一覧へ戻る 平成13年08月23日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 毒性・器具容器包装合同部会の審議結果概要 - 資料2 本文へ戻る資料2フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)の毒性評価について 食品保健部基準課 フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)の毒性評価について、平成12年6月に開催された食品衛生調査会毒性・器具容器包装合同部会(以下「部会」という。)以降に得られた知見を主に概要をとりまとめたものである。 1 体内動態 (1) 吸収 皮膚吸収について、ラットにおいて皮膚からの吸収は遅く(Elsisi et al 1989, Melnick et al 1987)、皮膚適用7日後でも適用量の86%が適用部位に残っていた。 プラスチックフィルム中のDEHPの吸収は更に遅く、7日後でも約0.010%にすぎなかった(Deisinger et al 1998)。ヒトでの皮膚吸収試験結果は見あたらない。なお、in vitroでの結果ではヒト皮膚よりラット皮膚の方が吸収が早かった(Barber et al 1992, Scott et al 1985)。モルモット皮膚を用いた試験においても極めてわずかしか吸収されなかった(Ng et al 1992)。 消化管吸収について、吸収には大きな種差があるとされている。例えば、Ikedaら(1980)はDEHP (50mg/kg/day) をラット、イヌ及びミニブタに21-28日間投与し、最終日に14CでラベルしたDEHPを投与し、24日間の尿中に排泄された放射活性を測定したところ、それぞれ37%、20%、及び79%排泄であった。しかし、ラットやブタでの胆汁中排泄はないと推定されるが、それらの評価が十分ではないことから、これらの値をそのまま吸収率の差ととらえることはできない。 Williams and Blanchfield (1974)は2g/kg投与したラットにおいては90%以上が尿中に排泄されると報告している。Schulz and Rubin (1973)の報告においても投与量(250mg)の12.8%しか糞および腸内容物から回収できなかった。Arther D. Little Inc.(1983)の報告によれば、餌に混ぜたDEHP (1,000-12,000ppm)のほとんどが吸収された。Danish EPA(1996)は14C-DEHPを用いた尿中排泄試験での結果を評価し、経口投与したもののうち40-80%がラットの消化管から吸収されると記述している。一方、F344ラットとRD-1マウスではいずれも500mg/kgあるいはそれ以下ではDEHPのままでの吸収は認められないが、B6C2F1マウスでは用量に比例してDEHPの吸収が増えてくる(Albro et al 1982, 1986)。マーモセットにおける吸収はラットと比べて少なく、100-2000mg/kgで約45%と推定されている(Rhodes et al 1986)。また、一般に吸収率は投与用量が高くなると低下する。 DEHPの加水分解産物であるmono(2-ethylhexyl)phthalate (MEHP)および2-ethylhexanolを経口投与した場合、それらの約80%が吸収される。一方、phthalic acidを投与した時の尿中排泄量は投与量の24%と少ない(WHO 1992, Albro & Lavenhar 1989, Woodward et al 1988)。多くの場合DEHPは小腸内のリパーゼ(Lhuguenot and Cornu 1993)あるいは小腸組織内の加水分解酵素により加水分解され、MEHPおよび2-ethylhexanolとなった後に吸収されると考えられる。DEHPの加水分解酵素活性は膵液、消化管内容物、また消化管組織に存在している。消化管組織での活性はマウス>ラット>モルモット>ハムスターの順で高い(Albro and Thomas 1973)。また、消化管粘膜での活性はヒヒはラットと同程度、フェレットは低かった。例数は少ないがヒト消化管でもフェレットと同じかそれ以下の活性を有している(Lakeら 1977)。