令第174条の34)。      


公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

本部 大阪府豊中市三和町1丁目1番11号

TEL(06)6333-5680 FAX(06)6333-5491

お問い合わせはこちらへ

東京分室 東京都中央区日本橋本町4丁目6番3号 SEGビルアネックス2階

English Top