一覧へ戻る 環食第469 号 昭和47年09月09日 各 都道府県知事 政令市市長 環境衛生局 食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について 食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)の一部がそれぞれ昭和47年8月8日厚生省令第40号及び厚生省告示第257号をもって別添のとおり改正されたので、次の諸点に留意のうえ、その運用に遺憾のないようにされたい。 第1 改正の要旨1 省令関係 乳幼児が接触することにより健康をそこなうおそれのあるおもちゃについて次の改正が行なわれたこと。(1) 合成樹脂製おもちゃについてその種類を明確にしたこと。(2) 銅、鉛、亜鉛、アンチモンを原材料として使用した金属製おもちゃおよびゴム風船について、それぞれ金属製おもちゃおよびゴム製おもちゃに改めて範囲を拡げるとともに、合成樹脂製おもちゃに準じてそれらの種類を明確にしたこと。(3) 折り紙およびつみきを新たに追加したこと。(4) 現在使用されていない水写真および口に接触することを本質とする土製おもちゃの指定を削除したこと。2 告示関係(1) 食品についてア 食品を製造し、または加工する場合もしくは保存の目的で食品に放射線を照射してはならないものとされたこと。ただし、製造または加工の工程において製造または加工の管理のために放射性同位元素を使用し、その結果食品が放射線を受ける場合もあるので、その吸収線量が10ラド以下の場合に限り許されることとされたこと。 イ コップ販売式自動販売機に収められ、調理される清涼飲料のうち、復元性のない方法により密栓密封またはこれと同導の措置を施した運搬器具に充てんされ、そのままの状態でコップ販売式自動販売機に接続され販売されるものにあっては、10°以下または63°以上で保存することを要しないこととしたこと。 (2) 添加物の使用基準についてア 亜塩素酸ナトリウムをぶどうおよびももに使用することが新たに認められたこと。 イ 亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム(結晶)、亜硫酸ナトリウム(無水)、次亜硫酸ナトリウム、無水亜硫酸およびメタ重亜硫酸カリウムについて、これらをぶどう酒の製造に用いるぶとう果汁およびキャンデッドチェリーの製造に用いるさくらんぼに使用した場合の二酸化イオウの残存量の制限が廃止されたこと。 ウ クエン酸カルシウム、乳酸カルシウムおよびパントテン酸カルシウムの使用の目的に関する規定が削除されたこと。 エ グリセロリン酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウムを栄養の目的以外の目的で使用することが禁止されたこと。 オ ジブチルヒドロキシトルエンおよびブチルヒドロキシアニソールを油脂等に併用する場合、油脂、バター、魚介乾製品、魚介塩蔵品および乾燥うらごしいもにあってはその1kgにつき両者の合計量が0.2g以下、魚介冷凍品(生食用冷凍鮮魚介類および生食用冷凍かきを除く。)および鯨冷凍品(生食用冷凍鯨肉を除く。)にあっては浸せき液1kgにつき両者の合計量が1g以下でなければならないとされたこと。 カ ソルビン酸およびソルビン酸カリウムをほしすもも、乳酸菌飲料(殺菌したものを除く。)および乳酸菌飲料の原料に供するはっ酵乳に使用することが新たに認められるとともに、その使用量がソルビン酸としてほしすももにあってはその1kgにつき0.5g以下、乳酸菌飲料の原料に供するはっ酵乳および乳酸菌飲料にあってはその1kgにつき0.3g以下、乳酸菌飲料(乳酸菌飲料の原料に供するものを除く。)にあっては、その1kgにつき0.05g以下とされたこと。 キ デヒドロ酢酸およびデヒドロ酢酸ナトリウムを乳酸菌飲料の原料に供するはっ酵乳、および清涼飲料水に使用することが禁止され、また、バター、チーズ、マーガリンに対する使用量が1kgにつき1g以下を1kgにつき0.5g以下に改正されたこと。 (3) 器具について 復元性のない方法で密栓密封またはこれと同等の措置を施した運搬器具に収められた清涼飲料水が、そのままの状態でコップ販売式自動販売機に接続される構造の場合は、10°以下または63°以上に保つのに十分な能力の冷却または加熱の装置および温度自動調節装置を備えなくても差支えないこととされたこと。 (4) おもちゃについてア うつし絵、折り紙・塩化ビニル樹脂塗料、塩化ビニル重合体を主体とする材料およびポリエチレンを主体とする材料について重金属、ヒ素、蒸発残留物または過マンガン酸力リウム消費量に関する規格が定められたこと。 イ おもちゃの着色料に関する製造基準が定められたこと。3 施行期日 グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ジブチルヒドロキシトルエン、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびブチルヒドロキシアニソール並びにおもちゃに係る改正規定は昭和48年1月1日から、その他の改正規定は昭和47年8月8日から施行されること。 第2 運用上の注意 1 現在まで、また食品の加工に放射線を照射している施設はないが、貴管内における食品衛生監視に際しても、違反がないよう十分に監視を行なわれたい。なお、製造または加工の工程管理のための放射性同位元素の利用を行なっている食品工場は現在のところあまり多くはなく、全国で10数個所程度である。その例としてはウイスキー工場(ダース包装箱内のびん数のチェック。)、チューインガム工場(ガムの厚さをコントロールする。)