報道発表資料

 

平成17年06月27日

医薬食品局食品安全部基準審査課

 

 

食品に残留する農薬等のポジティブリスト制度に係る分析法の検討状況について

 

「食品衛生法等の一部を改正する法律」(平成15年法律第55号、平成15年5月30日公布)により、食品中に残留する農薬、動物用医薬品及び飼料添加物(以下、「農薬等」と略す。)に関し、いわゆるポジティブリスト制度(農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止する制度)を、平成18年5月までに導入することとしています。


 厚生労働省では、ポジティブリスト制度施行に伴い、国民の健康保護を図るとともにポジティブリスト制度の円滑な施行を図るため、国際基準などを参考に残留農薬等の暫定基準を設定することとし、平成15年10月及び平成16年8月に暫定基準(案)を公表し内外から意見を求めてきました。現在、暫定基準(最終案)について、意見募集を行っているところです。分析法については、平成17年6月現在、食品衛生法第11条第1項に基づき食品中の残留基準が設定された246農薬及び31動物用医薬品に対し定められており、複数の農薬を分析する一斉分析法については「残留農薬迅速分析法の利用について」(平成9年4月8日付け衛化第43号)を示しているところです。

 ポジティブリスト制度導入により新たに残留基準が設定される農薬等の分析法については、平成15年度から3年間の予定で、国立医薬品食品衛生研究所において、都道府県等衛生研究所や登録検査機関のご協力のもと、検討を進めています。今般、別紙のとおり、平成16年度までの検討状況等をとりまとめたので情報提供します。なお、検討内容については、今後も資料が整ったものから順次情報提供することとしています。

 今回、情報提供する分析法等については検討中のものであることに十分ご留意ください。分析法については、最終的にポジティブリスト制度の施行時に通知等により示すこととしています。




別紙

残留農薬等に対するポジティブリスト制度に係る分析法の検討状況等


○  検討項目
 ポジティブリスト制度導入に伴う暫定基準が設定される農薬、動物用医薬品及び飼料添加物について、以下の検討を行う。

1. 農薬
 (1) 農産物中に残留する農薬に対するガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)による一斉分析法
 (2) 畜水産物中に残留する農薬に対するガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)による一斉分析法
 (3) 農産物中に残留する農薬に対する液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS及びLC/MS/MS)による一斉分析法
 (4) 畜水産物中に残留する農薬に対する液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS及びLC/MS/MS)による一斉分析法
 (5) 一斉分析法が適用できない農薬等に対する個別の分析法
 (6) 食品衛生法に基づき定められた残留基準分析法の適用
 (7) 農薬取締法に基づく登録保留基準に係る分析法、その他の残留農薬分析法に関する情報の収集及び整理

2. 動物用医薬品・飼料添加物
 (1) 高速液体クロマトグラフ(HPLC)、液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS及びLC/MS/MS)による一斉分析法
 (2) 食品衛生法に基づき定められた残留基準分析法の適用
 (3) 国内で使用が認められている動物用医薬品・飼料添加物及びCODEX基準、諸外国等の分析法が判明している動物用医薬品・飼料添加物の分析法の検討と一斉分析法化
 (4) 一斉分析法等により分析が難しい動物用医薬品・飼料添加物に対する新たな動物用医薬品・飼料添加物のグループ別または個別の分析法
 (5) 検討した分析法の標準化


○  年次計画
1. 農薬
平成15年度 上記1.の(1)、(2)、(4)~(6)  検討対象物質; 約240(農作物) 約70(畜水産物)
平成16年度 上記1.の(1)~(6)  検討対象物質; 約250(農作物) 約110(畜水産物)
平成17年度 上記1.の(1)~(7)  検討対象物質;未定

2. 動物用医薬品・飼料添加物
平成15年度 上記2.の(1)~(4)  検討対象物質;約80
平成16年度 上記2.の(1)~(5)  検討対象物質;約140
平成17年度 上記2.の(1)~(4)  検討対象物質;約100


○  平成15年度検討結果概要
1. 農薬(上記1.の(1)及び(2)の一部)
 (1) 平成15年度は、約120農薬について、GC/MSによる一斉分析法(別添1(PDF:81KB))を検討した。玄米、大豆、馬鈴薯、ほうれんそう、キャベツ、リンゴ及びオレンジを用いた添加回収実験の結果、本法が適用できる農薬は約90であった(別添2(PDF:43KB))。但し、農作物の種類、暫定基準と定量限界によっては適用できない場合も想定される。また本法は、茶(抹茶を除く)のXMC、イソキサチオン、エチオン、エンドスルファン、テトラジン、トリアジメホン、プロパルギット、プロフェノホス及びメチダチオンには適用できない。
 (2) 平成15年度は、GC/MSによる一斉分析法(別添3(PDF:71KB))の開発を検討した。その結果、開発した方法が適用できる農薬は約60であった(別添4(PDF:46KB))。但し、畜水産物の種類、暫定基準と定量限界によっては適用できない場合も想定される。

2. 動物用医薬品・飼料添加物(上記2.の(1)~(4))
 225動物用医薬品について、暫定基準一次案が示されている。
 平成15年度は、約90動物用医薬品について、HPLCによる一斉分析法(別添5、6(PDF:64KB))を検討した。また、一斉分析の適用が困難な動物用医薬品に対しては、個別またはグループ分析法を検討した。その結果、開発した方法が適用できる動物用医薬品は約80であった(別添7(PDF:55KB))。
 平成16年度は、残り約145動物用医薬品のうち、標準品の入手が困難な約60、農薬でもあるため農薬試験法との整合性を図る必要のある約30を除く、約55動物用医薬品についてHPLCによる分析法を検討する。さらに、平成15年度に開発した分析法のバリデーションを行う。


○  平成16年度検討結果概要
1. 農薬(上記1.の(1)、(2)および(3))
 (1) 平成16年度は、GC/MSによる一斉分析法(別添3(PDF:71KB))について対象農薬を拡大して新たに約130農薬について平成15年度と同様に玄米等を用いて検討した。
 (2) 平成16年度は、平成15年度に開発したGC/MSによる一斉分析法(別添3(PDF:71KB))について、畜水産物試料の適用範囲及び対象農薬を拡大して一斉分析法(別添8(PDF:70KB))の開発を検討した。その結果、適用試料に肝臓及び腎臓が加わった。但し、畜水産物の種類、暫定基準と定量限界によっては、適用できない場合も想定される。
 (3) 平成16年度は、約80農薬を対象にLC/MSによる一斉分析法(I法;別添9(PDF:64KB)、II法;別添10(PDF:64KB))の開発を検討した。但し、いずれの方法を適用する場合においても、農作物の種類、暫定基準と定量限界によっては適用できない場合も想定される。

 (注) 平成16年度に検討した分析法(上記)が適用できる農薬等については、近く公表する。

2. 動物用医薬品・飼料添加物(上記2.の(1)~(5))
 動物用医薬品233項目について暫定基準二次案が示されている。
 平成16年度は、前年度に引き続き、HPLCによる一斉分析法(平成15年度検討結果概要別添5、6(PDF:64KB))を検討した。また、一斉分析の適用が困難な動物用医薬品に対しては、個別またはグループ分析法を検討した(別添11~13(PDF:66KB))。その結果、開発した方法が適用できる動物用医薬品は約120項目であった(別添14(PDF:84KB))。また、平成15年度に開発した4試験法、5項目について、複数の検査機関により追試験を行い良好な結果が得られた。
 平成17年度は、残り約100項目の分析法を検討する。

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