魚介類に含まれる水銀に関する安全確保についての審議結果
平成15年6月3日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会の審議結果が、厚生労働省より発表された。
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会
(平成15年6月3日開催)の検討結果概要等について
1.本日開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会において審議された、魚介類に含まれる水銀に関する安全確保についての審議結果は次のとおりである。
メチル水銀の毒性に関する資料、平成13、14年度厚生労働科学研究や各都道府県において実施された魚介類中の水銀濃度に関するデータ、平成14年度に水産庁が実施したマグロ類の水銀検査結果等に基づき審議された。
その結果、別添のとおり、水銀濃度が高いサメ、メカジキ、キンメダイ、クジラ類の一部(ツチクジラ、バンドウイルカ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ)を中心に、妊婦等を対象とした摂食に関する注意事項について取りまとめられた。
なお、妊婦等を除く方々にあっては、すべての魚種について、妊婦等にあっても上記の魚種を除き、現段階では水銀による健康への悪影響が一般に懸念されるようなデータはない。魚介類等は一般に人の健康に有益であり、本日の注意事項が魚介類等の摂食の減少につながらないように正確に理解されることを期待したい。
2.厚生労働省の対応 母子保健関係部局、水産庁及び各都道府県に対し、妊婦等への指導等、本注意事項の趣旨を周知いただくよう通知した。 また、厚生労働省ホームページに掲載するなど、情報提供に努めていくこととしている。正しい理解のための注意事項(厚生労働省の関連サイトへリンク)
(別添)
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
乳肉水産食品・毒性合同部会
多くの魚介類等が微量の水銀を含有しているが、一般に低レベルで人の健康に危害を及ぼすレベルではない。魚介類等は、良質なたんぱく質を多く含み、飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多く含まれ、また、微量栄養素の摂取源である等、重要な食材である。
しかし、一部の魚介類等では食物連鎖により蓄積することにより、人の健康、特に胎児に影響を及ぼす恐れがある高いレベルの水銀を含有している。
このため、妊娠している方又はその可能性のある方ついては、魚介類等の摂食について、次のことに注意することが望ましい。
これまで収集されたデータから、バンドウイルカについては、1回60~80gとして2ヶ月に1回以下、ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ及びサメ(筋肉)については、1回60~80gとして週に1回以下にすることが望ましい。
また、メカジキ、キンメダイについては、1回60~80gとして週に2回以下にすることが望ましい。
なお、妊娠している方等を除く方々はすべての魚種等について、妊娠している方等にあっても上記の魚種等を除き、現段階では水銀による健康への悪影響が一般に懸念されるようなデータはない。魚介類等は一般に人の健康に有益であり、本日の注意事項が魚介類等の摂食の減少につながらないように正確に理解されることを期待したい。
今後とも、魚介類等の中の水銀濃度及び摂取状況等を把握するとともに、胎児への影響に関する研究等を行い、その結果を踏まえ、今回の摂食に係る注意事項の内容を見直すものとする。