公益財団法人
日本食品化学研究振興財団
FDA 21CFR(仮和訳)
170 食品添加物
食品添加物の安全性
§39 食品に接触する物品中に使用される物質に関する規制のしきい値
§170.39 食品に接触する物品中に使用される物質に関する規制のしきい値
(a) 食品に接触する物品(例:食品の包装、食品加工設備)中に使用される物質で、食品中に混入する、または、混入することが考えられるものは、食品の成分になるレベルが規制のしきい値を下回るため、食品添加物としての規制の適用を免除される。ただし、以下を条件とする。
(1) その物質が、人体または動物に対して発ガン物質であることが示されておらず、その物質の化学構造に基づいて、その物質が発ガン物質であると疑う理由がない。また、物質は発ガン性不純物を含んではならない、あるいは、含む場合には、長期にわたる食餌研究に基づいて、TD50値が1日あたり、体重1キロあたり、6.25ミリグラム未満である発ガン性不純物を含んではならない。この際、その研究は科学文献中に報告されているか、その他の形で食品医薬品局が入手できるものであること。(本節におけるTD50とは、対照動物中に発見される腫瘍に関して補正されたとして、実験動物の50%において癌を引き起こす食餌投与量である。ある物質に関して科学文献中に複数のTD50値が報告されている場合、食品医薬品局は検討の際、最も低い、かつ、適切なTD50値を使用する。)
(2) その物質が以下のことを理由に、その他の健康または安全上の懸念を生じさせない。
(ⅰ) 問題の使用の結果、食餌濃度が0.5 ppb以下になる、または、そうなることが予想できる。これは(1日1人あたり1,500グラムの固形食品と1,500グラムの液体食品の食餌に基づいて)1.5マイクログラム/人/日以下の食餌暴露レベルに相当する。または、
(ⅱ) その物質が、現在、食品への直接添加に関して規制を受けており、かつ、提案される使用から生じる、この物質への食餌暴露が、受け入れられる1日あたりの摂取量の1パーセント以下であることが、食品医薬品局のファイルまたはその他の適切な出典の安全性データから求められる。
(3) その物質が、それが混入する食品中または上において実用上、何ら影響を与えない。
(4) その物質が、環境に対し、何ら重大な悪影響を与えない。
(b) 入手可能な情報により、提案される使用が公衆衛生リスクを呈する可能性があることが示される場合、本節の(a)に関わらず、食品医薬品局は、免除を与えることを拒否する権利を保有する。免除を認めることを却下する決定の理由は、要請者への食品医薬品局の応答の中で説明される。
(c) ある物質を食品添加物として規制から免除することを食品医薬品局に求める要請書には、以下の情報の写しを3部含めること。(提出される資料の一部が外国語で書かれている場合、本章の§10.20(c)(2)にしたがって完全かつ正確であることが検証された英訳を添付しなければならない。)
(1) 要請の対象となる物質の化学組成。できる限り、現行の化学情報検索サービス(CAS)名称ガイドラインによる化学名、及び、入手可能ならばCAS登録番号を含める。
(2) その物質の使用条件に関する詳細な情報(例:温度、物質が接触する食品の種類、接触期間、食品に接触する物品は繰り返し使用されるのか、それとも1回きりの使用か)
(3) 食品添加物としての規制からの免除を求める要請は、食品に接触する物品中における物質の使用により生ずる食餌濃度が0.5 ppb以下であるという事実を根拠とするのか、それとも、その要請は、規制される直接食品添加物の使用に関するもので、かつ、その食餌暴露が「受け入れられる食餌摂取量(ADI)」の1%以下であるという事実を根拠とするのかに関する言明
(4) 提案されたようにその物質を使用した場合に生じる1日あたり食餌濃度を、食品医薬品局が推定するのに十分なデータ。このデータは以下の形であるべきである。
(ⅰ) 食品を模する適切な溶液を使い、最悪の条件(時間/温度)下で、意図された使用を行って求められ、かつ、有効なことが確認された、混入データ。
(ⅱ) 食品に接触する物品の製造中に使用される、その物質の量に関する情報
(ⅲ) 食品に接触する物品中の、その物質の残存レベルに関する情報。繰り返し使用される物品に関しては、その物品の寿命に渡って、その物品の単位面積あたりに接触する食品の量の推定値も提供されるべきである。(製造使用レベル、または、食品に接触する物品中に存在する、その物品の残存レベルの形でのみ、データが提供される場合、食品医薬品局は100%混入を想定して、最悪の場合の食餌濃度を計算する。)その物品の定量化に使用される分析方法の詳細な記述も、検出限界の有効性確認に使われるデータとともに、提出されるべきである。
(ⅳ) 食品または模擬食品中へ検出可能な混入がない場合、または、適切な分析方法により、食品に接触する物品中の物質の残存レベルが検出されなかった場合、食品医薬品局は、食餌濃度の推定において、その物質の分析に使用される方法の、有効性が確認された検出限界を考慮する。
