第11回研究成果報告書(2005年)
[研究成果報告書 索引]
Abs.No.
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研究テーマ
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研究者
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11-01 |
pH応答性染料のカプセル化と食品腐敗・変質感知システムへの応用 |
田中 眞人 新潟大学工学部化学システム工学科 |
11-02 |
クルクミンによるDNA合成酵素阻害メカニズムの解析と抗癌・抗炎症・抗酸化活性との相関性の考察 |
水品 善之 神戸学院大学栄養学部食品栄養学研究室 |
11-03 |
c-Ha-ras トランスジェニックラットを用いた短期口腔発がんモデルの開発と発がん予防物質の検索 |
田中 卓二 金沢医科大学医学部 |
11-04 |
食品添加物の薬物代謝第Ⅱ相酵素への反応性評価に関する研究 |
水谷 隆治 名古屋市立大学大学院薬学研究科 |
11-05 |
小豆種皮に含まれるポリフェノール成分に関する食品化学的研究 |
吉田 久美 名古屋大学大学院情報科学研究科 |
11-06 |
DNAマイクロアレイの活用によるアントシアニンの生理機能の解析と安全性の再評価 |
津田 孝範 同志社大学 研究開発推進機構 |
11-07 |
フーリエ変換質量分析装置(FT-ICR MS)による生物由来試料の超高感度・迅速測定法の開発とその食品添加物評価への適用 |
竹中 重雄 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 |
11-08 |
高アントシアニン含量を指向したアカダイコンの育種に関する研究 |
辻 耕治 大阪大学大学院薬学研究科 |
11-09 |
フラボノール類の化学修飾及びオリゴ糖化による有用な食品添加物の開発 |
千葉 拓 名古屋市立大学大学院薬学研究科 |
11-10 |
茶カテキン-大豆タンパク質複合体がラットの脂質代謝に及ぼす効果 |
西川 和孝 鳴門教育大学学校教育学部生活・健康系 石丸 幹二 佐賀大学農学部 |
11-11 |
食品添加物と腸内細菌との関わりから見た安全性評価 |
伊藤 徳夫 大阪大学大学院薬学研究科 |
11-12 |
天然食品添加物原料植物のDNAプロファイリングによる鑑別・同定法の開発 |
水上 元 名古屋市立大学大学院薬学研究科 |
11-13 |
海藻からの新規殺菌性褐変防止物質の開発 |
梶原 忠彦 山口大学農学部 |
11-14 |
食品添加物の核内受容体活性化を介した生活習慣病予防効果の機能評価 |
佐藤 隆一郎 東京大学大学院農学生命科学研究科・応用生命化学専攻・食品生化学研究室 |
11-15 |
研究課題「血管内皮機能を指標とした食品添加物の安全性評価法開発の試み」 |
岡本 博、屋山 勝俊 神戸学院大学薬学部薬理学講座 |
11-16 |
成分育種による高機能保持植物作出に関する研究 |
下村 講一郎 東洋大学 生命科学部 |
11-17 |
生活習慣病発症予防を標的とした、抗糖化・抗酸化・抗動脈硬化作用評価システムの開発 -酵素処理イソクエルシトリンの抗動脈硬化作用- |
西沢 良記 大阪市立大学大学院医学研究科 |
11-18 |
ALS系マウスの糖尿病病態に及ぼすビートレッドの影響 |
佐藤 勝紀、山下 摂 岡山大学大学院・自然科学研究科(農学部) |
11-19 |
食品・医薬品に共用される添加物の安全性評価に関する研究 |
手島 邦和 昭和大学保健医療学部 |
11-20 |
「食品加工された遺伝子組換え食品からの検知法の開発」 |
小関 良宏 東京農工大学工学部 |
11-21 |
ポリアニオン性多糖類による甘味タンパク質ソーマチンの熱安定性とその分子機構 |
松冨 直利 山口大学農学部 |
11-22 |
香辛料のカプサイシン受容体TRPV1を介する消化器および呼吸器への影響 |
堀江 俊治 城西国際大学薬学部 |
11-23 |
コーヒーの香気成分であるカフェオフラン及びその類縁体の短段階新規合成法の開発と食品添加物としての機能研究 |
勝村 成雄 関西学院大学理工学部化学科 |
11-24 |
亜臨界水による肉骨粉の無害化と資源化 |
吉田 弘之 大阪府立大学大学院工学研究科 |
11-25 |
「かんすい及び豆腐凝固剤の調理加工時における挙動」 |
西島 基弘 実践女子大学 |
11-26 |
既存添加物・不溶性鉱物性物質の安全性評価のための基礎的研究 |
中澤 裕之 星薬科大学 |
11-27 |
既存添加物の安全性評価のための基礎的調査研究 |
義平 邦利 東亜大学 |
11-01
pH応答性染料のカプセル化と食品腐敗・変質感知システムへの応用
新潟大学工学部 化学システム工学科 田中 眞人
本研究では、pH応答性染料をマイクロカプセル化し、食品の変質感知システムへの応用を試みた。
すなわち、水溶液のpH変化に応じて変色する染料を、親水性の強いシェル材物質(メチルセルロースMC、ポリビニルアルコールPVA)を逆相分散系によりマイクロカプセル化し、pH応答性および諸条件について検討した。調製された染料含有マイクロカプセルは水溶液のpH変化を感知し、変色することが分かった。
11-02
クルクミンによるDNA合成酵素阻害メカニズムの解析と抗癌・抗炎症・抗酸化活性との相関性の考察
神戸学院大学栄養学部食品栄養学研究室 水品 善之
