肥満・糖尿病を抑制
―三栄源・東海学園大・名大― 紫トウモロコシ色素に新知見

 アントシアニン系色素の紫トウモロコシ色素に、高脂肪食摂取時の肥満や糖尿病を顕著に抑制する作用があることが新たに判明した。三栄源エフ・エフ・アイが、東海学園大学・津田孝範助教授、名古屋大学大学院・大澤俊彦教授らと、進めていた共同研究で明らかになったもので、マウスを用いた試験では、高脂肪食に紫トウモロコシ色素を添加した餌を投与した場合、体重やBMI、血糖値がいずれも基礎食を投与した群と有意な差がないレベルまで効果を示した。同社では、これまでの着色料としての利用に加え、欧米型の食事にまつわるサプリメント向け機能性食品素材として応用展開を図っていく考え。
 今回の肥満抑制実験は、マウスを基礎食群、基礎食11.1%紫トウモロコシ色素(10%E値色価850)投与群、高脂肪食(ラード30%含有)群、高脂肪食11.1%紫トウモロシ投与群の4群に分け、12週間飼育後、それぞれ評価した。その結果、高脂肪食を摂取した群は、基礎食群と比較して体重が約1.3倍に増加したのに対し、高脂肪食+紫トウモロコシ色素を投与した群の体重は基礎食群とほぼ同じとなった。また、各種脂肪組職の重量は、高脂肪食群が約2倍になったのに対し、高脂肪食+紫トウモロコシ色素投与群は、基礎食の群と有意な差がないまで抑制されていた。脂肪細胞から分泌される食欲の抑制やエネルギー代謝の増大を介して体脂肪量の調節、飢餓への適応を司るホルモン、レプチンにおける血清中の濃度については、高脂肪食群が基礎食群の約10倍に上昇したが、高脂肪食+紫トウモロコシ色素投与群では、基礎食群とほぼ同程度まで低下、顕著な抑制作用が認められた。これは、レプチンが増加すると食欲の抑制が効かなくなる"レプチン抵抗性"に対し紫トウモロコシ色素がレプチンの分泌、作用を正常化し、高脂肪、高ショ糖食による肥満を抑制する作用を有すると考えられている。
 糖尿病抑制実験では、血糖値および血清インスリン濃度について測定したところ、高脂肪食群では、高血糖、高インスリン血症を示したが、高脂肪食+紫トウモロコシ色素投与群では、いずれも基礎食群と同レベルまで改善した。肥満抑制、糖尿病抑制両方の実験における基礎食群と基礎食+紫トウモロコシ色素投与群との間には有意な差はみられず、紫トウモロコシ色素が高脂肪食摂取時にのみ効果を発揮していると考えられている。
 同社はすでに、紫トウモロコシ色素の大腸がん発生の抑制作用を名古屋市立大・大雄会医科学研との共同研究で明らかにしており、肥満・糖尿病の抑制作用とともに生活習慣病を予防する健康食品素材として、手がけていく方針。食品メーカーとのタイアップや特保なども視野に入れて機能性色素としての可能性を探る。なお、研究成果は先頃仙台で行われた日本農芸化学会2002年度大会でも発表された。

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