カニクイザルではラットやマウスと比較して消化管でのDEHPの分解活性は低い(Astill 1989)。従って、吸収に種差が生じた理由は腸内リパーゼ活性に差があることにより、DEHPの加水分解に差が生ずることによると考えられる。志願者に30mgのDEHPを経口投与したところ、24時間以内に投与したDEHPのうち約13% (11-15%)が代謝物として尿中に排泄された (Schmid and Schlatter 1985)。同じ志願者に10mgを4日間投与した場合も同様の結果が得られた。但し、彼らは糞中への排泄量は調べておらず、胆汁中排泄も想定されることから、吸収率はこれ以上であると推定される。この結果はヒトでのDEHPの消化管吸収はラットより少ないが、マーモセットと同じ程度であることを示唆している。 吸入においては、100mg/m3 のDEHPに曝露されたラットにおいて速やかに吸収された(General Moters 1982)。ヒト試験の結果はないが、PVCチューブで人工呼吸を受けた新生児や職業曝露者の尿中にDEHPが検出された(Dirven et al 1993, Liss et al 1985)。 (2) 分布 ラットでは主にMEHPとして分布しており、DEHPが肝臓中に検出されるのは大量投与(>0.5g/kg)された時のみである。DEHP経口投与後15分でMEHP血中濃度が最高に達する(Garberg et al 1989)。また、血中に存在するMEHPの多くは血漿蛋白と結合している(Garberg et al 1989)。 経口投与されたDEHPとその代謝物は全身に広く分布するが、その存在形態は多くの場合明らかにされていない(Fed. Register Notice 11/19/99)。ラットに14C-DEHP 2,000mg/kg/dayを経口投与後24時間において肝臓に205μg/g、腎臓に105μg/g、精巣に40μg/g及び血中に60μg/gのDEHP当量が存在していた。マーモセット でも同様の分布を示したが、存在量はラットの1/5から1/10であった(Rhodes et al 1986)。14C-DEHPを吸入したラットでは肺、肝、および腎に多く分布していた(General Moters 1982)。 臓器や組織中への有意な蓄積性はいずれの種においても認められていない。また、ラットに14C-DEHP 2,000mg/kg/day経口投与4日後の組織中に残留したものは0.1%以下であった(Lake et al 1975)。Woodward ら(1986)及びWoodward (1988)は1000ppmのDEHP (14C-carbonyl)を餌に混ぜてラットに反復投与したところ5週間後には肝及び脂肪中濃度が定常状態に達しており、それぞれの組織中濃度は35-50ppm及び 4-9ppmであった。一方、投与を停止すると3週間後には肝臓中には検出できなくなったが、脂肪組織中には3ppmの濃度で残っていた。DEHP及びそのモノエステル体代謝物は胎盤を通過する。また、母乳中へも移行する(Fed. Register Notice 11/19/99)。 (3) 代謝(図1参照) 先に述べたように、DEHPの代謝の最初の段階は主に腸内での加水分解によるMEHPと2-ethylhexanol(2-EH)の生成である。その後の代謝過程は複雑であり、経口投与された後にo-phthalate部分を保持する代謝物として約20種が尿中から検出された。2-EH由来の代謝物も少なくとも7種同定された。なお、芳香環が代謝を受けたものや、DEHPの側鎖がそのまま酸化を受けた代謝物は検出されなかった(Albro et al 1983, Arbro 1986)。 DEHPはMEHPへと加水分解された後、NADPH依存性の酸化酵素によるC-8側鎖のω-、ω-1あるいはω-2酸化反応により様々な位置に水酸基が導入される(Albro 1986)。この活性はラットでは肝及び腎皮質で高い。水酸化代謝物は更に酸化されケトン体やカルボキシ体へと代謝される。カルボキシ体は更にα及びβ酸化を受け側鎖が短縮する。多くの動物種において、MEHPの酸化代謝物はグルクロン酸抱合を受け排泄される(Albro 1986, Albro and Lavenhar 1989)。