Petasipheno1, a bio-antimutagen isolated from a Japanese vegetable, Petasites japanicus, selectively inhibits the activities of mammalian DNA polymerase l (pol l) in vitro. We found here that another phenolic compound, curcumin (diferuloylmethane), which is known as bioactive food material and is structurally quite similar to petasiphenol, was also a potent pol l inhibitor. Curcumin did not influence the activities of replicative pols such as pol a, d and e, but also showed no effect even on the pol b activity, the three-dimensional structure of which is thought to be highly similar to po1 l. The inhibitory effect of curcumin on intact pol l including the BRCA1 C-terminus (BRCT) domain was dose-dependent, and 50 % inhibition was observed at a concentration of 7.0 mM. The curcumin-induced inhibition of the pol l activity was non-competitive with respect to both the DNA template-primer and the dNTP substrate. Curcumin did not only inhibit the activity or the truncated pol l including the pol b-like core, in which the BRCT motif was deleted in its N-terminal region. BIAcore analysis demonstrated that petasiphenol bound selectively to the N-terminal domain of po1 l, but did not bind to the C-terminal region. Based on these results, the pol l-inhibitory mechanism of curcumin is discussed.
11-03
c-Ha-ras トランスジェニックラットを用いた短期口腔発がんモデルの開発と発がん予防物質の検索
金沢医科大学医学部 田中 卓二
ヒトプロト型c-Ha-ras癌遺伝子を導入したトランスジェニックラット(Hras128ラット)を利用した結果、従来の4-NQO誘発ラット舌発がんモデルに比較して短期間、かつ高率に舌腫瘍あるいは異形成を誘発することが可能となった。また、舌発がん過程で病変の進行に伴いcyclin D1、 GST-P、COX-2、iNOS、β-cateninの発現が増強し、GST-P発現は舌前がん性病変の組織化学的なバイオマーカーとして有用であることが示唆された。さらに、本モデルで、既報の舌発がん抑制化合物の抑制効果が確認され、新規の食晶添加物を含む化合物の口腔(舌)発がんに対する修飾効果の検討に有用であることが示唆された。
11-04
食品添加物の薬物代謝第Ⅱ相酵素への反応性評価に関する研究
名古屋市立大学大学院薬学研究科 水谷 隆治
Synthetic food dyes are used for coloring of foods, pills, and cosmetics. We previously studied the influence of synthetic food dyes on the activities of UGT1A6 and CYP2A6. Erythrosine (ET) among those dyes inhibited UGT1A6 activity. ET is one of Xanthene dyes and has some halogens on its. Thus, we studied the influence of other Xanthene dyes, such as Acid Red (AR), Rose Bengal (RB) and Phloxine (PL), and some drugs containing high halogens such as Ioxaglic acid, Iodixanol, Iotalamate Meglumine, and Diatrizoate sodium. ET, PL, and RB made of Xanthene with halogens well inhibited UGT1A6 activity at IC50 value=50 ■ochM, 40■ochM, and 15■ochM, respectively. AR of Xanthene without halogen did not inhibit the activity. Thus, these results suggest that the inhibition might be dependent upon Xanthene structure and halogens on it.
