国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている未指定の添加物の指定についての考え方(案)
厚生労働省より平成14年7月26日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会に下記資料が提出され、了承された。
〇 食品の国際流通が頻繁となり、我が国における食品に占める輸入食品の割合も約6割と非常に高く、さらに我が国と欧米で使用されている添加物との間には不整合が存在する状況下にある。このことから、輸入食品については、国際的には安全性について一定の評価がなされているが、我が国では指定されていない添加物が含まれている食品が輸入される可能性が大きい。
〇 一方、添加物そのものの安全性、ADI(許容一日摂取量)に関してみれば毒性の専門家の科学的評価に国際的に大きな乖離があるとは考え難い。
<今後の取扱いの基本的考え方>
1.香料を除く添加物について
(1) 対象品目
以下の条件を満たす安全でかつ必要性が高いと思われる添加物については、積極的に安全性及び暴露量評価を行い、指定の方向で検討していくこととする。 |
① JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)で国際的に安全性評価が終了し、一定の範囲で安全性が確認されているもの
② 米国及びEU諸国等で使用が広く認められており、国際的に必要性が高いことが予想されるもの
(2) 具体的な対象品目の選定手順
未指定添加物の海外における実態調査等にもとづき、厚生労働省として候補リストを作成し、薬事・食品衛生審議会(以下、審議会)で議論し、具体的な品目を確定する。これら品目に関しては、収集した資料に基づき、審議会にて安全性、品質等に関し個別に審議する。
(3) 指定に係る審議に当たっての留意点
(イ) 安全性評価
審議会での安全性評価確認を行うにあたっては、その添付資料の基本は、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」(平成8年生活衛生局長通知、いわゆるガイドライン)に基づくものとする。ただし、添付資料の範囲に関しては弾力的な運用を図る。
具体的には、JECFAの報告書とその原著を積極的に評価の対象として受け入れ、さらに、その後の文献検索結果や、米国、EU諸国等での評価結果等により、資料を補充する。
(ロ) 暴露量評価
各国での食文化の違いを踏まえ、我が国における各食品毎の摂取量をもとに暴露評価を行い、各食品毎の添加物使用基準を検討する。
(4) 今後の進め方について
今後、未指定添加物に係る調査を行い、安全性、必要性について積極的に情報を入手し、対象範囲を明確にした上で評価確認可能なものから順次指定の検討に着手する。
2.香料について
香料に関しては、JECFAにおける評価方法(注)が、他の添加物と大きく異なっており、また我が国においてこの香料の評価方法を検討していないことから、まず、その方法論の是非について確認する。従って、仮に迅速な対応を行う必要があった場合でも、方法論についての審議会での検討の過程が必要となる。
(注) JECFAにおける評価方法:
個々の品目毎に一連の動物実験データを備えて個別に評価を行うのではなく、化学構造、代謝等の観点からの類似性で、まず、グループ分けを行い、その各グループの安全性評価と個々の物質毎の人体中での代謝、摂取量などを考慮して安全性評価を行う。