厚生労働省より、平成14年12月19日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会の審議結果概要が発表された。
発表本文
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
毒性・添加物合同部会の審議結果概要等について
平成14年12月19日に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会が開催され、食品添加物「コウジ酸」に関する基準の設定等について審議が行われた。審議結果の概要及び今後の予定は以下のとおりである。1.審議結果の概要(1) 食品添加物「コウジ酸」に関する基準の設定について
(ア) 既存添加物の安全性確認作業の一環として平成8年から実施されてきた「コウジ酸」の安全性試験の結果等に関する取纏めが報告され、報告内容に基づき審議が行われた。
(イ) その結果、
① マウス及びラットにおいて肝臓に対する発がん性が示唆され、その遺伝毒性を否定できないこと、
② 食品添加物としての「コウジ酸」は、意図的に添加するものであること、
③ 食品添加物としての「コウジ酸」は、国内外とも現在使用されておらず、食品添加物として使用する必要性は低いと考えられること、
などから、食品添加物としての「コウジ酸」については、今後とも使用しないよう食品衛生法第7条に基づく必要な基準を策定すべきとの結論となった。
(ウ) なお、麹菌を用いて製造される、みそ、しょう油等の食品については、
① 我が国の伝統食品として長い歴史を有するものであること、
② 食品中のコウジ酸は微生物、酵素等によって分解されると報告されていること、
③ 動物試験で腫瘍が見られた濃度に比べ、食品中の濃度はごく微量で限られたものであること、
④ みそにより、肝がんを含めがんの発生が抑制されるという動物試験結果があるなど、みそ、しょう油等のリスクは食品全体として評価する必要があること
などから、これらの食品については直ちに何らかの措置を講じる必要はないと考えられることとされた。
(2) 食品添加物「メチルヘスペリジン」の成分規格の改正の可否について
メチルヘスペリジンの成分規格について、別紙のとおり改正することは差し支えないこととされた。
2.今後の予定(1) 食品輸入円滑化推進会議における説明 (在京大使館及びEU代表部への説明)(2) パブリックコメント、WTO通報(3) 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・答申(4) 告示の改正別紙(省略)
参考
コウジ酸について
(審議会資料の抜粋)
コウジ酸(Kojic acid)は、味噌、しょう油等の製造に用いられる麹菌(Aspergillus属等)を培養して得られる抗菌作用を持った物質である。コウジ酸は、メラニン生合成関連酵素「チロシナーゼ」を阻害する作用により、力ニやエビなど甲穀類の黒変防止、抗菌作用等の用途で、甲穀類、生麺、鮫子の皮、加工用原料野菜等に添加物として使われていた実績がある。
コウジ酸は、平成7年の食品衛生法改正に伴う既存添加物として現在食品添加物としての使用が認められている。
なお、コウジ酸については、食品衛生法上の食品添加物としての使用基準が設定されておらず、対象食品等の制限は規定されていない。
注) 既存添加物とは、いわゆる天然添加物の使用を原則として禁止した平成7年の食品衛生法改正に伴い、改正時に使用されていた天然添加物を個別に列記し、特例的にその使用を認めたもの。