11-05
小豆種皮に含まれるポリフェノール成分に関する食品化学的研究
名古屋大学大学院情報科学研究科 吉田 久美
小豆種皮は、他の有色豆と比較して、非常に多量の紫外吸収成分を含むことを特徴的とする。既に、プロシアニジン2-3量体の精製報告もある。これらのポリフェノール類には、抗酸化性を基盤とする様々な機能性(抗動脈硬化、抗腫瘍、抗アレルギーなど)が期待される。そこで、種皮に含まれるポリフェノール成分の単離と構造解析を行なった。種皮水抽出物をHPLCで分析したところ、多くのカテキン誘導体、および、フラボノール類のピークが検出された。これらを、各種のゲルを用いたクロマトグラフィーを繰り返し精製し、合計9種のポリフェノールを単離した。構造決定は、機器分析と既報データとの比較により行なった。プロシアニジンモノマーとして、カテキンとカテキン7-グルコシドが同定された。さらに、p-クマロイル-meso-酒石酸、およびケルセチン3-ロビノビオシド7-ラムノシド、ケルセチン3-ルチノシド7-ラムノシド、ケルセチン3-ロビノビオシド、ケルセチン3-ルチノシドが同定できた。また、プロシアニジン類としては、2量体のプロシアニジンB1、および3量体のエピカテキン-4-β-8-エピカテキン-4-β-8-カテキンを同定した。小豆種皮のプロシアニジンオリゴマーは、質量分析、NMRおよび合成によりエピカテキンが主体で、カテキンを1残基だけ含むことがわかった。今後、これら成分の機能性研究、および、まだ単離されていない微量ポリフェノールの化学研究が必要である。
11-06
DNAマイクロアレイの活用によるアントシアニンの生理機能の解析と安全性の再評価
同志社大学研究開発推進機構 津田 孝範
Adipocyte dysfunction is strongly associated with the development of obesity and insulin resistance. It is accepted that the regulation of adipocytokine secretion or the adipocyte specific gene expression is one of the most important targets for the prevention of obesity and amelioration of insulin sensitivity. Recently, we demonstrated that anthocyanins, which are pigments widespread in the plant kingdom, have the potency of anti-obesity in mice and the enhancement adipocytokine secretion and adipocyte gene expression in adipocytes. In this study, we have shown for the first time the gene expression profile in human adipocytes treated with anthocyanins (cyanidin 3-glucoside; C3G or cyanidin; Cy). The human adipocytes were treated with 100 M C3G, Cy or vehicle for 24 h. The total RNA from the adipocytes was isolated and carried out GeneChip microarray analysis. Based on the gene expression profile, we demonstrated the up-regulation of adiponectin and lipid metabolism related genes by the treatment of adipocytes with C3G or Cy. These data have provided an overview of the gene expression profiles in adipocytes treated with anthocyanins and identified new responsive genes with potentially important functions in adipocytes related with obesity and diabetes that merit further investigation.
11-07
フーリエ変換質量分析装置(FT-ICR MS)による生物由来試料の超高感度・迅速測定法の開発とその食品添加物評価への適用
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 竹中 重雄
遺伝子の機能解析を計測する新しい手法として、代謝物の網羅的解析、メタボローム解析が注目されている。その手法は、化学物質などによってもたらされる代謝的変動の検出にも可能である。私は、超高感度、超高分解能測定が可能であるフーリエ変換質量分析装置(FT-ICR MS)が最適の測定器であると考え、リン脂質症を誘発するアミオダロン誘発リン脂質ラットの尿をモデルとして、そのメタボロミクス解析手法の開発を行った。FT-ICRによる尿解析は、これまでに報告されてきたフェニルアセチルグリシンという病態バイオマーカーを検出することが可能であり、さらにはこれまでに報告のない新たなマーカー候補化合物の同定を可能とした。以上の結果より、今回の助成研究によって開発した測定法は、食品添加物を含む様々な化学物質によってもたらされる代謝変動を捉え、その安全性を評価する基盤技術として用いることができると結論した。
11-08
高アントシアニン含量を指向したアカダイコンの育種に関する研究
大阪大学大学院薬学研究科 辻 耕治
In spite of characteristic properties of anthocyanins derived from red radishes, breeding studies of red radishes aiming at increase in anthocyanin content were little conducted. This circumstance prompted us to examine gamma ray irradiation against seeds and crossing between individuals with high anthocyanin content selected by HPLC quantitation in the first instance. In the selection of individuals with high anthocyanin content, aliquots of roots cut off from center to surface were subjected to HPLC quantitation because of disproportion for distribution of anthocyanins in roots. Consequently, both gamma ray irradiation by 200 Gy and crossing between individuals with high anthocyanin content were revealed to bring about increase in anthocyanin content.
11-09
フラボノール類の化学修飾及びオリゴ糖化による有用な食品添加物の開発
名古屋市立大学大学院薬学研究科 千葉 拓
