紫トウモロコシ色素が大腸がん抑制

 冷菓や飲料などに使用されているアントシアニン系の紫トウモロコシ色素が、名古屋市立大学医学部、大雄会医科学研究所等との共同研究で、大腸がんの発生を有意に抑制することがラットを用いた実験により確認され、第59回日本癌学会(ポスターセッション 要旨集 p605, 3894)で発表された。

 実験には紫トウモロコシ色素の液体製品を噴霧乾燥して調製したもの(色価800、シアニジン-3-グルコシド 14.4%含有)が使用された。
 F344雄ラットを予め1,2-ジメチルヒドラジン(DMH)でイニシエーション処置(20mg/kg体重、週1回計4回皮下投与)した後、基礎食群、環境発ガン物質PhIP (2-アミノ-1-メチル-6-フェニルイミダゾ[4,5-b]ピリジン) 200ppm単独投与群およびPhIPと同時に色素粉末5.0%を投与する群を設け、36週で屠殺し、検査を行った。
 その結果、基礎食群では4/20(20%)、1匹平均0.25個、PhIP投与群では17/20(85%)、平均2.4個に大腸腫瘍が発生した。これに対し、PhIPと5.0%色素同時投与群では8/20(40%)、平均0.45個と抑制が見られた。
  
 日本人が食品などから摂取すると思われる焼け焦げ中に最も豊富に存在するヘテロサイクリックアミンの一種であるPhIPの1日当たりの摂取量は、約10mgと推定されている。実験では、紫トウモロコシ色素を PhIP の250倍与えた群において発がん抑制が確認されたことから、比例関係がそのまま成り立つとすると、人の場合、紫トウモロコシ色素をPhIP の推定摂取量の250倍に当たる2.5mg(シアニジン-3-グルコシドで0.36mg)以上摂取することにより抑制効果が期待できると計算される。
 さらにPhIP 誘導変異原性試験の結果において、紫トウモロコシ色素をPhIPの5,000倍程度の用量で同時に処理すると、PhIPによる変異原性を完全に抑制するとの考察と併せ考えると、紫トウモロコシ色素を1日当たり50mg(シアニジン-3-グルコシドで7.2mg)摂取することでPhIPによる大腸発がんを抑制できると考えられる。

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