、グルタミン酸ナトリウム工場(グルタミン酸ナトリウムの流量をチェックする。)、のようなものがあるが、いずれもコンベアの一側に小エネルギーの放射性同位元素を置き、他側に検出器をおいて通過する食品等の妨害によって検知するものである。一びんまたは一部分あたりの受けるエネルギーは極めて低く1ラドより遥かに低い線量である。 このような放射性同位元素の設置はすべて「放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律」によって科学技術庁長官の許可を受けなければならないものである。2 亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸系添加物については、今回ぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁およびキャンデッドチェリーの製造に用いるさくらんぼに対する二酸化イオウの残存量の規定が適用されないこととなったが、最終製品たるぶどう酒およびキャンデッドチェリーに係る二酸化イオウの残存量の規定は、従前のとおりであること。 3 廃止 4 おもちゃの規格中塩化ビニル重合体を主体とする材料とは、塩化ビニル重合体に可塑剤、安定剤、着色料等の添加剤を加えたものをいうものであること。ポリエチレンを主体とする材料についても同様である。 5 おもちゃには部品(乗物玩具の車輪、車軸、人形の装身具など)として食品衛生法施行規則第26条の4の第1項または第4項に掲げる材料以外の材料を用いている場合があるが、製造基準中の試験にあっては、第1項に掲げるおもちゃについては、紙、木、竹、ゴム、革、セルロイド、合成樹脂、金属または陶製の部分について、第4項に掲げるおもちゃについてはゴム、金属、または合成樹脂製の部分について試験を行なわれたいこと。 なお、部分として用いられている各種の材料の規格基準については今後原材料の面から検討を進めていく予定であること。 その他参考事項ア おもちゃについては今般規格基準を定めることとなったが、これに際して、従来乳幼児が接触することにより健康をそこなうおそれのあるおもちゃとして指定されていた品目について実情に即するよう再検討し、指定品目の拡大と範囲の明確化を行なうとともに、現在使用されなくなった品目の指定削除を行なったものであること。 イ 照射食品については、日本においても近く実用化される機運にあるが、これに先立って一般に食品に放射線を照射することを禁止したものであること。今後十分な研究により安全性が確認された場合は、その食品についての照射加工を認めていく方針であること。 ウ 亜塩素酸ナトリウムの使用が認められたぶどうおよびももは、これらを漂白した後、着色し、洋菓子なとに装飾的に用いるためのものであること。 エ キャンデッドチェリー用のさくらんぼの供給は現在のところそのほとんどを海外に依存しているが、この種さくらんぼは亜硫酸塩を添加した、いわゆるサルファードチェリーとして国際的に流通しており、従来のわが国の亜硫酸の規定量では輸送時における品質の保持が困難であるため、中間製品段階での亜硫酸の量的規制を廃止し、最終食品において規制することとしたものであること。また、ぶどう酒用のぶどう果汁についても国産品が不足しているため外国産果汁が輸入されているが、従来の二酸化イオウの残存規定量では輸送時において品質の劣化、特に褐変とアルコール醗酵が生じるので、本品についてもさくらんぼの場合と同様の措置がとられたものであること。 オ クエン酸カルシウム、パントテン酸カルシウムおよび乳酸カルシウムについては、現在栄養強化の目的のほか、これらが有する緩衝作用、保水作用あるいは呈味作用等を利用して各種の用途に使用されているところであり、また、これらの添加物はいずれも安全性が高くかつ食品の増量の目的で使用される可能性もないものと判断されるので、今回使用目的に関する制限を廃止したものであること。ただし、使用量に関する規定は従来どおりであること。 グリセロリン酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウムについては、現在栄養強化の目的でのみ使用されているので、実情に即するよう使用基準を改めたものであること。ただし、使用量に関する規定は従来どおりであること。 なお、炭酸カルシウムなどの無機カルシウム塩については、現在でも、なお食品の増量剤として使用されるおそれがあるので、今回の使用基準改正の対象とされなかったものであること。 カ ブチルヒドロキシトルエンおよびブチルヒドロキシアニソールは併用されることが多く、かつその場合には個々の規定量の限度まで使用しなくても効果は十分に得られるので、併用する場合であってもその合計量を従来ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールに認められている限度量以下とすることとしたものであること。 キ チーズ、バター、マーガリンに対するデヒドロ酢酸およびデヒドロ酢酸ナトリウムの使用限度がそれぞれ従来の2分の1に制限されたのは、製造技術の向上、低温貯蔵設備の整備等により品質保持がはかられ得ると判新されたためであること。 清涼飲料水については、現在デヒドロ酢酸およびデヒドロ酢酸ナトリウムはほとんど使用されておらず、使用の必要性が少ないと判断されたためその使用を認めないこととされたものであること。 乳酸菌飲料については、 今回新たにソルビン酸の使用が認められたが、乳酸菌飲料の異常醗酵はソルビン酸で抑制できることが判明したので、デヒドロ酢酸およびデヒドロ酢酸ナトリウムの使用は認めないこととされたものであること。(別添) 〔省略〕 一覧へ戻る