フラボノール類の水に対する溶解度を増加させるためにオリゴ糖化を行った。モデル化合物として、ケルセチンを用い、化学修飾や糖の縮合を行い、脱保護の後、酵素法でオリゴ糖化を行い、合成ルートを開発した。
11-10
茶カテキン-大豆タンパク質複合体がラットの脂質代謝に及ぼす効果
鳴門教育大学学校教育学部生活・健康系 西川 和孝1
佐賀大学農学部 石丸幹二
新規食品素材である茶カテキン-大豆タンパク質複合体(複合体)がコレステロール無添加食および添加食ラットの血漿および肝臓脂質代謝に及ぼす効果を検討した。その結果、コレステロール無添加食ラットにおいて、複合体の添加に関わらず、体重変化、飼料摂取量、飼料効率および肝臓重量はいずれの群間においても差が認められなかった。高コレステロール食においても、複合体の添加によりラットの成長や肝臓重量に影響がなく、毒性も示さなかった。一方、高コレステロール食ラットにおいて、大豆タンパク質の添加により血漿トリグリセリド濃度の有意な低下を示したが、複合体の添加はそれ以上の効果を示した。さらに、複合体添加による血漿総コレステロール濃度の上昇抑制作用、血漿および肝臓 TBARS 濃度の低下傾向を示唆した。以上の結果により、コレステロールを添加した場合、複合体の摂取によって、血漿トリグリセリド、総コレステロールおよび TBARS、肝臓トリグリセリドおよび TBARS の脂質改善効果が示唆された。
11-11
食品添加物と腸内細菌との関わりから見た安全性評価
大阪大学大学院薬学研究科 伊藤 徳夫
腸内細菌群集と宿主の相互作用は、栄養および化学物質の吸収、代謝、あるいは化学物質の毒性発現、および解毒に関わる。多くの腸内細菌は偏性嫌気性あるいは通性嫌気性あり、同一培養条件での網羅的培養は不可能である。培養を行わずに培養困難な細菌群集の変動を解析する手法(16S rDNAに注目したRFLP法、FISH法、およびDGGE法等)が環境微生物学分野で応用、確立されている。そこで、PCR-DGGE法を腸内細菌群集変動の網羅的解析に応用することを試み、これまでに系を確立した。PCR-DGGEバンドパターンの新規検定法を開発導入し、モデル実験で検定手法の妥当性を検証している。本検討では防カビ剤に注目し、開発した手法で腸内細菌群集変動を解析した。検討した防カビ剤のうちで ジフェニルは、0.5 mg/kg/day (p.o.)3日間の投与で、またオルトフェニルフェノールは、2 mg/kg/day (p.o.)3日間の投与で、それぞれ腸内細菌群集に有意な変動を与えた。しかし使用基準と摂取量等から判断し、ヒトの腸内細菌群集に影響を与えるリスクは非常に低いと考えられる。
11-12
天然食品添加物原料植物のDNAプロファイリングによる鑑別・同定法の開発
名古屋市立大学大学院薬学研究科 水上 元
天然食品添加物であるヤマモモ抽出物の原材料である楊梅皮(ヤマモモの樹皮)を、中国市場に流通している類縁生薬である毛楊梅皮および青楊梅皮と遺伝子塩基配列に基づいて鑑別することを試みた。ヤマモモの葉および市場品の乾燥材料からDNAを調製し、これを鋳型として葉緑体ゲノム上に存在するtrnK遺伝子をPCR増幅し、約2600塩基からなる全領域の塩基配列を決定して比較した。その結果、ヤマモモの葉と楊梅皮から増幅したtrnK遺伝子の塩基配列は完全に一致した。楊梅皮と毛楊梅皮では2ヵ所、青楊梅皮とでは53ヶ所のサイトで塩基の置換が認められた。これらの塩基配列情報に基づいて楊梅皮、毛楊梅皮、青楊梅皮の鑑別が可能であることが明らかになった。さらに、PCR―RFJP法を用いて青楊梅皮を簡便に鑑別する方法を確立した。
11-13
海藻からの新規殺菌性褐変防止物質の開発
山口大学農学部 梶原 忠彦
An oxo-C9-acid, 9-oxo-nonadienoic acid, which will be formed during the formation of C6 and C9-aldehydes such as (3Z)-hexenal, (2E)-hexenal and (2E)-nonenal from C18- and C20-polunsaturated fatty acids in marine algae, and a methanol extract from Hijiki fusiform, showed strong antifungal activities against Botorytis cinerea. Noticeable activities against gram-negative and gram-positive bacteria such as Escherichia coli TG-1, Erwinia carotovora , and Staphylococcus aureus were not observed in the both. Antimicrobial activities of essential oils from fresh fronds including green, brown and red algae such as Ulva pertusa, Sargassum thubergii, Laminaria japonica, Dictyopteris prolifera, and Undaria pinnatifida by using SDE (simultaneous distillation and extraction) apparatus were much weaker than those of hexenals and nonenals.
11-14
食品添加物の核内受容体活性化を介した生活習慣病予防効果の機能評価
東京大学大学院農学生命科学研究科・応用生命化学専攻・食品生化学研究室 佐藤 隆一郎
In this study we examined the ligand activity of food ingredients to several nuclear receptors including FXR, LXR, PPAR, RXR and HNF-4, which are deeply involved in regulation of lipid metabolism. For this purpose we established a new assay system to evaluate the ligand activity using 96-well plates. The ligand-binding domain of each nuclear receptor was fused to GST, and this fusion protein was expressed in E. coli and purified. The coactivator protein fused to alkaline phosphatase was also prepared. This system takes advantage of the recruitment of the coactivator protein to the ligand-binding domain in the presence of the ligand. Using this assay system we examined the ligand-binding activity of several isoflavones to these nuclear receptors. Some isoflavones were found to be able to bind to LXR weekly. By using other nuclear receptor ligand-binding domains this new assay will enable us to reveal novel functions of food ingredients.