なお、高用量(500mg/kg)のDEHPあるいは MEHPを反復投与するとω-酸化代謝物が増加し、ω-1酸化代謝物が低下する(Astill 1989, Lhuguenot et al 1985)。代謝過程にも種差が認められる。ラットでは代謝物I及びVが主代謝物として尿中に排泄された(Albro 1986)。ラット及びモルモットではω酸化代謝が多いが、マウスやハムスター、ミドリザル、カニクイザル、及びマーモセットではω酸化は相対的に少ない(WHO 1992)。ハムスターはV, VI, IX代謝物が多く生成するが、ω-1酸化代謝物であるVI及びIXだけがグルクロン酸抱合体となる。ミドリザルやマーモセットでは主にMEHPとIXに代謝される(Lhuguenot & Cornu 1993)。なお、ラット肝細胞においてある種のω-1代謝物がペルオキシゾーム増殖作用を示した(Mitchell et al 1985)。 ヒトではω-及びω-1酸化がエチル側鎖の酸化とともに進行するが、ω-酸化は少ない。ヒトでもサルと類似した代謝経路で尿中に排泄される (Lhuguenot and Cornu 1993)。なお、グルクロン酸抱合体の尿中排泄はラットでは認められず、ハムスターでは少なく(15%),マウスやモルモットでは比較的多く(60-65%)、ヒトを含む霊長類では高い(65-80%)(Huber et al 1996)。 (4) 排泄(表1) 経口投与されたDEHPは速やかに尿および糞中に排泄されるが、尿中からはDEHPはいずれの種でも検出されていない(Fed. Register Notice 11/19/99)。 ラットに14C-DEHPを経口投与した結果では投与後5-7日の内に投与量の約80%が糞あるいは尿中に排泄された(Tanaka et al 1975)。排泄量は尿中の方が若干多かった。なお、胆汁中に排泄されたものは投与量の約5%であった。また、ラットでは経口投与量の最高60%が24時間以内に尿中に排泄され、引き続く7日間の間に更に1-15%が排泄される。残りは糞中に排泄される。反復投与すると尿中排泄の割合が90-97%に増加した。なお、ラットでの尿中排泄量は投与量に依存して多くなり、85mg/kgでは53%、500mgでは64%、1000mg/kgでは67%が尿中に排泄される。このとき糞中には36、28、26%が排泄される(Rhodes et al 1986)。ウサギでは最高65%が尿中に排泄された。イヌでは糞中排泄が多く(56-75%)、尿中排泄量は2-21%であった。 マーモセットでも多くは(50-82%)糞中に排泄され、尿中排泄量は4-30%と少なかった(WHO 1992、ATSDR 1993、Garberg et al 1989、Woodward 1988, Woodward et al 1986)。2000mg/kg/day 14日間投与されたマーモセットでは24時間以内に雄では投与量の62%、雌では76%が排泄された。この場合殆どが糞中排泄であり尿中排泄は1%にすぎなかった。また、糞中では98%がDEHPの形であり、DEHPが加水分解されないことから、あまり吸収されないものと思われた(Rhodes et al, 1986, ICI 1982, Shell 1982)。なお、マーモセットに100mg/kgを静注した場合でも投与量の18%が糞中に排泄された(Rhodes et al 1986)。カニクイザルに100mg/kg或いは500mg/kgを投与した場合においても24時間以内に排泄され、96時間後でも残留した量は0.2%にすぎなかった。尿中排泄量は20-55%、高用量では4-13%であった。糞中排泄量はそれぞれ49-39%、69-56%であった(David et al 2000, Monsanto 1988)。ラットでは多くがMEHPの酸化体として尿中排泄され、抱合代謝物としては検出されなかったが、マウス、ハムスター、モルモット、フェレット、ミドリザル、及びマーモセットでは多くがグルクロン酸抱合体として尿中排泄された。MEHPとして尿中に排泄されたものはラットでは極微量であり、ハムスターでは4.5%と少ないが、マウスやミドリザルでは17-18%、モルモットでは72%を占めていた(WHO 1992, ATSDR 1993, Garberg et al 1989, Woodward et al 1986)。