(5) 当該の物質、及び、その不純物に関する既存の毒性情報の分析結果。当該の物質に関する、このような情報は、動物発ガン性物質バイオアッセイが行われたか、あるいは、この物質が発ガン性物質、または、実際に力を持つ毒素であることを疑う、その他の根拠があるかを示すために必要である。不純物に関する、このような情報は、不純物の内に発ガン性物質がある、また、発ガン性がある場合は、本節の(a)(1)に従い、TD50値が1日あたり、体重1キロあたり、6.25ミリグラムを超えるかを示すために必要である。
(6) 当該物質の予定使用法により生じる環境への影響に関する情報。要請には本章§
25.32
に規定されている範疇免除の要求または本章§
25.40
に規定されている環境影響評価のいずれかを含んでいなければならない。
(d) 本節に基づいて検討されるデータは、食品医薬品局市販前承認部(HFS-200)(
5100, Paint Branch Pkwy., College Park, MD 20740
)に提出されること。
(e) 食品医薬品局は、食品に接する特定用途が食品添加物としての規制適用を免除されるかどうかについて書状で要請者に通知する。規制のしきい値以下の食事濃度になるレベルで食品に混入する物質は、連邦政府発行官報中に発表される規制の対象にならず、また、連邦規則集にも記載されない。しかし、食品医薬品局は本節に基づき食品添加物として規制適用を免除される物質のリストを保持し、認可証管理部にて表示する。このリストには要請を行った企業名、物質の化学名物質が食品添加物としての規制適用を免除された特定使用法、その使用法に関するあらゆる制限が含まれる。リストは商標名を一切含まない。リストにより利害関係者はどのような種類の食品接触物質の使用が規制の下で適用を免除されているか見ることが出来る。また利害関係者は食品医薬品局市販前承認部(HFS-200)(
5100, Paint Branch Pkwy., College Park, MD 20740
)に問い合わせて、免除された物質のリストの写しを入手できる。環境影響評価を必要とする措置に関して、食品医薬品局の重大な影響が見られないという知見、また、その知見の根拠となる証拠も申請者の環境影響評価にもりこまれ、本章の§
25.51(b)(2)
に従って、認可証管理部で閲覧できる。食品添加物規制の適用免除を求める提出資料中公開可能な情報の写しを求める要請は、本章のPart 20の規定に従い、食品医薬品局の情報公開法手続きによって取り扱う。特に、企業秘密あるいは商業上または財務上の機密情報の定義にあてはまるデータ及び情報は本章
20.61(c)
に従って非公開とする。
(f) 食品添加物としての規制適用の免除を求める要請が認められない場合、要請者は、本章§10.33の規定に従い、決定の再検討を求める申請を、食品医薬品局に提出できる。
(g) 食品医薬品は、同局が規制適用を免除した物質の食餌濃度または安全性について疑問を生じさせる、重大な新情報を受け取った場合、その物質の再評価を行うことができる。食品医薬品局が、その物質について入手可能な情報が、もはや、食品に接触する物質の使用に対する食品添加物規制からの免除の根拠にならないと、暫定的に結論する場合、同局は、物質の要請を要請したすべての者に、その仮決定を通知する。要請者は、なぜ、その物質の使用が本法の食品添加物規定に基づいて規制されるべきでないかについて証明する機会を与えられる。要請者が、新しい証拠に対して適切な返答を行わない場合、食品医薬品局は、当該の使用において問題の物質をこれ以上使用するには食品添物規制が必要であることを彼らに通知する。この通知は、食品添加物としての規制から免除される物質の使用に関する記録の一部として、認可証管理部において一般に公開される。食品医薬品局は、実際に免除を要請した者以外にも、免除が発行されたものに類似の使用条件(例:使用レベル、温度、食品接触の種類など)のもとで、食品に接触する物品中に免除された物質を使っている製造者がいる可能性があることを認識している。本節で述べられる取り消しの手続きでは、要請者にのみが通知をなされるため、食品医薬品局は、食品に接触する物品中における物質の特定の使用に関して発行された免除を取り消すという、同局の決定を、連邦政府発行官報中に通知を発表することにより、他の製造者に知らせるよう計画している。
(h) 要請者が食品添加物規制の免除を求める資料の提出を準備する際に役立つ指針書は、食品医薬品局市販前承認部(HFS-200)(
5100, Paint Branch Pkwy., College Park, MD 20740
)から入手できる。関係者は、混入データを得る際に使われる適切な試験要件、混入レベルの定量化に使われる分析方法の有効性確認、混入データと食餌暴露の相関関係を求めるのに使われる手順、その他、食品医薬品局の指針書で具体的に説明されていないあらゆる問題に関して、食品医薬品局に具体的な指示を仰ぐことを奨励される。
[60 FR 36595, July 17, 1995; 62 FR 40599, July 29, 1997にて改正
; 65 FR 56479, Sept. 19, 2000
]