11-15
血管内皮機能を指標とした食品添加物の安全性評価法開発の試み
神戸学院大学薬学部薬理学講座
岡本 博、屋山 勝俊
エリソルビン酸は酸化防止剤として、また、亜硝酸ナトリウム発色剤として認められた食品添加物である。今回、亜硝酸ナトリウムが血管の拡張、ヘモグロビンの酸化や、血液の酸素運搬能力の低下に関与していることから、これら食品添加物の血管内皮細胞を介した血管弛緩機能への影響を検討した。加えて、血管内皮の損傷は、脂質酸化物や活性酸素種によって発生し、一酸化窒素NOはそれらから血管内皮を保護する一方でペルオキシナイトライトのような活性酸素種に変換される。エリソルビン酸はこれら酸化を抑制する可能性があり、血管内皮細胞を介した血管弛緩機能への影響の可能性を考え検討を加えた。その結果、食品添加物として用いられているエリソルビン酸や亜硝酸ナトリウムを一日摂取許容量の100倍量を動物に投与したが、血圧には何ら影響を示さなかった。また、NG-nitro-L-arginine methylester (L-NAME) をマウスに投与することにより、血管内皮細胞機能に障害を与え高血圧を誘発させ、そこへ、エリソルビン酸や亜硝酸ナトリウムを投与し、血圧、血管内皮細胞を介した血管弛緩能に影響があるかを検討したが、これら食品添加物は血圧や内皮機能に影響を与えなかった。加えて、この高血圧マウスにアンジオテンシン変換酵素であるエナラプリルを投与すると、血圧、血管内皮細胞を介した血管弛緩能に改善が認められ、この改善効果に対しエリソルビン酸や亜硝酸ナトリウムが影響するかを検討したが、これら食品添加物はエナラプリルによる血圧、血管内皮細胞を介した血管弛緩能改善効果に影響を与えなかった。以上の結果より、現在許容されている量のエリソルビン酸や亜硝酸ナトリウムを食品添加物として使用しても、血管内皮細胞の機能に影響を与えないものと考えられた。
11-16
成分育種による高機能保持植物作出に関する研究
東洋大学 生命科学部 下村 講一郎
赤キャベツ培養シュートを材料として再分化系の確立および重イオンビームの照射による変異株の作出を試みた。赤キャベツ無菌培養シュートの葉柄切片を1 mg/L NAA, 2 mg/L BA添加LS固形培地において8週間培養することにより、葉および葉柄切片にカルスが形成され、葉切片に形成したカルスからは不定芽および不定根が形成された。不定芽をHF - LS固形培地に移植し培養した結果、良好に生育し、植物個体で維持できた。4 mg/L IBA, 0.2 mg/L BA添加LS固形培地から誘導したカルスに0.5 - 200 Gyの線量で重イオンビームを照射した結果、0 - 10 Gy の線量では不定根が形成したが、カルスからの不定芽の形成は確認されなかった。1 mg/L NAA, 2 mg/L BA添加LS固形培地に植えつけた葉切片、葉柄切片に0.5 - 200 Gyの線量で重イオンビームを照射した。その結果、10 Gy までの切片においては不定根が形成され、0.5 Gy照射した葉切片においては、1本の不定芽が確認された。
ブルーベリーについては、群馬県農業技術センターにおいて細胞選抜により作出された新品種のブルーベリー果実は、親株おおつぶ星挿し木苗のものよりも SOS 活性が高く、色素が濃いだけでなく抗酸化活性も高いことが判明した。さらに、今回調査した12品種のブルーベリーの中では、最もSOS 活性が高く非常に有用な品種であることが考えられる。
11-17
生活習慣病発症予防を標的とした、抗糖化・抗酸化・抗動脈硬化作用評価システムの開発
-酵素処理イソクエルシトリンの抗動脈硬化作用-
大阪市立大学大学院医学研究科 西沢 良記
[目的] 抗酸化物質として見出された酵素処理イソクエルシトリン(以下,EMIQとする)の抗動脈硬化作用を検討した。
[方法] 生後6週齢で雄性のapoE欠損マウスを2群に分け(EMIQ投与群、対照群)14週間飼育した。EMIQ投与群はマウス動脈硬化誘発飼料を媒体として使用し,飼料中濃度が0.026%となるよう調製した飼料をマウスに給与することにより行った。化合物を投与しない群については,マウス動脈硬化誘発飼料を給与した。第20週令で胸部~腹部大動脈を切開・展開しOil red-O染色し、粥状硬化巣面積を解析した。
[結果] 試験期間を通じ両群とも体重は順調に増加し,群間での差異は認められなかった。胸部~腹部大動脈の粥状硬化巣面積は対照群9.49±4.11%(平均±標準偏差、n=10)に比べてEMIQ群では5.91±2.46%(n=9)と有意に低下した(p=0.037, Student's t-test)。血中総コレステロール(1405±253 vs. 1399±282 mg/dl)、中性脂肪(105±43 vs. 103±38 mg/dl)、HDLコレステロール(22.4±5.0 vs. 17.9±5.0 mg/dl)はそれぞれ対照群とEMIQ群間に有意な差を認めなかった。
[結論] 酵素処理イソクエルシトリンは抗動脈硬化作用を有することが示された。
11-18
ALS系マウスの糖尿病病態に及ぼすビートレッドの影響
岡山大学大学院・自然科学研究科(農学部) 佐藤 勝紀・山下 摂
