公益財団法人
日本食品化学研究振興財団
FDA 21CFR(仮和訳)
170 食品添加物
食品添加物の安全性
§30 一般に安全であると認められる(GRAS)として分類されるための適格性
§170.30 一般に安全であると認められる(GRAS)として分類されるための適格性
(a) 一般的に安全であると認められるということは、直接、間接にかかわらず食品に添加される物質の安全性評価に関し科学的訓練を受け、さらに経験を積んだ専門家の見解にのみ基づくものである。かかる見解の基本としては、(1) 科学的方法、もしくは (2) 1958年1月1日以前に食品に使用されていた物質に関しては、食品への一般的な使用に基づく経験があげられる。一般に安全であると認められるには、直接、間接にかかわらず食品に添加される物質の安全性について知識を有する科学者間に、当該物質に関する知識が一般的に知られていることが必要である。
(b) 科学的方法に基づいてある物質を一般に安全であると認めるためには、材料に対する食品添加物規則の許可を受ける場合と同量、同質の科学的証拠が必要であるものとする。
科学的方法によりある物質を一般に安全であると認めるためには、すでに公表されている研究で、未公表研究及びその他のデータ及び情報による裏付のあるものに通常は基づいていなければならない。
(c) (1) 1958年1月1日以前に、食品において一般に使用されているものについては食品添加物規則のもとで許可を受ける場合に必要なる同量、同質の科学的証拠がなくても、経験を通じ、一般に安全であると認める。1958年1月1日以前に食品中で一般に使用されていたものについては、その経験を通じ、一般に安全であると認めるのは1958年1月1日以前の当物質の単に食品中での使用に基づいており、さらに通常一般に入手可能なデータ及び情報に基づいているものとする。1958年1月1日以前に食品に一般的に使用されていなかった物質については、科学的方法によってのみ、一般に安全であると認めることができる。
(2) 1958年1月1日以前に食品中に使用されていた物質は、この使用が専ら、もしくは主として米国国外での使用である場合、また経験に関する情報が当該物質の使用は、法の趣旨の範囲内で安全である (§170.3(ⅰ) 参照) ことを確証する場合、食品中への一般的使用に基づく経験を通して、一般に安全であると認められることができる。米国国外での1958年1月1日以前の一般的使用は、公表された情報もしくは他の情報によって立証されるものとし、また当該物質の使用の歴史、状況を確認する第二の独立した情報源からの情報によって確証されるものとする。当該物質の使用の歴史、状況を立証し、またこれを確証するために使用される情報は通常入手可能でなければならない。即ち、この情報はこの使用の歴史を有する国において、広く手に入れることが可能であり、また当該国の関心を持つ適格な専門家にとって容易に入手できるものでなければならない。米国国外での食品中での一般的使用に基づいて、物質のGRASとしての資格を要求する人々はFDAから、当該物質の使用はGRASに相当するとの同意を得なければならない。
(d) GRASとして本章 Part 182に記載、もしくは Part 184もしくは§186.1 に確認されている食品材料は、食品への意図した使用において一般的に安全であると認められる全物質を網羅するわけではない。意図した使用より直接、間接にかかわらず食品の成分となるか、もしくは食品の性質に影響を及ぼす、もしくはかかる結果が十分予想されるような物質が非常に多数に上るため、これらの物質全てをGRASとして記載するのは不可能である。1958年1月1日以前に米国にて有害作用なく栄養上の目的で広く消費されていた天然の食品材料で、1985年1月1日以前に有害性についての問題もなく行われていた従来の加工法のみにより、加工処理を受けていたものについては、本章 Part 182、もしくは Part 184 か§186.1 に含まれていなくても、通常GRASとみなされるものである。
(e) 1958年〜1962年の間に本章 Part182にGRASとして記載された食品材料は、安全性に関する入手可能なデータ及び情報の詳細な科学的検討が行われていない。1969年以来、食品医薬品局は、GRAS物質もしくは既認可物質と認められた食品に使用されている全物質について、体系的に再検討を行っている。この再検討に従ってGRAS物質資格、食品添加物取扱い基準、既認可事項についての決定を行う場合、本章§170.35、§170.38、及び§180.1に準拠するものとする。GRAS資格の確認は、本章 Part184もしくは§186.1に公表するものとする。
(f) 以下に該当する食品材料の取扱い基準は、再検討の対象となり、本章§170.35、 §170.38、もしくは§180.1に従ってGRAS物質として確認されるか、もしくは食品添加物として、または既認可物質として決定するものである。