DEHP (9.75g/kg)を雄ラットに経口投与したときの消失半減期は血液では18.6時間、肝臓では28.4時間、脂肪組織では156時間であった(Oishi and Hiraga 1982)。また、14C-DEHP (2.8g/kg)を雄ラットに経口投与したときの尿中排泄物の半減期は7.9 時間であった(Teirlynck and Belpaire 1985)。糞中排泄の半減期は22時間、尿中排泄の半減期は10及び22時間であった。志願者に30mgを経口投与した結果では11-15%が投与後2-3日の内にMEHP (代謝物の約35%)あるいは多くがグルクロン酸抱合を受けた酸化体として、尿中に検出された(Schmid and Schlatter 1985)。一方、213mgのDEHPを単回投与した他の研究では尿中代謝物の99%がグルクロン酸抱合体であった。DEHPの血中半減期はヒトで28分と報告されている(Rubin and Schiffer 1976)。また、Lewis ら(1978)は血清中DEHPの50%が32分で消失すると報告した。DEHPを18-38 mg/dL含む血小板濃縮液を投与された患者の血漿中レベルは0.34-0.83mg/dLであり、24時間以内の排泄の60-90%が尿中に認められた。また、95-174mgのDEHPを注入された癌患者では尿中代謝物の約80%がグルクロニドであった(Peck and Albro 1982)。なお、新生児では3ヶ月令までグルクロン酸抱合活性が成熟しない(Cresteil 1998)ことに留意する必要がある。 (5) その他 食餌中2%のDEHPで10日間処理したラット精巣の可溶性分画のglutathione transferase, phenol sulfotrasferase、catalase, quinone oxide reductase活性を有意に低下させた。また、ミトコンドリア分画におけるquinone oxide reductase活性を50%低下させた。 2 精巣毒性 (1) フタル酸エステル類の精巣毒性発現の構造依存性 一般にフタル酸エステル類の精巣毒性は特に幼若ラットで強く発現することから、ラットの4-6週齡から投与を開始した研究結果を表2(一部2世代試験を含む)にまとめた。 体系的な研究としては2つあり、Fosterら(1980)は同モル等量(1,400~2,800 mg/kg/day)の直鎖(C1~C8)フタル酸エステル類をSD雄ラットに4日間強制経口投与し、C4~6であるDBP、DPPおよびDHP投与群で精巣重量の減少、激しい精細管萎縮、精原細胞及び精子細胞の欠落等を報告した。また、Gray と Butterworth (1980)は2,800mg/kg/dayでC1~C8の直鎖型フタル酸エステル及びDEHPをWistar雄ラットに10日間強制経口投与の実験を行い、ほぼ同様の結果を得ている。 精巣毒性はDIBPからDHpPまでのフタル酸エステル類に認められているものの、その毒性強度は直鎖型のC4~C6で強く発現している。ただし、明確な無毒性量が求められているのはDEHPだけである。DEHPの構造については、2位の炭素側鎖が回転することによって、C4とC6の両方の直鎖型側鎖を有することになる。また、BBPは加水分解によってmonobenzyl phthalateとmono-n-butyl phthalate (C4)とを生じるが、前者は精巣毒性を示さず、後者はDBPの活性代謝物と同一である。 (2) DEHPの精巣毒性の発現機構について フタル酸エステル類はモノエステル体に加水分解された後吸収されると考えられているため、この分野の研究はDEHPのモノエステル体であるmono(2-ethylhexyl) phthalate (MEHP)を用いて行われている。 FSHはセルトリ細胞の膜受容体に結合し、G蛋白を介してadenylate cyclaseを活性化させ、cAMPを産生させることにより生理作用を発現すると考えられている。Heindel & Chapin (1989)は、ラットの培養セルトリ細胞において、MEHPがFSH刺激によるcAMPの蓄積を用量依存的に抑制したことから、MEHPの作用点は細胞膜またはFSH受容体そのものであると予測した。