ビートレッドは、アカザ科ビート(Beta vulgaris LINNE)から抽出、調整され、食用や着色料として利用されているベタシアニン系の天然色素である。近年in vitroでの研究において強い抗酸化能を有することが認められ、生活習慣病の予防など種々の機能性が期待されている。そこで、in vitroで認められたビートレッドの機能性を生体において明確にするため、岡山大学農学部で開発、近交維持しているALS系マウスの4週齢雌および雄を用い、ビートレッド水溶液を36、3.6、1.8ppm濃度で30日間継続的に飲水摂取させ、ビートレッド摂取によるアロキサン誘発糖尿病(ALDM)発症に及ぼす影響について生化学的および組織学的に比較検討した。その結果、36ppm濃度ビートレッド摂取が、雌におけるALDM発症を完全に抑制した。また、この抑制効果が、雌および雄ともに濃度依存的であることが示された。さらに、視床下部障害性の肥満と糖尿病病態を誘導したALS系マウスに36ppm濃度のビートレッド水溶液を3週齢から18週齢まで(15週間) 継続的に飲水摂取させ、糖尿病態発症への影響を検討した結果、糖尿病病態発症の遅延が認められた。これらのことから、ビートレッドの摂取は生体においても機能性を有することが強く示唆された。
11-19
食品・医薬品に共用される添加物の安全性評価に関する研究
昭和大学保健医療学部 手島 邦和
消費者の製品に対する安全性確保の意識の向上により、製造,販売業者は製品中に含まれる成分の品名等の表示を求められている。食品においては食品添加物の表示が法制上義務付けられており、医薬品については、法制上は有効成分のみ表示が義務付けられているが、添加物についても平成16年より自主的に全面表示することになった。
消費者等はこれらの表示を基に使用の判断をすることになるが、品名の表示のみでは十分な情報提供とはいえないので、消費者等から表示された成分についての安全性の科学的根拠を求められることがある。
安全性に関する科学情報の多くは個別の研究報告として公表され、必ずしも体系的に情報が管理されている状況にないので、成分ごとにこれらの情報を整理する必要があるが、食品添加物及び医薬品添加物には共通する物が多いので、併行して検討することにより効率的な検討が可能である。
そこで食品添加物と医薬品添加物に共用される成分をリストアップすると約300品目であったので、このうちには、JECFA(Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives)で評価されモノグラフに掲載されているものがあるので、その要約及び邦訳を優先して行うこととし、それにない場合は他のデータベースにより検索することとした。
安全性情報の検索については検索方法を検討し,マニュアルを作成した後に検索に着手した。
その結果、本年度は44品目の調査を終了した。
11-20
食品加工された遺伝子組換え食品からの検知法の開発
東京農工大学工学部 小関 良宏
遺伝子組換え食品(種子植物)検査の公定法(定性・定量 PCR 法)の前提は、定量のターゲットとなる遺伝子が切断されていないということである。しかしこの前提条件に対し、遺伝子組換え食品(植物)においては遺伝子の本体である核 DNA に食品加工という物理的処理がなされ、このために DNA の分解・断片化が生じることは知られているが、それが公定法においてどのような影響を与えるのかについては詳細に検討されていない。そこで、本研究においてはこれらの遺伝子組換え植物の食品加工において、導入遺伝子がどのような挙動を示すのかを明らかにし、公定法がどこまで適用できるのかを明らかにすることを目的とした。まず、遺伝子組換えダイズを入手し、これから豆腐をモデル加工したところ、600 bp 以上の核 DNA が残っていることが明らかになった。すなわち、煮沸という 100℃ の加工ではその断片化は公定法が適用できる範囲内に留まっていることが明らかになった。しかし、加熱とともに加圧処理がなされるオートクレーブ加工によって、核 DNA は著しい断片化が起こることが明らかになった。さらにトウモロコシについて、180 ℃、1 分間のフライ加工によって核 DNA の断片化は 400 bp 程度に留まるのに対し、コーンスナック菓子の製造に用いられる加熱・加圧がなされるエクストルーダー加工では、128℃ の低温でも 200 bp 程度にまで断片化され、加工適温である 160℃ 以上では 95 bp 以下にまで断片化されてしまうことが明らかになった。このため、正確な定性・定量を PCR 法を用いて行うにあたっては、100 bp 以下の核 DNA 領域を増幅するプライマー対を設計することが必要であることが明らかになった。
11-21
ポリアニオン性多糖類による甘味タンパク質ソーマチンの熱安定性とその分子機構
山口大学農学部 松冨 直利