(1) 1958年1月1日以前、有害な作用なく米国内にて栄養上の目的で広く消費されていた天然生物素材の物質で、その使用に関していかなる健康障害の報告もないが、1958年1月1日以降初めて商業用に導入されたプロセスにて処理した場合、その組成が著しく変化すると十分予想される物質。
(2) 1958年1月1日以前、有害な作用なく米国内にて栄養上の目的で広く消費されていた天然生物素材の物質で、その使用に関してはいかなる健康障害の報告もないが、1958年1月1日以降に品種改良もしくは選抜により著しい組成変化が生じ、その栄養価もしくは毒性成分濃度が変化すると十分予想される物質。
(3) GRAS物質の蒸留物、分離物、抽出物、及び抽出物の濃縮物。
(4) GRAS物質の反応生成物。
(5) 天然生物素材でない物質。天然生物素材のGRAS物質と同一であると証明されるものも含む。
(6) 栄養上の目的以外の目的で消費される天然生物素材の物質。
(g) GRAS物質でも既認可物質でもない食品材料は、直接、間接にかかわらず食品に添加される前に、法第 409節に基づき食品添加物規則の公布を必要とする。
(h) 本章 Part 182にGRAS物質として記載されているか、もしくは本章 Part 184または§186.1にGRAS物質として確認されている食品材料は、適用規則の要件に加え、以下の要件を満たした場合に限り、GRAS物質としてみなされるものとする。
(1) “Food Chemicals Codex,” 2d Ed. (1972) の適用食品用規格に合致、もしくはGRAS確認規則に特に規定がある場合は、 “Food Chemicals Codex,” 3d Ed. (1981)(これはここに言及することにより本連邦規則の一部となる)に合致する。但し、食品と接触する物質の成分として使用され本章§186.1 でGRASとして確認されている物質が、§186.1 の規格に合致、もしくはかかる規格は存在しないが意図した使用方法に適切な純度であれば、除外される。この資料は、 米国アカデミープレス(2101 Constitution Ave. NW., Washington, DC 20418)にて入手可能。また国立公文書記録管理局(NARA)にて閲覧できる。NARAに本資料の利用について問い合わせるには、202-741-6030に電話するか、
http://www.archives.gov/federal-register/code-of-federal-regulations/ibr-locations.html
へアクセスされたい。
(2) 当該物質は、食品中もしくは食品と接触する物質に使用され、然るべき機能を果たす。
(3) 当該食品中にて意図した目的を達成するのに必要なレベル以内で使用される。食品と接触する物質の成分として使用される場合は、当該物質中での目的を達成するのに必要な量を超えない範囲で使用される。
(i) 当該物質が、本章 Part 184 もしくは§186.1 にてGRASとして確認され、GMPのみが制限として設けられている場合で、使用条件が当該物質のGRAS資格が確認された基礎となった規則内の使用条件と著しく異なっていない場合、GRASとみなされるものとする。使用条件が著しく異なっている場合、かかる使用はGRASとはみなされない。かかる事例においては、製造者は使用の認可を当該規則によらず、独自に当該使用方法をGRASとして確立するか、もしくは食品添加物規則に従って当該物質を使用するようにしなければならない。
(j) 本章 Part 184 もしくは§186.1 にてGRASとして確認されており、特定の制限が設けられている物質の場合、当該制限(対象食品範疇、当該材料の使用目的、及び使用量を含む)内でのみ食品への使用ができる。かかる材料を、所定の制限を完全に満たさないような使用方法にて使用するためには、食品添加物規則が必要となる。
(k) §170.35に従い、食品材料は、その使用方法の一般的評価を行わずに、特定の用途に対して本章 Part 184 もしくは§186.1 にてGRASとして確認することができる。規則に規定のある使用方法に加えて、当該材料の他の使用方法もGRASと確認することができる。当該材料の使用方法の一般的評価を行わずに特定の使用方法に対して行われたGRAS資格の確認に関しては、かかる評価の再検討の対象となる。
(l) 新しい情報に関しては、食品材料のGRAS資格の再検討を随時行うことができる。
本章 Part 182, Part 184 もしくは§186.1 を変更する場合は必ず§170.38に従って遂行するものとする。
〔42 FR 14483, Mar. 15, 1977, 49 FR 5610, Feb. 14, 1984 にて改正 ; 53 FR 16546, May 10, 1988〕