Grassoら(1993)は、同セルトリ細胞をMEHPとインキュベーションしたところ、FSH結合性の低下が認められたが、MEHPとFSHの同時存在下ではFSH結合性の低下は認められなかったことから、MEHPの作用部位はFSH受容体よりむしろG蛋白であろうと推定している。しかし、その後、フタル酸エステル類のFSH-cAMP経路への作用に関する研究報告はない。 一方、フタル酸エステル類は精子形成阻害を引き起こすが、その作用機構の1つとしてセルトリ細胞からの原生殖細胞(genocytes)の遊離とその結果生じる原生殖細胞のアポトーシス誘導が考えられている。精巣では常にアポトーシスによる原生殖細胞の自発的な削除が行なわれており、この原生殖細胞のアポトーシスには、Fasシステムが重要な役割を果たしていると考えられている(Nagata & Golstein 1995, Nagata 1997)。Fasシステムとは原生殖細胞に存在する膜レセプター蛋白であるFas、セルトリ細胞に存在するそのリガンド(FasL)からなるパラクラインシグナリングシステムで、FasLのFasへの結合により、原生殖細胞のアポトーシスが引き起こされる(図2)。Richburg & Boekelheide (1996)は28日齢のラットにMEHPを単回経口投与し、3、6、12時間後にセルトリ細胞および原生殖細胞への影響を解析した結果、原生殖細胞のアポトーシスが3時間後には一過性に低下したものの、6時間以後には著しく増加した。また、投与後3時間の時点からセルトリ細胞内で原生殖細胞の結合維持に重要な役割を果たしていると考えられているビメチンフィラメントの崩壊が観察された。 また、Leeら(1999)はMEHPのFasシステムへの影響を解析し、10週齡ラットの投与6時間後に精巣内Fas mRNAおよびFasL mRNAの増加を示した。さらに、Richburgら(1999)はMEHPを投与した21日齢のラットの精巣において、セルトリ細胞膜上に発現したFasLが可溶型(sFasL)となって遊離すること、及び原生殖細胞細胞膜分画のFasが増加することを報告している。これらの結果に基づいて、Richburgら(1999)はMEHPの作用機構について図-Bに示したような仮説を立てた。すなわち、MEHPはセルトリ細胞のビメチンフィラメントを崩壊させることにより、原生殖細胞をセルトリ細胞から分離させ、Fasシグナル伝達経路を崩壊させる。その後、sFasLの形成および原生殖細胞膜でFas発現が増加し、sFasLがFasに結合することによって原生殖細胞のアポトーシスが起こるという考え方である。 しかしながら、精細管への影響について推測されるこれら二つのメカニズムの関連性については検討されていない。 DEHPは新生児期のラットセルトリ細胞に対して影響を及ぼす。Dostalら(1988)は6日齡のSDラットにDEHPを500 mg/kg/day以上で5日間経口投与し、精巣重量の低下を伴ったセルトリ細胞数の減少を認めたが、200 mg/kg/dayでは影響は見られなかった。セルトリ細胞は生後10-14日までに細胞分裂を終了するため、Liら (1998)は2日齢のSDラットの精巣から調製したセルトリ細胞及び原生殖細胞の共培養系を用いてMEHPの作用を検討した。MEHPは用量依存的なセルトリ細胞からの原生殖細胞の分離を引き起こすと共に、セルトリ細胞の増殖を抑制した。また、MEHPはFSH刺激によるセルトリ細胞の増殖を抑制したが、MEHPのセルトリ細胞の増殖抑制に対するcAMPの添加効果は認められなかった。これらのことから、新生児期にラットがMEHPに暴露されるとセルトリ細胞数の減少を招き、その結果成熟期での精子形成減少の生じることが推定される。さらに、Liら (2000)は3日齢のSDラットにDEHPを経口投与し、24時間後の観察で肥大した多核原生殖細胞が100 mg/kg以上の投与で見られたことを報告した。 (3) DEHPの精巣毒性評価 DEHPのラットでの精巣毒性については、37.6 mg/kg/dayでセルトリ細胞の空胞化が認められたため、無毒性量は3.7 mg/kg/dayとされている(Poon et al 1997)。