甘味タンパク質ソーマチンの熱安定化に及ぼすポリアニオン性多糖の影響について検討した。ソーマチンはリン酸緩衝液 (pH 7) 中で、80℃以上の加熱で容易に変性凝集失活する。硫酸化多糖である、デキストラン硫酸やカラギーナンがソーマチンの熱凝集を抑制し、甘味保持機能をもつことが分った。また、これら多糖の効果は、95℃の高温でも観察できた。アスコルビン酸や炭酸水素ナトリウムの存在下でも、デキストラン硫酸は、ソーマチンの熱不溶化を抑制するとともに、甘味活性を維持した。デキストラン硫酸やλ-カラギーナンのソーマチンの熱凝集に対する抑制の機構についても検討した。
11-22
香辛料のカプサイシン受容体TRPV1を介する消化器および呼吸器への影響
城西国際大学薬学部 堀江 俊治
食品添加物の中には、トウガラシ抽出物、ショウガ抽出物など香辛料に分類されるものがいくつかある。これらの香辛料は食欲の増進などの目的のために、よく食品に添加されている。そこで、どのようにしたら香辛料の摂取が健康増進に結びつけられるのか、どうすると健康が害されてしまうのかについて研究し、香辛料の健康的な摂り方の科学的根拠を提示したいと考えた。そこで、本研究では香辛料の消化器および呼吸器系への薬理作用と作用機序を検討した。研究結果の要点を以下の6点にまとめた。今回の結果より、香辛料の健康増進作用の科学的根拠の一部を動物実験により示すことができた。
(1) 培養末梢神経モデル細胞PC12細胞における香辛料の神経活性化作用: PC12細胞において、カプサイシンはカプサイシン受容体TRPV1の刺激によりカルシウム流入を惹起し、神経伝達物質を遊離させることを明らかにした。
(2) 摘出消化管標本におけるカプサイシンの消化管運動亢進作用:摘出消化管標本において、 カプサイシンはカプサイシン受容体TRPV1の刺激により消化管ぜん動運動を亢進するを見いだした。
(3) 胃損傷・潰瘍モデルにおけるカプサイシンの胃粘膜保護作用:ラット胃損傷・潰瘍モデルにおいて、カプサイシンはカプサイシン受容体TRPV1の刺激し、その結果胃粘膜を保護することを見いだした。
(4) カプサイシンの胃酸分泌に対する作用:マウス摘出胃標本において、カプサイシンは胃のTRPV1を介して刺激胃酸分泌を抑制することを見いだした。一方、麻酔下ラット胃内灌流標本においては、カプサイシンの脳室内投与により中枢TRPV1が活性化し、胃酸分泌を亢進させることが明らかとなった。
(5)カプサイシン受容体TRPV1の分布:ラット胃の凍結切片を免疫染色すると、TRPV1神経線維は粘膜下の血管周囲と筋間神経叢に豊富に存在していた。モルモットの気道においては、TRPV1神経線維は粘膜、粘膜下組織の血管周囲と平滑筋に豊富に存在していた。また、肺内の気管支、細気管支、肺胞の周囲にも観察された。本検討により胃と肺におけるTRPV1神経線維の分布をはじめて明らかにできた。
(6) ショウガ成分ジンゲロールの薬理作用:ジンゲロールもカプサイシン同様、TRPV1に作用して、胃粘膜保護作用、消化管運動促進作用を引き起こすことを見いだした。
11-23
コーヒーの香気成分であるカフェオフラン及びその類縁体の短段階新規合成法の開発と食品添加物としての機能研究
関西学院大学理工学部化学科 勝村 成雄
6-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[2,3-c]フラン(カフェオフラン)はコーヒーの香気成分1、2)、あるいは肉の調理香3)として知られており、今から約40年前に発見されている4)。その構造は2つの5員環が縮環しており、非常に興味深い構造である。今回我々は、カフェオフランの合成において、チオフェン誘導体に対し水素雰囲気下でWilkinson触媒を作用させることにより形式的な還元的環化反応を実現し、ジヒドロチエノ[2,3-c]フラン骨格を形成するという新規な合成法を開発した。この方法により我々は、これまでになく短段階かつ効率よいカフェオフランの合成法を確立し、またその類縁体を合成することによってその有用性を示している。また、この様にして合成したこれらの化合物の香調を調べ、食品添加物としての機能を探索している。
11-24
亜臨界水による肉骨粉の無害化と資源化
大阪府立大学大学院工学研究科 吉田 弘之
亜臨界水処理による肉骨粉の無害化と資源化を試みた。473-563 Kの温度で亜臨界水処理を行った。563Kで20分、533 Kでは30 分でプリオンタンパク質が分解したことから亜臨界水処理による異常型プリオンタンパク質の高速不活性化への適用の可能性が明らかになった。全条件で油が抽出され、水相には有機酸、アミノ酸、ペプチド、水溶性タンパク質等の有価物が生成した。油の収率は最大0.13 kg/kg-dry sample であった。有機酸ではピログルタミン酸が最も多く、最大収率は0.05 kg/kg-dry sample であった。アミノ酸ではグリシン、アラニンの収率が特に高かった。
11-25
かんすい及び豆腐凝固剤の調理加工時における挙動
実践女子大学 西島 基弘
中華麺にはかんすいを使用するが、かんすいとして代表的な炭酸カリウム・炭酸ナトリムウ(60:40)を使用して中華麺を作製した。使用したかんすいは製造工程中では損失がないことがわかった。
また、中華麺を10倍量のお湯で分間茹でたところ、かんすいとしては約20%が残存し、ナトリウム及びカリウムはゆで麺に約50%が残存し、約50%が茹で汁に移行することが分かった。
