日時:平成8年12月3日(火) 14:00~17:00
場所:通産省別館833会議室
出席者:五十嵐脩、江崎考三郎、黒川雄二、近藤雅臣、鈴木久乃、高仲正、戸部満寿夫(毒性部会長、座長)、中澤裕之、成田弘子、林祐造、福島昭治、三森国敏、山崎幹夫(添加物部会長)、各委員(敬称略)
:祖父尼俊雄、山田隆各臨時委員(敬称略)
厚生省:小野生活衛生局長、黒川食品化学課長、他課長補佐以下5名
(議題)
1.キシリトールの新規指定について
2.亜硫酸ナトリウム等の使用基準改正について
3.ジフェニル及び酢酸ビニルについて
(議事要旨)
1.審議概要
平成8年6月18日に厚生大臣から食品衛生調査会に諮問され、同日、同部会へ付議されたキシリトールの食品添加物としての指定及び平成8年11月28日に厚生大臣から同調査会に諮問され、同日、同部会へ付議された亜硫酸ナトリウム等6品目の食品添加物の使用基準改正について、審議が行われた。
キシリトールの食品添加物としての指定については、分科会における安全性評価結果、規格案等について、分科会座長及び事務局から説明があり、審議が行われた結果、分科会報告を一部訂正の上、合同部会報告とすることとされた。
また、亜硫酸等の食品添加物の使用基準改正については、事務局から説明があり、審議が行われた結果、改正案のとおり使用基準を改正して差し支えないこととされた。
さらに、平成8年11月に公表されたジフェニル及び酢酸ビニルに係るがん原性試験の結果を踏まえ、食品添加物として使用されるジフェニル及び酢酸ビニル樹脂の安全性について審議された結果、現段階では特段の規制上の措置を講ずる必要はないが、念のため、代謝について調査することが望ましいものとされた。
2.主要な意見等
議題1.キシリトールの新規指定について
(委員) 今年のJECFAでキシリトールが議題とされているが、新たなデータが出てきたためか?
(事務局)キシリトールに限定されたものではなく、ポリオール全般について議論されたものであって、キシリトールに焦点を絞ったデータが提出されているとの情報はない。
(座長) 今回は無毒性量を算出していないが、仮に、無毒性量を設定するとした場合、どうなるのか?
(事務局)分科会で無毒性量は設定されていないが、その代わりに各試験毎の最高投与量における摂取量が記載されている。
(委員) 規格中の定量法に関して、ガスクロマトグラフィー法が提案されているが、液体クロマトグラフィー法を利用した方が誘導体化をしなくても測定できるので、簡便ではないか。
(委員) 純度試験で、その他の糖アルコールについて限度値を規定しているが、糖アルコールを分離させるのに液体クロマトグラフィー法よりガスクロマトグラフィー法の方が適当であったため、試験の重複を避ける観点から、定量法でもガスクロマトグラフィー法を用いている。
議題2.亜硫酸ナトリウム等の使用基準改正について
①亜硫酸塩類について
(委員) わが国では、ディジョンマスタードの摂取量はどのくらいか?
(事務局)販売量から推測すると、(ディジョンマスタードを含む)フレンチマスタードの摂取量は、年間一人当たり約12gという報告を受けている。
(委員) 表示はされるのか。
(事務局)表示義務の対象である。
②炭酸カルシウムについて
(委員) カルシウムとしての使用量が2%の時は、理論最大摂取量が0.02mgなのに、使用量が10%の時は3.5mgになっている。使用量は5倍なのに摂取量がこれを大きく上回って増加しているのはどういう理由か。
(事務局)ガムは飲み込むものではないので、摂取量の推計データは、一定時間で噛んだときのチューインガムから溶出するカルシウム量をベースに計算しているので、一概に使用量が5倍になったからといって、必ずしも比例関係は成り立っていない。
議題3.ジフェニル及び酢酸ビニル樹脂について
①ジフェニルについて
(委員) ラットの膀胱がんは、ジフェニル又はその代謝産物自体によるものではなく、ジフェニルによって発生した結石によるものであると考えられる。今回のラットの雄で、多くの例に膀胱結石が認められており、腫瘍を生じたものがすべて結石を持っているか否か調べる必要はあると思われるが、おそらく結石を持っているものと考えられる。雌で認められないのは、おそらく結石のサイズや数量の差によるもので、結石によって腫瘍が生ずるRNA構成成分のウラシルでも同様である。
(委員) マウスの性差についてはどう考えればよいのか?。
(委員) データを見ると、雄では肝障害が起きていないのに対し、雌ではGOT、GTPが上昇している。
(委員) これは代謝の違いによるものではないかと考えられる。
(委員) ラットの膀胱がんについても、マウスの肝腫瘍についても、非常に高濃度で起こる現象である。ラットの膀胱がんについては結石による二次的な刺激によるものであると考えられる。マウスの肝腫瘍についても、肝障害による閾値が採れるタイプのものであると言える。
(座長) 結論としては、現段階において、添加物規制の見直しを行う必要はないが、念のため、代謝、細胞増殖、変異原性について検討することが望ましい。
②酢酸ビニル樹脂について
(座長) 酢酸ビニル樹脂は、チューインガムの基材として用いられているものであり、ポリマーであるが、資料ではモノマーについて腫瘍性が指摘されているものである。
(事務局)メーカーからのデータによると、酢酸ビニル樹脂をガスクロマトグラフィーで測定し、5ppmの検出限界で検出されなかったという結果が得られている。