その後、104週間混餌投与発がん性試験結果が報告され、投与終了時の精子形成欠損動物数比(%)がそれぞれ58 (0 mg/kg/day)、64 (5.8)、78 (28.9)、74 (146.6)及び97 (789.0)で、28.9 mg/kg群以上で有意差が認められたことから無毒性量は5.8 mg/kg/dayが適切と判断される(David et al 2000)。また、Liら (2000)は3日齢のSDラットにDEHPを経口投与し、肥大した多核原生殖細胞が100 mg/kg以上の投与で見られたが、20 mg/kgの投与では見られないことを報告した。この結果は、新生児ラットにおけるDEHPの精巣毒性感受性は若齢ラットと同程度であるを示唆している。 一方、Pughら(2000)は2歳未満の若いカニクイザルにDEHPを500 mg/kg/dayで14日間投与しても精巣に変化の見られないことを報告している。また、マーモセットにおいても精巣毒性が発現していないことから、ヒトにおいて精巣毒性が出る懸念は低いと考えられる。 しかし、サルで精巣毒性の発現しないメカニズムが充分解明されていないことから、現時点ではDEHPのTDIの根拠として無毒性量 3.7 mg/kg/dayを用いることもまた適切であると考えられる(小泉ら 2001)。 3 生殖・発生毒性 CD-1マウスを用いて行った二つの生殖発生毒性試験に関する論文(Lamb et al 1987, Tyl et al 1988)においてはラットに比べて低い投与量域での生殖発生毒性が示され、明確なLOAEL及びNOAELが記載されている。Lambら (1987)は雌雄のCD-1マウスに0.01, 0.1または0.3%のDEHPを含む飼料を与えながら交配実験を行ったところ、0.1%投与群で出産回数、母体当たりの出産生児数及び生児出産率の低下を認めたことから、LOAELは144 mg/kg/day (0.1 %)、NOAELは14 mg/kg/day (0.01%)としている。また、Tyl et al. (1988)は、CD-1マウスの妊娠0-17日に0.025, 0.05, 0.1または0.15%のDEHPを含む飼料を与えたとき、0.1% (191 mg/kg/day )以上の投与量で胚死亡の増加がみられ、0.05% (91 mg/kg/day )以上の投与量で形態異常胎児の増加が認められことから、LOAELは91 mg/kg/day (0.05%), NOAELは44 mg/kg/day (0.025%)としている。 以上の結果、生殖発生毒性のNOAELは14 mg/kg/dayが適切であると考えられる。 4 結論 DEHPのTDIは、精巣毒性試験及び生殖発生毒性試験における無毒性量3.7~14 mg/kg/dayを踏まえ、安全係数として100をとり、40~140 μg/kg/dayとする。 引用文献 1 体内動態 Albro PW, Tondeur I, Marbury D, Jordan S, Schroeder J, Corbett JT.(1983) Polar metabolites of di-(2-ethylhexyl)phthalate in the rat. BBA 760, 283-292 Albro PW (1986) Absorption, metabolism, and excretion of di(2-ethylhexyl) phthalate by rats and mice.Environ. Health Persp. 65, 293-298. Albro PW. and Lavenhar SR. (1989) Metabolism of di(2-ethylhexyl) phthalate. Drug Metab. Rev. 21, 13-34. Albro PW, Corbett JT, Schroeder JL, Jordan S, Matthews HB. (1982) Pharmacokinetics, interactions with macromolecules and species differences in metabolism of DEHP. Envrion. Health Persp., 4, 19-25. Albro PW. and Thomas RO. 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