一方、粗製塩化マグネシウムが豆腐凝固剤として使用されている例が多いことから、マグネシウムを中心に豆腐製造時及び調理時の挙動を検討した。
木綿豆腐及び絹ごし豆腐共に凝固剤として添加したマグネシウムを上回る量が検出された。これは豆乳にもマグネシウムが含有されているためである。
調理により豆腐中のマグネシウム及びカルシウムがどのように変化するかを調査したところ、木綿豆腐の湯豆腐では10分後にはマグネシウムが約15%、カルシウムが30%減少した。絹ごし豆腐ではマグネシウムが30%、カルシウムが65%減少した。それ以降は経時的な差はほとんど見られなかった。
11-26
既存添加物・不溶性鉱物性物質の安全性評価のための基礎的研究
中澤裕之*、斉藤貢一、 伊藤里恵、川口 研、天笠高志 |
星薬科大学 |
岡 尚男、大島晴美 |
愛知県衛生研究所 |
藤巻照久 |
神奈川県衛生研究所 |
堀江正一 |
埼玉県衛生研究所 |
高橋淳子 |
財団法人食品薬品安全センター秦野研究所 |
松木容彦 |
社団法人日本食品衛生協会食品衛生研究所 |
山田真記子 |
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 |
扇間昌規 |
武庫川女子大学薬学部 |
伊藤誉志男 |
財団法人日本食品分析センター 大阪支所 |
* 主任研究者
溶岩が冷却されると真珠岩、松脂岩、黒曜岩などのガラス質の岩石となる。これらの岩石を基原として製造される既存添加物が、不溶性鉱物性物質であり、食品の製造に際して製造用剤(ろ過助剤、沈降助剤)として用いられている。これら不溶性鉱物性物質の安全性評価に関する基礎研究として、昨年度は不溶性鉱物性物質の材質試験法の検討並びに不溶性鉱物性物質から溶出される金属分析を行なった。本年度は、昨年確立した材質試験法を用いて、8種類の不溶性鉱物性物質について材質試験を行なった結果、28元素の含有量の測定が可能となった。また、溶出試験の条件等についても昨年に引き続き検討を行なった。
また、昨年度の不溶性鉱物性物質からの溶質試験の結果、有害物質であるヒ素や鉛が溶出することが確認された。特に珪藻土からは高濃度のヒ素の溶出が認められた。そこで、珪藻土等を製造段階でろ過助剤と使用している市販液体食品中のヒ素、有害性金属(水銀、カドミウム、鉛及びクロム)及びその他の金属(マグネシウム、鉄、ケイ素、銅及びアルミニウム)の含量を調査した。分析に供した液体食品中のヒ素及び金属類の含有量はいずれも微量であり,食品衛生上問題となるレベルではないと考えられた。
次に、珪藻土の使用が想定される各種市販液体食品中のヒ素が、本来の食品中のヒ素なのか珪藻土に由来するヒ素が溶出しているかを判別するのに、ヒ素の化学形態分析法を検討した。珪藻土で、ろ過前とろ過後の市販リンゴジュースを分析した結果、検出されたヒ素はその化学形態によりろ過助剤由来であることが示唆された。
11-27
既存添加物の安全性評価のための基礎的調査研究
(2.Saccharum officinarum LINN.(サトウキビ)からDipteryx odorata WILLD(トンカマメ)まで)
義平邦利* |
東亜大学 |
水野瑞夫 |
自然学総合研究所 |
和仁晧明 |
東亜大学大学院 |
小林公子 |
小林病院 |
佐竹元吉 |
お茶の水女子大学 |
関田節子 |
国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用栽培試験場 |
正山征洋 |
九州大学薬学部 |
米田該典 |
大阪大学大学院薬学研究院 |
加藤喜昭、森本隆司 |
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 |
* 主任研究者
天然添加物は、平成7年から、厚生労働大臣により許可されたもの以外は使用することが出来なくなった。平成7年までに、使用されていた天然添加物は、既存添加物名簿に収載され、引き続き添加物として、使用が認められている。厚生労働省は、これら添加物のうち、既存添加物489品については、次のように整理、分類している。
(1)JECFA等により国際的評価がなされており、基本的な安全性が確認されているもの、及び入手した試験成績により基本的な安全性を評価することができるもの:214品目。
(2)基原、製法、本質から、安全性の検討を早急に行う必要はないものと考えられるもの:150品目。
(3)安全性に関する資料の収集が不足、安全性の確認を迅速かつ効率的に行う必要があるもの:125品目。
本特別研究は、(2)の「安全性の検討を早急に行う必要はない既存添加物」について、まえもって安全性評価のための基礎的調査研究を行うことにした。
既存添加物の安全性を評価するには、原材料の動植物が確かであること、歴史的な食経験があること、原材料の動植物は有害性でないこと、有害成分を含有しないこと等が必要である。
そこで、これらの課題について調査研究を行い、基原動植物の規格案の作成と、それらに由来する既存添加物の規格案を作成することにした。